いつか『ソレ』に相応しい女になると誓って
魔力トレーニングを開始して約1ヶ月が過ぎた。
え?どうやって日数を知ったんだって?
ふはは!このウィンドウさえあれば日付は問題なく見れるのだ!
ちなみに暇つぶしのミニゲームもインストールされてる。
·····それはさておき、こっちの世界の暦は地球と全く同じらしく、1年が12ヶ月で365日だ。
あと、時間も1日=24時間、1時間=60分、1分=60秒なので違和感が無くて助かる。
なんでこんな事を調べているのかって?
·····そろそろ魔力を練るのが飽きて暇になってきたので、気晴らしにウィンドウを見てみてるのだ。
というか今まで魔力を消費というか、体内に蓄積していたら疲れて昏睡するように寝て、起きたらまたトレーニングをしていたら開く暇も無かった。
「(さてと、今日もステータス確認するかな)」
ステータスという項目を思考操作で開くと、今の俺のステータスが画面に表示された。
◆
名前:?ふ?・?ュ??ん
年齢: 約-4ヶ月
性別:女
Lv:1
HP:15
MP:148417(+3500000)
物攻:1
魔攻:変動あり(最低値:1 最高値:error)
防御:2
魔防:10(魔力による強化可能)
器用:10
速さ:0
スキル:3
称号:5
◆
「(よし、ステータスもチートじみてきたかな)」
魔法関係の能力を上げてくれとお願いしたが、正にその通りなえげつないステータスだ。
というか、魔防の「魔力による強化可能」とは?
と思った瞬間、別のウィンドウが開いた。
そこに出た文を読むと、どうやら魔防は自身の魔力が高ければ高いほど他者の魔法を拒絶する力を上げられるらしい。
そういえばさっきステータスの下にスキルという項目があったなと思い出し、開いてみた。
◆
《スキル》
ユニークスキル『リスポーン』
一日に3回までなら死亡しても復活可能。
死亡後すぐに肉体が消滅し、自分が設定したポイントで肉体が復活する。
ユニークスキル『賢者姫』
少女が持つ『ありとあらゆる魔法を使え、新たな魔法を生み出す事の出来るスキル群』を統合したスキルの名称。
スキル詳細
・魔法創造
・魔導の極地
・魔導の深淵
・全属性適性
・全魔法適性
・██に愛されし者
・アカシックレコード
ユニークスキル『賢人の石』
賢者の石の下位互換だが、莫大な魔力を蓄積・生成が可能、魔法の効果に超プラス補正、魔法の反動軽減などが付与される。
また、賢人の石は自身の魔力を隠蔽するため宿主の魔力もろとも隠蔽する性質を持つ。
他者からは普遍的な能力にしか感じ取れなくなる。
実は宝石や鉱物のような物ではなく、心臓付近にある魔力の節のような空間の名称であり、実体は無い。
やろうと思えば魔力の結晶を生成して出せる。
ただし結晶は尻から出る。
(※訓練次第では変えられます)
貯蓄魔力: 3500000(350万)
◆
「(なんだよ尻から出るって!というか、今まで勝手に魔力が枯渇してると思ってたけど、本当は賢人の石に溜め込まれてたのか·····)」
他の人の基準が不明だが、目覚めた初日にMPを5くらい消費して魔力を放出したところ大騒ぎになってシェイクされたので、有り得ない値なのだろう。
その他も要検証だったり何やら怪しい部分もあるが、時間は有り余っているので後からやるとしよう。
続いて称号の欄だ。
◆
《称号》
『死を越えし者』
『異世界転生者』
『美少女賢者(の予定)』
『女神を思い出し笑いで殺し掛けた女』
『おパンツ大好き♡』
◆
「(あのクソ女神ぃぃぃぃイイイイ!!!!絶対ぶっ飛ばして称号の通りパンツ剥ぎ取ってやる!!覚悟してろ!あのクソ女神!!)」
落ち着け、ステイステイ·····
とりあえずあのクソ女神に1時間笑いが止まらなくなる呪詛を送りながら他の画面を確認していく。
あっ、お母さん精神安定の魔法は間に合ってます、もう自分でも出来るし、元々安定してるので無駄に魔力を使わないで·····
◆
温かい母の魔法に包まれながら、ウィンドウを見ていたら、どうやら俺のインベントリにアクセス出来るようなので見てみると·····
《インベントリ》
・時空を超えた伝説のパンツ(ランク:不明)
説明
賢人が死亡時に被っていた、地球から時空を越え付いてきたパンツ。
神界を通り、大地の女神ガイアに触られた事で非常に強い神の加護が付与されている。
もし吹き飛ばされても、このパンツへ着地できれば絶対に怪我をせず生還できる特殊な効果がある。
・穿き心地:神話級
・HP MP自動回復
・汚れ無効
・衝撃吸収
・攻撃吸収
・自動修復
・魔導系スキル大幅補正
・形状変形(下着限定)
・生還補正
『女神ガイアの名において、このパンツの穿き心地が神話級という事を保証いたします』
◆
「(むぐっ、むぐううぅ····· 因縁の品がこんな所にあるとは····· あのクソ女神の口に詰めて窒息死させてやりたいけど、めちゃくちゃ強いのが癪に障る····· というか生還補正ってあの事か?やっぱり呪うわあのクソ女神、足の小指をタンスにぶつけて爪剥がれてしまえ)」
あっ、違うんですお母さん、これはクソ女神に対する怒りで、お母さんに怒ってる訳じゃないんです。
だから上級精神安定魔法を使わないで·····
◆
件のパンツをインベントリから出さずウィンドウから見てみてると、大人っぽい黒のレースの下着だった。
うーん、男の俺が穿くのは流石に·····
·····そろそろ覚悟を決めなきゃかなぁ、そろそろ生まれるワケだし。
「(俺····· いや、わたしはもう男じゃない、女になったんだ)」
ステータスウィンドウを見てやっと覚悟が決まった。
というか、これまではステータスを見る暇が無かったのでは無い、十分に時間はあった。
本当の理由は、怖かったのだ。
男で過ごした27年の人生を全否定されるようで怖かったのだ。
だが、ステータスで示されてはもう逃げようが無い。
俺は覚悟を決め、自分の下半身を見ると·····
「(うーん、無い!)」
そう、そこにあるべき物は無かった。
そうか、俺····· いや、私は、やっぱり女の子になってたんだ·····
これから俺は、女として生きて行くのだ。
女の子の服を着て、女として育てられ、異性に恋をして、いつか子供を産む·····
ぶっちゃけ、男と付き合うなんて考えたくもない。
考えるだけでメチャクチャ気持ち悪い。
でも、この身体だと絶対に避けられない運命なんだよなぁ·····
「(よし!男でも女でも度胸だっ!いつかこのパンツが似合う、とびきり可愛い美少女になってやる!!)」
こうして、おr·····私は今日から毎日のトレーニングに『女らしくなる』というメニューを追加した。
???「ヴっ!?またこの子から不気味な気配が····· お菓子を摘み食いしてたのがバレたのかしら?とりあえず『トランキライズ』····· ふぅ、落ち着いたわね·····ふぐっ!?えっ!?また!?じゃあもっと強いの行くわよ!『トランキライザー』!!! ·····あっ、良くなったみたいね、まったくヤンチャな子なんだから·····」
◇
ゴスッ!
ガイア「ィい゛っだぁああっあッひゃひゃっひゃひひゃっwwwちょっwww爪剥がれてブッヒフォwww笑えないwwwマジ笑えないwwwでも笑い止まらないっwwwゲヒヒッwwwマジ痛いっwwwイヒーッwww」
ウラヌス『·····(凄く冷たい目)』
◇
名前:?ふ?・?ュ??ん
年齢: 約-4ヶ月
性別:女
ひと言コメント
「俺私俺私俺私····· あーーー!!!ムズい!今更口調を変えるとか無理だろ!!いや、まだ時間はある、ゆっくりやって行こう····· 俺私俺私俺私俺私オーレッ!(フラメンコ風)·····何やってんだろ、俺」




