第八話 連携と討伐
「なっ……何も見えない!」
『落ち着け、相棒。俺はカメラを通してそっちの様子が分かる。指示に従うんだ!』
「ラ、ラジャー!」
『なんだその掛け声……』
「雰囲気出るかなって」
『言ってる場合かっ!前方に人影があるぞ、警戒するんだ!』
「り、了解!」
一連のやり取りを終えたネイチャーは、言われた通りに周囲に意識を巡らせる。
そうしている間にも、視力は回復してきていた。
周囲を警戒しつつ、ネイチャーは目を開けようとした。
その時だった。
「ヒーローの首、もらったぜぇ!!」
という叫び声と共に、サングラスをかけた男の腕が黄色に光るオーラに包まれた。
「『エレキショット』!!」
男の掛け声とともに、腕から放たれた雷のような光がネイチャーの方へと向かっていく。
『気を付けて相棒、正面から中級の電撃魔法(注1)が接近中だ!』
「わかった、『フォレスト・バリア』!」
ネイチャーの掛け声とともに、何処からともなく伸びてきた蔦が障壁に変形した。
それに阻まれた電撃魔法は、ネイチャーに当たることなく消え去ってしまった。
「よし、目が回復したぞ!」
『オーケー、前方のサングラス野郎が魔法の発射源だ!ロボット騒動との関連を調べたいから生け捕りにするんだ、殺しちゃだめだよ!』
「任せろ!」
高らかにそう言い放ったネイチャーは、地面に左の掌をつき……
「『フォレスト・バインド』!」
蔦で相手の身柄を拘束したのだった。
「くそがぁ!離せ、これをほどけ!!」
「暴れるな、今警察がこちらへ向かっている。もう助からないのだから、無駄な体力は消耗するもんじゃないぞ。なんたって、日本の刑務所に入れられてしまうのだからな……体がもたなくなるぞ。」
「今頃、もう一方のビルでは、俺たちのボス、カオス様がヒーローをボコボコにしているだろうな!!そっちこそ、無駄な抵抗はやめて大人しく引き下がらないと、警察ともどもカオス様に殺されちまうぞ!」
『なに!?』
「相棒、もう一つのビルまでナビを頼む、アトラスが危ないかもしれない!」
「その必要はないよ」
咄嗟に走りだそうとしたネイチャーを、何処からともなく聞こえた声が阻止した。
「何者だ!」
慌てて辺りを見まわすが、声の主らしい人は見当たらない。
周りには、ネイチャーの救助によって避難を始めていた一般人の姿しか見られなかった。
「そこの緑色のヒーロー、アトラスとやらは無事だ。」
「一体お前は誰なんだ!姿を現せっ!」
「いいだろう、避難所で待っている。」
そんな、性別が判断できないような中性的な声での返事が響くと、ネイチャーの後ろで静かに落ち葉が舞った。
〈注意〉
1.中級の電撃魔法・・・身体改造によって手に入れた、超常現象を引き起こす力のことを魔法と呼ぶ。その種類は多岐にわたり、攻撃から回復、移動など、様々な用途で活用される。また、威力や効能は初級・中級・上級と言った具合に区分されており、魔法の適性が高い身体の持ち主は、より高い区分の魔法を操ることが可能である。




