成長あるのみ!
私が産まれてから2週間ほどが経過した。
いやぁ本当に大変な2週間だった。
何せ中身はもう27····· あっ28か、28歳の成人男性で精神が成熟しているから、泣かずに普通に周囲を見渡したりしていたら家族にめちゃくちゃ心配された。
そりゃそうだよな、赤ちゃんが全く泣かなかったら心配になるに決まってる。
そして、両親が1番困っていたのは私への授乳のタイミングだったようだ。
何せ泣かないからいつお腹が空いたか分からないので、授乳のタイミングが掴めなかったようだ。
そのせいで腹いっぱいなのに無理やり飲まされた時は吐くかと思ったわ。
そんな訳で、私は赤ちゃんらしくお腹が空いたら大声を出して暴れて伝える日々を送っている。
この体は4時間おきくらいに、深夜でも腹が減ってしまうので魔法でお母さんを優しく起こして、食事が終わったら自作の快眠魔法で眠らせるというのが日課だ。
さて、そろそろ空腹が限界だしお母さんに頼むとしますか·····
◆
「けぷっ」
「はい、ソフィーーーーー♪よしよし」
ご馳走様でした。
相変わらず話し掛けられても自分の名前くらいしか分からないが、いくつかの単語は覚えてきた。
たぶんさっきお母さんが喋ったのは、最初のが日本語で『はい』みたいな使い方をする言葉だろう。
私の名前の後のはよく分からんが、文脈的にたぶん『いい子』って言ってるのかな?
んで最後のは同じ言葉を繰り返して背中を撫でてるので、『よしよし』みたいな意味ではないだろうか。
あと色々分かったのは、どうやら私には兄が居るようだ。
まだあまり会った事は無いが、お父さんの顔によく似た金髪の子だった。
年齢は、最近アカシックレコードを見ていたら見つけた『鑑定』魔法を使ったところ、4歳だった。
そしてこの『鑑定』魔法を使いまくったところ、色々な事が判明しまくった。
◆
まずは家族の名前だ。
私の名前は『ソフィ・シュテイン』
お母さんが『リラ・シュテイン』
お父さんが『フェルゼン・シュテイン』
お兄ちゃんが『ラクト・シュテイン』
と言うらしい。
あと、たまに来るお手伝いさんというか、町長であるお父さんの秘書さん?の名前が『ルーベ』ということから、どうやら家名があるのは一般的ではないらしい。
更に、鑑定を食器や家具などに使って、表示されるウィンドウを日本語とコチラの言葉の2画面表示にして言語の勉強中だ。
◆
ご飯の時間が終わると、お母さんが私をベビーベッドに寝かしつけた。
色々探索してみたいが、この体じゃ動きようがないので大人しくベッドでゴロゴロする。
「あうい〜(ひまだー)」
「ーーー?ソフィーーーーー、ーーーー」
お母さんは私に何か話し掛けると、部屋から出ていった。
よし、今がチャンスだ。
親の居ぬ間に、私はこっそり魔法の練習を始める。
今までは属性魔法、火、水、風、土、光、闇、無をローテーションで練習していたが、今日は自作魔法や便利系魔法のテストをしてみようと思う。
「ああいうあいーう!(アカシックレコード!)」
ユニークスキル『賢者姫』の能力の1つ、アカシックレコードを開く。
このスキルは、自作魔法の登録が出来たりこの世界に存在する全ての魔法を検索出来るスキルだ。
·····なんか、記録書庫って名前なのにパソコンでいうCPU的な処理能力がある気もするけど、便利だからあまり気にしない事とする。
んで、多分あると思うんだよなー·····
うーん、千里眼みたいな魔法は無いのかぁ·····
あっ!でも『遠見』って魔法はある!
早速『遠見』の魔法を使ってみると、私の視界がズームされ、天井がめちゃくちゃ近くに見えた。
これは使える!
『魔法創造』、対象『遠見』!
魔法創造の力で、遠見の魔法をバラすと構造が見えてきた。
どうやら、一定の距離にある光を光属性魔力で引っ張る事で拡大しているようだ。
じゃあ、この距離の数値を弄ると·····?
「あいっ!?(うわっ!?)」
更に天井が拡大されて見えた。
次は横向き、数学的に言うX軸とZ軸の数値をいじってみると·····?
「あうー!(おぉー!)」
私の予想通り、別の場所が見えるようになった。
次は角度を変えてみると·····
「ああうー!!(おおぉー!)」
ベビーベッドに寝転がる私の顔が見えた。
うん!可愛いね!
というか、何気に初めて自分の顔を見たな。
まだ赤ちゃんな顔だが、髪の毛はしっかりと生えてきている。
お?髪の色はお母さん似の、青混じりの銀灰色だ。
お母さんの髪の色は遺伝したけど、出来れば胸は遺伝してなければいいなぁ·····
お母さんの胸、結構小さいからなぁ·····
◆
私は今、町を探索中だ。
正確には、先程作成した魔改造遠視魔法『千里眼』を使って、窓を抜けて視界を町まで飛ばして探索しているのだ。
この魔法の欠点に視界を遮られたり、光がない場所に行くと見えなくなってしまう事があるが、それ以外では無制限に何処までも行けるようだ。
改善の余地ありだね!
まだ改善点のある『千里眼』で町を上から見ると、どうやらそこそこ大きい町のようだった。
そして角度を変えると、町の西側に大きい山が何個も連なっていた。
その山の中腹まで道があったり小屋があるのを見ると、あの山が鉱山なんだろう。
いい町だなぁ·····
早く成長してあの町を自分の足で探索してみたいなぁ·····
あ、『千里眼』の欠点がまた見つかった。
これ割と目が疲れる。
目の疲労がやばくなってきたので、魔法を解除して私は目を瞑って寝る事にした。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢: 生後2週間
ひと言コメント
「よし、次は空間魔法と光魔法と回復魔法を併用して、暗くても壁の中でも疲れず見えるNEW千里眼を·····」
「あっ、ひと言コメントの時間?おほん」
『早く言葉を覚えたいっ!』




