魔力の循環練習
「ねぇソフィちゃん、なんか、魔力が恐ろしいくらい動かせるようになってるんだけど·····」
「僕も今なら魔法が撃てる気がするよ」
「私もて、これで魔法の威力が上がるわ」
「これでお嬢様のファイアーボールが温め専用魔法なんて呼ばれなくて済みますね」
「わ、わたしも、魔法がもっと使えそう!」
私が無理やり魔力流路を解放した面々は、どうやら何の後遺症もなく絶好調だった。
いや、後遺症があっても私だったら無理やり治せそうだけど、また先生に説教を食らうのは嫌なので本当に何も無くてよかった。
「とりあえず、魔法を使ってみる前に皆でもう一度だけ輪を使って魔力を流してみない?魔法の練習にもなるだろうしさ」
『はーい!』
私たちは先程と同じ構成で手を繋いで輪を作り、再び魔力の循環に挑戦する。
今回は私が直々に魔力流路を整えてあげたので、上手くいくはずだ。
「じゃあ行くわよ!ふぬぬっ!」
「あっ、きた!」
「流れてきてる!」
「うん、大丈夫そうだね」
「あぁー、これが魔力だったんだ·····」
おっ?
今回は正常にグラちゃんから魔力が流れて来て、みんなの流路を通ってグラちゃんに帰ってる。
うん!ちゃんと流れる魔力の量も増えてて、質もかなり良くなってるね!
しかも、この班のみんなは、ちゃんと魔力を感じ取れているようだ。
これでウチの班は課題クリアだ!
「うん、みんなちゃんと魔力を感じてるみたいだね!良かった良かった」
「ソフィはやり方が雑すぎよ·····」
◇
「せんせー!次は何をしたらいいですかー!」
「えっ早っ····· ええと、次は自分の中で魔力を循環させて魔法発動に必要な魔力を練る練習ね、それが出来たら魔法の発動よ」
『はーい!』
ちなみに私は魔力の循環なんて楽勝で出来る。
あとグラちゃんも多分できるし、ウナちゃんも魔法が使えるっぽいことを言ってたから出来るだろう。
問題は、私の友達2人だ。
仕方ない、私がサポートしてあげよう。
「じゃ、私が指導するね!まずはアルムちゃん、アルムちゃんは杖を両手で持って、それにさっきの感覚で魔力を動かして右手から左手に流してごらん?」
「はーい!」
アルムちゃんは私の指示通り、杖を両手で掴んで少しずつ魔力を流し始めた。
次はフィーロ君の番だ。
「フィーロ君はコレ苦手そうだから、私が最初だけ感覚を掴むサポートをするよ!あっ、今回は弱くやるから大丈夫!」
「う、うん、お願いします」
「じゃあフィーロ君は身体の前で手を合わせて?私がいつもやってる『いただきます』のポーズだよ」
「こう?」
「そ、じゃあちょっと肩を借りるよ」
私は合掌しているフィーロ君の肩に手を置き、先程の時のようにフィーロ君の流路に干渉する。
そして、私の魔力でフィーロ君の魔力をフックで引っ掛けるイメージで魔力を右手側から引っ張り、そのまま左手に向かって進んで心臓付近に戻す。
「どう?なんか分かる?」
「うん、なんとなくだけどわかる気がする、水が流れてる感じと似てる····· かな?」
「そうそう、その調子で頑張ってね!フィーロ君!」
「うんっ!僕頑張るっ!!」
さーて、次は何をしようか·····
おっ、アルムちゃんがいい感じだ。
なんとなく魔力が流れてる感じがする。
「アルムちゃんはどう?」
「うーん、杖までは来てるんだけど、そこから先が進まない·····」
おや?なんかトラブル発生?
魔力眼で魔力の流れを追跡すると、アルムちゃんから出た魔力が右手を通るところまではいいが、杖に差し掛かると魔力伝達効率の良い杖の方に魔力が流れてしまい、左手まで届いていなかったらしい。
「あぁー、たぶん杖が魔力を吸っちゃってるね····· とりあえず右手から流す感覚はわかった?」
「わかった!」
「じゃあ、今度は杖を離して、右手と左手をくっつけてさっきみたいにやってみて」
「うんっ!あっ!流れてるっ!」
「え、早っ」
どうやらアルムちゃんは杖で魔力が引っかかっていただけようで、離したら無事に魔力が循環するようになってきた。
やっぱり魔法学校の上位クラスに入るだけあって、才能はすごく高いのだろう。
「じゃあ今度は左回転でやってみて」
「えっ、あれ?出来ない····· むむむ·····」
「頑張れー!分かんなかったら私に言ってね!」
「はーい!」
◇
さてさて、次はどうしよっかなー
おっ?後から来た2人が何やら集まってるわ。
「2人ともー、なにやってんのー?」
「あらソフィ、あなたが来るまで暇だったから、魔力を循環させて遊んでいたのよ」
「せんせいが言ってたんだけどね!れんしゅうで循環させてるといいんだって」
「ふーん、私もやってみよっかな」
ええと、両手の親指と人差し指を付けて大きな円を作って、そこに軽く魔力を流して·····
「まぁ、簡単だよね」
「そうね、これくらいなら今の私なら出来るわ」
「わ、わたしも·····」
簡単に魔力のループが完成し、グルグルと魔力が回っているのが感じられる。
あっ、そうだ、暇だし込める魔力をめちゃくちゃに上げてみよっかな。
なんか面白い事起きそうだし、やってみる価値ありかな?とりあえず魔力遮断の結界を貼って、魔力を6万くらい流して·····
「ちょ!ソフィ!指の間がとんでもない事になってますわよ!?」
「うわぁ、きれい·····」
「えっ?あっ!?何コレ!?」
循環していた円の中になんか魔力の球が出来てた。
·····あ、これ自然生成の『マジックバレット』だわ、たぶん魔法版の右ネジの法則みたいなのが発生してるのが原因かな?
危なそうだったんで魔力を少しずつ減らしていくと、1万を切ったあたりで『マジックバレット』は消滅してしまった。
·····この現象、何かに応用出来そうだなぁ。
電磁気学も一応大学で学んでたから、なんかに応用出来るかもしれない。
「ま、まぁ、ソフィも含め私たちは魔法も使えそうですし、先生に言って先に魔法の練習をしてみないかしら?やっとマトモに魔力が使えるようになったから、早速この杖の力を試してみたいわ」
「わ、わたしも、おじいちゃんから貰った杖を試してみたいな」
「私もこの杖の練習をしておきたいなぁ·····」
よし!暇だし先生に許可を得て、みんなより一足先に魔法の練習を始めちゃおう!
·····お爺ちゃんが何者かは察してるけど聞かないでおく。
『せんせー!魔法の練習を始めてもいいですかっ!』
「えっ、はやっ、あぁグラシアルちゃんとソフィちゃんね、魔法はあそこにある岩壁に向けて打ちなさい、万が一壊れたら先生に言いなさいね、あと!魔法は人に向けて撃たないこと!いい?」
「「「はーい!」」」
「·····あら?今3人分の声が聞こえたような?気のせいかしら····· あったぶんウナちゃんね、それなら大丈夫だわ」
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「ん?もしかして魔法でレールガンみたいなの作れちゃったりする?どういう仕組みだったっけ·····」
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「·····いただきますってなんだろ?」
名前:アルム
年齢:6才
ひと言コメント
「私も魔法つかいたーい!!」
名前:グラシアル・ド・ウィザール
年齢:6才
ひと言コメント
「·····あれ?もしかしてソフィって私より強かったりするのかしら?絶対に負けないわっ!」
名前: ウナ・ウェア・ラ・サークレット
年齢:6才
ひと言コメント
「わたしの魔法は体が消えちゃう魔法じゃないよ?」




