第十話 巨大怪獣の出現
爆発音を聞きつけたネイチャー、アトラス、オチバの三人は、交差点に立ちふさがる巨大怪獣の出現に呆然と立ち尽くしていた……
「な、なんだこれ!……ギャングが原因の爆発じゃなかったのか!?」
「いや、あれは身体改造を施されたギャングの可能性が高いね」
慌てるネイチャーに、オチバは冷静にそう答え、腰のロープに手をかけた。
「あの大物をロープで拘束する気か?」
ネイチャーとは対照的に落ち着いたアトラスは、仮面の下で眉間にしわを寄せてそう問うた。
「いいや、これはこうやって使うんだよっ!!」
言いながら、オチバは、怪獣の攻撃でも折れ曲がらずに耐え抜いた一本の信号機めがけてロープを投げて巻き付け……
「うぉりゃあ!!」
助走をつけて高くジャンプをしたオチバは、ビルの壁を蹴りながら天へと舞い上がり、ポケットから取り出した拳銃で怪獣の目玉を撃ち抜いた。
目玉を撃ち抜かれた怪獣は、暴れた後にバランスを崩して転倒した。
「緑仮面、鳥仮面(注1)、今がチャンスだよ!!」
「「任せろっ!」」
『FINISH READY?』
アトラブレスから、必殺技の発動を知らせるシステム音が流れる。
すると、空中に浮かび上がった地図を模したディスプレイが投網のように怪獣を包み込んだ。
「グランドルート・フィニッシュ!!」
アトラスは技名の掛け声とともに背中に生えた羽で空中へ高く飛び上がり、怪獣に向かってキックを炸裂させた。
その傍らで、右足を緑色に光らせたネイチャーも技名を言い放つ。
「ガイア・リブート」
技名を言い放つと同時に空中に飛びあがったネイチャーは、怪獣の腹部へ強烈なキックをくらわせた。
「「はあぁ!!」」
怪獣を挟むように放たれた二人のヒーローによるキックはやがて怪獣の身体を貫き、二つの大きな穴をあけた怪獣は淡く光り、元の人間の姿へ戻ってしまった。
怪獣の消滅による衝撃波で雲が吹き飛び、頭上には青い空が広がった。
環境汚染と治安悪化が深刻化する昨今の渋谷では久々の出来事だった。
「いつの間に夜が明けていたのか……」
なんとなく天を仰ぐネイチャーの無線に、一つの連絡が入った。
『相棒、お前は政府公認ヒーローなんだから、そのギャングの逮捕を頼んだぞ。』
「逮捕って……どうすりゃいいのよ」
『腰のベルトのバックル中央にあるボタンを押すと、バックルが開いて手錠が出てくるから。それで相手を拘束したら、フォレスフォンでそいつの回収を専門部隊へ依頼できる。』
「へぇ、よくできてるんだな……よし任せろっ」
ネイチャーはそんな呑気な返事をかましながら、ギャングの拘束へ向かった。
〈注意〉
1. 鳥仮面・・・オチバがアトラスを呼ぶ際、アトラスの装甲が燕を模したデザインであることから名づけられたあだ名。アトラスがネイチャーのことを『緑仮面』と呼んでいたことがオチバにも定着したことで『〇〇仮面』という形式が採用された。




