やっぱり何か起きる休日
死んだ魚の目をしたフィーロ君を連れて街を歩いていると、突然フィーロ君が蘇った。
「ねぇみんな!冒険者ギルドだよ!行こうよ!」
「ええー?」
「わたしあそこのリンゴ飴たべたい·····」
「冒険者ギルドなんて野蛮な場所入った事もないわ」
「やめとこうよー」
「·····ソフィちゃんこっちきて」
「なになに?」
フィーロ君に近付くと、彼は私にヒソヒソ話をしてきた。
「クラスのみんなにソフィちゃんが部屋でよく裸でウロウロしてるし片付け出来なくて部屋散らかして僕たちが片付けしてる話してもいい?」
「みんなー!!冒険者ギルドにいくよー!!!ほら問答無用っ!!いくよ!!新たな冒険が私たちを待っているっ!!」
「「「ええええー!?!?」」」
それだけはやめてくれ。
私の、ソフィ・シュテインという名前のブランド価値が下落してしまう。
しかも今回はフィーロ君の目がガチだった、アレは虚無を見つめて、虚無から見つめてくる目だった。
前に1回召喚して何とかボッコボコにして撃退できた深淵の者共の目そっくりだった。
·····まぁ、私も冒険者は気になってたし行ってもいいかなとは思ったから今回は同意したんだけどね!
◇
「ふわぁ····· すごい····· 冒険者さんたちだ·····」
「おおおー!ちゃんと冒険者ギルドだ!」
「ふーん·····」
「なかなか重厚感のある建物なのね」
「なんかワクワクする!」
私たちはフィーロ君の意見で冒険者ギルドにやって来ていた····· が、やっぱり入るのが怖い。
だって頻繁に怖い顔の冒険者が出入りしてるし·····
ほらあそこのモヒカンなんて私たちを見た途端に顔を歪ませてすんごい顔してるし。
ん?アレって·····
「·····ん?フィーロ君アレみて」
「なになに?·····冒険者体験イベント!?」
「ええー!!わたし他のことしたーい!」
「まぁまぁ、たまにはいいじゃない」
「だね!わたしも冒険してみたい!」
近づいて貼り紙を見てみると、詳細が載ってた。
《魔法学校の学生向け!冒険者体験イベント!》
夢見る少年少女よ、この度我々は『怖い』や『臭い』と呼ばれる冒険者たちのイメージを払拭するため、我々の活動を体験してもらうイベントを行うことに決定した!
君たちも1日だけ冒険者になってみないか?
ギルドの中で君たちをまっているぞ!
·····これは行くしかないね!
「みんな、覚悟はいい?」
「うん!」
「うーん····· しょうがないなぁ·····」
「私はいいわよ?」
「わたしも!」
「それじゃ!冒険者ギルドに突撃ー!」
「「「「ごーっ!!!」」」」
私たちは冒険者になるため、冒険者ギルドに突撃していった。
◇
「「たのもー!!」」
「「「しつれいしまーす·····」」」
「いらっしゃいませ!ようこそ冒険者ギルドへ!皆さんは冒険者体験イベントの参加者ですか?」
「「はいっ!」」
「ではこちらへどうぞ!」
ギルドに突撃すると、受け付けのお姉さんが私たちを歓迎してくれた。
およ?ここは荒くれ冒険者が来て『おいおい!ガキンチョが来てやがるぜヒャッハー!』ってならないの?
あっさっきのモヒカン!!これは来るか!?
·····ダメだアイツ、あれ顔を歪ませてるって思ったけど私たちを見て微笑ましそうな笑みを浮かべてたんだ、下手くそだけど。
私が残念がっているウチにも事は進んでおり、お姉さんが5枚の紙とペンを持ってきた。
「はい、ではここにお名前と年齢、使える魔法や能力があったら書いてくださいね、書き終わったら学生証も見せてくださいね」
『はーい!』
お姉さんが持ってきたのは、冒険者体験用の登録用紙だった。
わたしはそこに必要事項を記入して、能力の欄に『魔法がちょっと使える』と書いておいた。
·····ふっ
ちょっと(※現代兵器級魔法が何個も使える)
◇
一部ウソをついたけど無事に用紙を書き終わったので、私たちは受け付けのお姉さんに学生証と一緒に用紙を提出した。
「·····はい、OKですね、これが1日冒険者カードです、ようこそ新人冒険者たち!」
「ガキども次はこっちだ付いてこい」
おっ?
担当が変わるのかな?
次にやってきたのは、スキンヘッドで強面の歴戦の冒険者っぽいおっちゃんだった。
「1日冒険者はGランク依頼を体験するんだが、危険が無いよう俺みたいな引退冒険者が引導してやることになってるんだ、ちなみにボランティアだ」
『うそつけー!酒場の割引き手当目当てだろー!!』
「うっせ黙ってろ! あぁ気にしないでくれ、アイツらヤジ飛ばすのが好きなだけなんだ」
「へ、へー·····」
確かにこの人お酒好きそう·····
「とりあえず今日はどの依頼にするか?」
そう言って元冒険者さんがGランク依頼の用紙を何枚か持ってきた。
ええと?
・畑に出現した迷惑ウサギの駆除か追い払い
・森を食い荒らす迷惑シカの討伐
・川に現れた電気ナマズの討伐
・薬草の採取および納品
・街の外の巡回警備
・魔物の解体補助
・ギルドの掃除
・簡単な力仕事
「フィーロ君どうする?」
「僕はナマズかウサギかシカの討伐がいいなぁ」
「私は何でもいいわ、2人が選んでいいわよ」
「ワタシも!」
「わ、わたしもなんでもいいです」
「んじゃ、フィーロ君選んでいいよ」
「やった!じゃあナマズかウサギかシカの討伐で!」
フィーロ君が選んだのは討伐系の依頼だった。
うんうん、男の子だったら絶対選ぶと思ってた。
「·····あれ?フィーロ君魔法使えたっけ?」
「え、えっと、ナイフはあるし、ウサギくらいなら····· それにソフィちゃん居るから」
「あー、すまん電気ナマズはやめといた方がいいぜ?結構汚れるしナイフだと分が悪い、それに俺は大剣使いだから水中は苦手なんだ····· あとウサギもオススメしない、今のところ成功率ゼロだ」
「ん?簡単そうなのになんでですか?」
「可愛すぎて殺せない」
·····そりゃダメだ。
あとよく依頼書を読んでみたら、獲物は魔物だけどどうやらめちゃくちゃ人間に媚びて共存するタイプの進化をした魔物らしくて、あまりの可愛さに覇道を往くドラゴンでさえ通り道に居たら避ける程だそうだ。
で、保護されすぎた結果増えすぎて、農地が荒らされる事がよくあるらしい。
で、迷惑だけど可愛くて倒せる人が居ない、実質S+ランクの依頼だそうだ。
しかも、過去にSランク冒険者が名声に傷が着くのも厭わずこの依頼を断念した事があるらしい。
ちなみにその冒険者の名前は『サトミ』だそうだ。
もっふすを撫で回しすぎて殴られてたもんなぁ、あの人。
ちなみに殴られて10mくらい吹っ飛んでた。
「じゃあフィーロ君シカにしとこ?」
「·····そうだね、僕もウサギは殺せない気がする」
「よし!じゃあこの依頼書を窓口に届けてくれ」
「はーい!」
そして残ったシカ討伐の依頼書をフィーロ君はギルド窓口へと持っていき、クエストを受注した。
「はい、それじゃ頑張ってくださいね!ちなみに依頼を失敗してもキミ達にはペナルティは無いので安心してくださいね!くれぐれも怪我のないように!」
「「「「「はーい!行ってきまーす!」」」」」
「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ」
こうして、私たちは人生初のクエストに出発した。
◇
《クエスト: 森を食い荒らす迷惑シカの討伐》
難易度:G (最低ランク)
参加人数:6人
討伐目標数:〜15匹
目的地:魔法学園都市南側の森(場所指定あり)
依頼主:街の木こりA
内容:「最近シカ共が森に沢山現れて草や木の芽を食い荒らして困っている、増えすぎたと思われるので討伐をお願いしたい」
この依頼に出発します·····
《警告》
『狩猟環境:不安定』
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「すごくワクワクしてきた!やっぱり冒険者っていいね!僕がんばる!」
名前:アルム
年齢:6才
ひと言コメント
「鹿肉ってあんまり食べた事ないからたべたい!」
名前:グラちゃん(グラシアル・ド・ウィザール)
年齢:6才
ひと言コメント
「何だか不安ね、アビューズ呼ぼうかしら?やっぱやめておきましょ·····」
名前:ウナちゃん(ウナ・ウェア・ラ・サークレット)
年齢:6才
ひと言コメント
「シカさんかわいそう····· でも迷惑かけるのはダメだからわたし怒っちゃうよ!」
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「『狩猟環境:不安定』!? アイツは嫌だアイツは嫌だ『貪食のアイツ』は嫌だ····· こ、こやし玉と眠り生肉の準備しなきゃ·····」
名前:冒険者A氏
ひと言コメント
「·····そういや最近イビルなんちゃらがあの辺に居たって聞いたような?まぁ大丈夫だろ!」




