何事もない普通の休日
「·····んっ」
午前6時
わたしは目が覚め·····
わたし?わたしって·····
あぁそうだ、わたしは私だ。
私は昨日の夜に精神が崩壊しかけて、神様がメールで私の事を引き戻してくれたんだ。
「んんんんーっ!はぁ、おはよう私」
私はベッドの上で寝起きの身体を伸ばしたり、軽いストレッチをして体を目覚めさせてからベッドから降り、遊びに行くための準備を始めた。
◇
「うーん、どれにしよっかな〜」
私は今、自分の部屋のクローゼットの前で今日着ていく服を悩んでいた。
今日はせっかくの休みだから、なるべくオシャレをして行きたいんだけど、なんかピンとくる服が無い。
やっぱり今日は洋服屋に行って可愛い服を沢山買わなくてはいけないな·····
まぁ、今日のところはフシ町から持ってきた普通の町娘ファッションにしておこう。
という訳でクローゼットから普通の町娘ファッションを取り出した私はそれに着替え、念のため杖をもって寮の部屋へとやってきた。
「ええと、集合場所は····· 寮の前だっけ?」
場所を思い出した私は寮の部屋から出て、長い廊下を通り、階段を降りて寮母さんに外出の報告と挨拶をして寮の外に出ていった。
◇
私が待ち合わせ場所に行くと、既にみんなが集まっていた。
·····また遅刻しちゃった☆
「あっ!みんなおまたせー!」
「遅いよソフィちゃん!はやくいこっ!」
「だね、ソフィちゃんもうちょっと早起きしたら?」
「今日の行き先は歩きながら決めましょ?」
「ソフィちゃんおそいよー!待ちくたびれたー!」
むぅ·····
シャワー浴びたせいかな·····
まぁ遅れたのは仕方ないので、みんなに謝りながら私たちは街へと出発した。
◇
商店街に到着した私たちは人通りの多さに驚いた。
何せ普段の倍以上の人通りがあって、お店の活気も段違いに高い。
これは下手に気を抜くと迷子になりそうだ。
「よしみんな!気合い入れていくよ!突撃ー!」
「「「「おーー!!」」」」
私たちは気合いを入れ直し、人通りの増えた商店街へと突撃していった。
◇
「ソフィちゃんアレみて!休日限定のクレープだって!食べに行こっ!!」
「ほんと!?行く行くっ!フィーロ君もいくよ!」
スイーツ発見のプロであるアルムちゃんがなんとクレープ屋で休日限定商品を見つけたので、私たちはそのお店へと向かい、注文を始めた。
「朝から甘いものかぁ·····まぁ食べるけどさ·····」
「あら?チキンとマヨネーズのもあるわね·····」
「わたしはイチゴホイップにするー!」
「えっ!?グラちゃんそれほんと!?僕チキンマヨにする!!店員さんチキンマヨでお願いします!」
「フィーロ君は朝から重いもの選ぶなぁ····· あっ!店員さん!私は休日限定商品のホイップMAX盛りデラックスチョコバナナクレープでお願いします!」
「ワタシも!」
「私はシンプルにホイップ&チョコにしようかしら」
「イチゴホイップ!」
「はいよ、ちょっとまっててね」
◇
『いただきまーす!』
私たちは道路沿いの縁石に座り、いつの間にかみんなに伝染していた『いただきます』を言って、私は休日限定ホイップMAX盛りデラックスチョコバナナクレープにかぶりついた。
「〜〜〜〜っ!!あまーい!美味しー!!」
「ホイップクリームたっぷりで幸せ〜」
「やっぱりオーソドックスなのが美味しいわね」
「イチゴおいしいっ!」
「あぁ、マヨネーズと鶏肉ってよく合うなぁ·····」
私の買った休日限定ホイップMAX盛りデラックスチョコバナナクレープは、クレープ生地にバナナを丸ごと1本入れて大量のホイップクリームとチョコソースを掛けて普通のチョコも入れた超贅沢な逸品だ。
もう甘くて甘くて美味しすぎるっ!
ちなみに割とお値段はするが、幸い懐には億単位の金が·····
·····貰えてないのよね、絶対散財するからって理由で暫くは校長先生に管理されてるから。
まぁでも、この位のお菓子なら平気で買える額は懐にあるから大丈夫だ。
私とアルムちゃんはそんな豪華なクレープを一気に食べ終わり、次の狙いを定め始めた。
·····けど、さすがにちょっと甘すぎて口の中がしょっぱいものを欲してる。
·····おっ!丁度いいとこにしょっぱいものあるじゃん!
「1口ちょーだいっ♡ はむっ!」
「あっ!ちょっ!それ僕のクレープ!」
「んっ!美味しっ!良いねこれ、次は私もこれにしよっと」
「こここここれって間接キスなんじゃ·····」
「へっ?あっ·····」
特に何も考えないでフィーロ君のクレープを1口貰ったけど、よく考えたらクレープはフィーロ君の食べかけで、私はその食べかけの大きな肉が出てた美味しそうな所をパクッと食べてしまった。
つまり、私のファースト間接キスを捧げちゃったって訳で·····
「·····っっっっ!!!?!?!!」
「そそそそそそその、ほ、ほしかったら、ちぎってあげるから····· その、ひとことくらい言ってほしいな·····」
「りょ、りょうかい·····」
私とフィーロ君は重大な事実に気が付き、お互いしどろもどろになってしまった。
·····ちなみにフィーロ君はその後私のかじったところをしばらく食べられず、悩みまくった末に覚悟を決めて顔を真っ赤にしながら食べていた。
·····元々同性だったし、まだガキンチョ同士なのに何意識しちゃってんだろ、私。
私は悶々とする気持ちを振り払うため、ちょっと動き回りながらみんながクレープを食べ終わるのを待った。
◇
未だに間接キスをしちゃって火照ってる身体を冷ますように、私達は移動を開始していた。
「次はどこがいいかなぁ····· なんか無いかなぁ」
「僕は冒険者ギルドも覗いてみたいな、ここの街のギルドって休日だと学生もよく集まるって聞いたし」
「私は次はしょっぱい物が食べたいわね」
「わたしは何でもいいよ!」
·····再出発したはいいものの、身長の低い私たちは人混みのせいであまりお店を見つけられず、クレープを食べ終えたみんなと一緒に通りを歩きながらお店を探しt
あっ!あの揚げドーナツ屋があるっ!
「あっ!揚げドーナツ屋だ!私あそこ行きたい!」
「ほんと!?いこ!」
「ええっ!?あっ、ちょっ!?僕の意見は!?」
「残念ながら私もソフィ派ね、あそこの揚げドーナツは美味しいから私も好きなのよ」
「フィーロくん可哀想····· でもドーナツたべたい!」
少数派のフィーロ君は多数派の私たちの意見に負けて揚げドーナツ屋に連れていかれてしまった。
◇
「うわ!?このカレー揚げパン美味しっ!!」
「あっ!ワタシもカレーパン食べるっ!」
「はふっはふっ!あふいっ!·····ぷはぁ、やっぱり出来たてのオールドファッションは美味しいっ!」
「ビスケットを揚げるなんて聞いた事ないけど、意外と美味しいわね····· それにカレーパンって言うのも美味しいわ、庶民の味も良いわね」
「全部おいしいっ!」
私が常連になり始めている揚げドーナツ屋····· 正しくはパン屋さんの店先では、なんと揚げたてのドーナツやパンを提供する屋台が出ていた。
もちろん私はオールドファッションを頼んでアツアツのままかぶりついた。
やっぱり表面はサクサクカリカリで、中はふんわりしっとりしている。
·····が、今日のはそれだけじゃない、揚げたてだから中身がアッツアツで普段より美味さが倍増している。
あとは珍しいところだとカレーパンやビスケットの天ぷらみたいなのがあった。
もちろん全部食べたけどどれも美味しかった。
ちなみにカレーのスパイスはとあるダンジョンから豊富に採れるらしく、この国では割と香辛料を使う文化があるのよね。
·····こんど買ってカレーライスつくろ!!
◇
パン屋でおやつを食べ終えた私たちは、またしても次の店を探して通りを歩いて·····
って違う!
私は服を探しに来たんだよっ!!
「ねぇねぇ!次は洋服屋に行かない?わたしそろそろ新しい服が欲しいんだけど·····」
「ワタシも可愛い服買いたいから行く!」
「私は沢山あるから良いわ····· でも見に行くわ」
「わたしはどうしよっかなぁ、まぁいくかなぁ」
「よし!じゃあ買っても買わなくてもいいから行ってみよー!!」
「「「おー!!」」」
「·····えっ?僕も行くの!?ってちょっと待ってよ!置いてかないでー!!」
私たちはまたしてもフィーロ君の意見を無視して服屋へと向かった。
◇
みなさんお元気ですか?
僕は····· もう疲れ気味です。
「·····遅いなぁ」
ソフィちゃん達が洋服屋に入って既に1時間半は経っているけど、まだ出てくる気配がない。
「はぁ·····」
僕は今、お店の前のベンチに座ってみんなを待っているけど、そろそろおしりが痛くなってきた。
周囲を見渡すと、僕と同じようにどこかゲッソリした顔の男の人がベンチに座ってボーッとしていた。
あっ、目が合った。
向こうのベンチにいた男の人の目は僕に『お前もか·····』という同情が篭っていた。
でもきっと、僕の目もあんな目だっただろう。
更に、僕の前を通る人達の中にも同情の目を向けてくる人が何人か居た。
そういう人は、ほぼ確実に大量の買い物袋を持たされて死んだ魚の目をしている。
きっと次の段階に進んだ人だろう。
僕もみんなが来たらあんな感じになるだろう。
いや、もうなっているかもしれない。
「はぁ····· 空が青いなぁ·····」
空を見上げると、雲ひとつない春の空が広がっていてとても綺麗だ。
なんて考えていたら、誰かが僕に話しかけてきた。
どうやら、死んだ魚の目をした僕が心配になった通行人さんが僕に話しかけてきてくれたようだ。
「ボウズ····· そんな歳でそんな目をしてたら将来尻に敷かれるぞ?」
「あぁ、大丈夫です····· もう散々振り回されてますし慣れてますんで·····」
「·····それは災難だったな、よし!なんか奢ってやるから元気出せって!」
ずいぶんと優しい人だ、でも僕はみんなに色んなお店に連れ回されてお腹がいっぱいだ。
「いや、もうお腹いっぱいなんです····· 友達が甘い物が好きで付き合わされてて·····」
「わかる、わかるぞその気持ち····· 朝から甘い物はなかなか辛いよな····· だがそれを耐えてこそ男だ」
「おじさん·····」
「少年よ····· がんば」
何故かおじさんと意気投合したその瞬間
『おっまたせー!!待った?』
『全部可愛くてまよっちゃった!』
『私もつい買ってしまったわ·····』
『えへへ、かわいいの買っちゃった!』
やっと来た·····
お店の方を見ると、大量の買い物袋を持ったソフィちゃんたちが僕に向けて手を振っていた。
「おじさん、どうやら僕は荷物持ちに転職する時間がきたみた····· ひっ!?」
おじさんは何も語らなかった。
だが、彼の目には燃え盛るようなドロドロしたような嫉妬の炎が揺らめいていた。
違うんです、違うんです·····
僕は悪くないんです、だからその目をやめてください·····
◇
んふふふふ·····
なかなか可愛い服が買えちゃった♪
·····なんでか知らないけど、パーカーとかサブカルな地雷系な服とか割と日本っぽい服が結構売ってた。
たぶん校長のせいだろう、そういう事にしておこう。
買い物を終えた私たちが服屋の外に出ると、フィーロ君が店先のベンチで休んでいて、男の人と話をしていたようだ。
·····まさか変態?
確かにフィーロ君は可愛いけど、女子と見間違う事は多分ないし6歳の子にナンパするような野郎は·····
·····いやそんな訳ないか、ショタ好きなお姉さん方はこの世界には多いけど、ショタ好きのオッサンは居ないと信じたいし居ても需要が無い。
とりあえず私たちはフィーロ君に声を掛けて、次の場所へ向かった。
あとなんかフィーロ君が話をしていた人の目が凄く怖かったのは何故なのだろうか?
まっそんな事どうでもいいや!
「じゃあ次いこー!!」
「「「おーーっ!!」」」
「みんなの荷物を持たされないだけマシかなぁ·····」
私たちは平凡な休みの日をたっぷりと堪能するため、また街へと繰り出したのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「何個か迷ったのあったんだけど、結局全部買っちゃった☆」
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「荷物持ちにされなくてほんと良かった·····」
名前:アルム
年齢:6才
ひと言コメント
「次は何食べよっかな〜♪パフェがいいかな〜♪」
名前:グラちゃん(グラシアル・ド・ウィザール)
年齢:6才
ひと言コメント
「甘い物を食べたらしょっぱい物を食べたくなるわ」
名前:ウナちゃん(ウナ・ウェア・ラ・サークレット)
年齢:6才
ひと言コメント
「えへへ、みんなといっしょに居るのたのしい!」




