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祖竜


「、、、俺の記憶を?」

「悪くない話だろう?君は力を御するチャンスを得る。僕は情報を得るだけさ。君に危害は加えない」

「その発言を信用しろと?」

「血印の類いに代表される魔術的な契約を使うからね。誓いは破らないさ。」


本当にそうなら契約自体は信頼できるものだ。だが、ウィリアムの狙いが記憶情報だとして、何のために?いまいちそこが分からない。


「ウィリアム。契約で君の得る利益はなんだ?それを聞かないと信用できない」

「うーん、痛いところを突いてくるね。言ってもさらに怪しくなるだけだからなぁ」

「それでもだ。狡猾な商人みたいな契約出されて納得するわけないだろ」

「わかってるよ、、、君は正しい。可能な限り説明するよ。僕は、いや僕らはある人物を探している。それは君にも関わりのある人のはずだ。そしてこの契約は、君のこれまでとこれからの記憶を探索することでその人物を探ること、そして将来君の加入を見据えた布石を作ること、を目的としている」

「まて、説明になってない。その人物を探す、俺を勧誘する。それが意味することを説明してもらわないと」


はぁ、とウィリアムはため息をつく。同情と安堵と憐れみの混ざった目がこちらを見た。


「君に接触する前に身辺調査はさせてもらったよ。君の性格、これまでの行動、まだ君は何も知らないということも。本当ならこの契約は君が真実を伝えられてから行うと定めていた。けれどそれでは選択の余地は無いに等しくなってしまうと思ってね」


「それは、、、どういう?」


「君はこの世界で行われていることの真実を知ってなお、自分には過去のことだ、他人のことだからと目を背けて生活できるほど()()()()じゃないだろう」

「何?」

「話を切るよ、もうすぐ着く」


唐突に眼下に地面が迫ってくる。真っ暗闇だった辺りは徐々に色がつき、砂ぼこりにけぶった空が現れる。衝撃を予感し体が強ばったが、意外にも軽い感触で着地する。


赤褐色の大地、所々突き出た岩、乾燥し風化したそれらがはらはらと砂になって宙を舞うのか、空まで同じ色の世界。


「ここはいったい、、、」

「君の内面世界だ。そして初お目にかか、、、あっぶねぇぇぇ?!」


今までの飄々とした調子が嘘みたいなガチの悲鳴がウィリアムからあがると、彼の居た場所に光線が走り、火柱が上がる。


「何かこう、もうちょっとさぁ、遠慮とか手心ってものは無いの、祖竜様ぁ?」

「たわけ、汚らわしい夢魔が土足で踏み込んで良い場所なものか!」


なんだか尊大な声が背後から響いた。エバンをすっぽり覆うほどの影が地に落ちる。明らかに翼を持つ異形の影が。


振り返るエバンの目に映ったそれ。


「それ」は薄い衣をまとった少女だった。だが、彼女の体は末端に行くにつれ金属片が周囲を旋回していて、手足の先は破片が多く、隠れている。それどころか破片は飽和した魔力を揺らめかせながら巨大な爪を持つ獣の手足まで型どっているのだ。竜の象徴とも言える翼も金属片を重ねたようで、、、


とても生物のようではなかった。少女でさえ機械のコアのような部品にすぎないと感じさせる存在だった。


「ウィリアム、まさか力を御すってあれを、、、」

「残念ながらその通りだね。君は自分が力を使うに相応しい者であることを祖竜に証明しなきゃならない」

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