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最強魔導士の星婚《ステラリガーレ》~異世界から召喚された勇者に恋人を奪われた上にパーティーを追放されたけど、英雄エルフを嫁にしたら最強超えて究極になった~  作者: 源朝浪
第一部・第一章 伝説の英雄エルフに求婚された

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第十二話 即興のチームワーク

 水中から飛び出し、武器による攻撃を狙ってくる魚人を。ウィルテイシアは剣と暗器で。俺は魔法で。それぞれ撃退していく。


 正面から来る魚人にウィルテイシアが向かえば、俺は左右の魚人を。魔法の隙間を()うように俺の(うし)ろから迫る魚人がいれば、彼女が暗器を投げて迎撃し。俺は、そんな彼女の背面を狙う魚人を追加の魔法で撃ち落とした。


 まるで一対の貝殻のように、ぴったりとハマる俺たちの戦い方は。初めからそうなることが決まっていたかのように。お互いのポテンシャルを存分に引き出してくれる。


「いい、いいぞ! ライオット! いつもよりも身体(からだ)が軽い! まるで背中に翼でも生えたかのようだ!」

「それはなによりだ! 俺の方も、いつもより調子がいいよ! これも、ウィルテイシアが俺を拾ってくれたおかげかな?」

「いいや! これが貴方(あなた)の本来の実力なのだとも! それでこそ、私が旦那様にするならこの男性だと思い知らせてくれた人だ! 貴方(あなた)を好きになって、本当によかった!」


 これぞまさにベストマッチ。お互いがお互いを補完し合い。かつ高め合う。理想的なチームワーク。これほど息が合う組み合わせなど、偶然に出会うとこはないはずなので。これこそ運命の出会いだったのではないかと、ついそんなことを思ってしまったり。


(……いや、ライオット。自惚(うぬぼ)れるな。これはあくまでパーティーとして。タッグとして上手く行っているに過ぎない。恋愛を挟んだ時にどうなるかは、まだわからないんだから。今は戦いに集中しろ!)


 つい緩みそうになる気持ちを引き締めつつ。ウィルテイシアがより思い切り暴れられるよう、氷の足場を追加する。


 魚型の魔物と同じで、いつ終わるのかはわからない物量だけど。それでも、戦闘の流れ自体は、非常に安定していた。


 ウィルテイシアの攻撃は、的確で正確だから、こちらとしてもサポートがしやすく。彼女は彼女で、そんな俺のサポートを受けることを前提に、上手いこと立ち回っているイメージ。


 言葉にしなくとも、それがカッチリとハマっているので。お互いに気分が良くなるのは当然と言えば当然なのだろう。


 彼女は俺のことを完全に信頼してくれているようで。俺の魔法が後方から自身のすぐ脇を通り抜けても全く気にする様子はない。むしろ、俺が次にどこを狙うのかも計算に入れた上で立ち回っている節すらあって、彼女の能力の高さを改めて思い知らされる。氷上で舞い踊るかのような彼女の剣技は、まさに大輪の花。一種の芸術だ。


「私とライオットの初めての共同作業! 本当はもっとロマンティックな環境と内容がよかったが! これはこれで悪く、ない!」


 勢いよく横に振られた彼女の剣が、(かぶと)と鎧の隙間を縫うように走り。魚人の頭部を吹き飛ばす。心なしか、その動きの速さが、俺と戦った時よりも鋭く見えたけど。これは気のせいなのか。それとも俺と戦った時は本気でなかっただけか。


 とにかく、彼女は戦闘で興奮しているだけでなく。俺との共闘すら楽しんでいる様子。緊迫感には欠けるが、その姿も実に健気で可愛らしい。こんな魅力的な女性に好かれてしまって本当にいいのだろうかと、むしろ不安になる。


「ウィルテイシアはそのまま自由に動いてくれて構わないぞ! 俺が全部合わせる!」


 しかし今は戦闘中。いらぬ不安で動きを乱す訳にはいかない。


 俺が気を引き締めなければ、この圧倒的な物量が、俺たちを飲み込みかねないのだから。


「ああ! この命、貴方(あなた)に預けるぞ!」


 彼女が打ち震えるような笑みで、それに(こた)えたことで。タッグパートナーとしての立ち位置を再自認できた俺は。その勢いのまま、『ストーンバレット・マシンガン(仮)』で、後ろに回り込んで来た魚人の(むれ)一掃(いっそう)する。


 このやり取りが気に入らなかったのか、デモストールは苛立(いらだ)たし()にしているのがわかった。


 まぁ、真剣勝負の最中にカップルの『いちゃこら』を見せられたら、誰だって気分が悪いだろうけど。別にやましいことをしている訳でもないし、敵相手に何を遠慮する気もない。


 ウィルテイシアが剣を振るう(たび)に咲く鮮血の華で、まるで周囲が深紅のバラに囲まれた庭園にでもなったように見えて。俺はそれを管理する庭師のような気分になる。


 そういうことなら、この庭をより美しく剪定(せんてい)することこそ俺の使命。王宮付きの庭師が腰を抜かすくらい、派手に華麗(かれい)に仕上げて見せようではないか。


 水中に潜んだ魚人の残りをあぶり出すべく。俺は海中に向けて、電撃を放つ魔法――『ライトニングボルト』を放つ。


 あまり威力を高くすると、氷上にいる俺やウィルテイシアも危ないので、出力を絞りつつ、しかし広範囲に広がるように加減。魔法の拡散や収束も、師匠の教えあってこそ身についた技術なので、改めて師匠には感謝したいところだ。


「ライオット! 魚人たちが急に力なく水上に浮かんで来たぞ!?」

「俺の魔法だ! 俺も手伝うから、一気にとどめを刺そう!」

「なるほど! さすがは私の旦那様だ! そういうことなら!」


 金髪をなびかせながら突貫するウィルテイシアと、それを援護しつつ、彼女の間合いにいない魚人の排除を並行して(おこな)う俺。やはり、ぶっつけ本番での連携とは思えない、見事なチームワークだと思う。


 これが本当のパーティー戦というものなのかと、俺は初めて湧き上がる戦闘の爽快感と興奮に酔いしれ、それを大いに楽しんだ。


「ライオット=ノールディ! まさかこれほどとは!?」


 どちらかと言うと俺が凄いというより、ウィルテイシアが上手く立ち回ってくれたおかげなのだけど。それでもデモストールは俺の動向の方が気になるらしい。


 師匠のことも知っているようだったし、自身との相性的に魔導士の方を危険視している可能性もある。


 まぁ、奴はウィルテイシアの正体を知らない訳だし、それも仕方ないことと言えばそれまでかもしれないけど。


「俺ばっかり見てていいのか? 俺の相方が、もうお前の喉元に喰らいついてるぞ?」

「むぅっ!?」


 俺の一言で我に返ったらしいデモストールは、器用に上体を逸らせて、喉元まで迫っていたウィルテイシアの横薙(よこな)ぎの一撃を回避する。


 あのタイミングから彼女の斬撃を(かわ)わせたのは大したものだけど。これはいらない助言をしてしまったか?


「一介の指揮官風情が、今のを回避するか! どうやら大層なのは見た目だけではないようだな!」


 攻撃を(かわ)されたというのに、ウィルテイシアの表情は明るい。目を見開き、大きく口を開け、獣が牙を()いているかのようなその笑顔は、武人として強者(つわもの)と戦える喜びと言えばいいのか。自分の実力に懐疑的(かいぎてき)な俺には、少しわかりにくい感覚なのかもしれない。


「楽しそうだな! ウィルテイシア!」

「ああ、楽しい! 楽しいさ! 貴方(あなた)とこうして、ともに戦えているのだから!」


 訂正。強い相手と戦うことではなく。俺との共闘に高ぶっていたらしい。


 そう言ってくれるのは嬉しい限りだし、俺からもお礼が言いたいくらいで。でも今は戦闘中だから、終わったら改めて彼女に感謝を示そうと。俺は決意を新たに、ニッと笑顔を浮かべて見せた。


 それにしても、彼女は自らの感情を、素直に真っ直ぐに表現してくれるからありがたい。そこに一切の駆け引きはなく。対女性相手特有のやりづらさというものが全く含まれてない。それが、彼女がエルフだからなのか、彼女自身の個性なのかはわからないけど。実に好ましい特性と言える。


「……エルフの剣士か。人間と共闘など珍しいが、なかなかに侮れん」


 一部隊を任されているだけあって、デモストールは思慮深さを兼ね備えているようだ。所詮は魚人と舐めてかかれば、返り討ちに遭う可能性もあるだろう。ここは一層ウィルテイシアと呼吸を合わせ、堅実(けんじつ)に戦いを進めていきたいところだ。


「よかろう! 貴様らは強者(つわもの)だ! この群青(ぐんじょう)のデモストール、心して挑ませて貰おう!」


 言うなり。デモストールはその巨体を存分に生かした強烈な拳を、俺たちに向かって、鉄槌(てっつい)のように振り下ろした。

読んでいただきありがとうございます。


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