エピローグ 二人の花嫁
カトレアを改心させたわたし達は、青龍に跨り魔王城を後にした。
そして、わたし達を出迎えたお兄様達は、カトレアが一緒に居ることに大きな驚きを与えた。
カトレアは必死にゼノンとアリアに謝罪した。
ゼノンは激しい怒りを見せていたものの、メイ様とわたしの強い説得により、なんとか許して貰えたのだ。
そして、カトレアの処分については、アリアとゼノンは無事だったこと、それ以外の被害はほとんどなかったこと、勇者であるメイ様とわたしの強い説得により、なんとか学園長追放も免れ、処分は1ヶ月の謹慎、それから本人の強い希望により1学年下がりわたしとメイ様と同学年になった。
なお、わたしはというと、メイ様と共に魔王を討伐した功績が称えられ、アリアを差し置いて聖女として認められた。
それから、わたし、メイ様、カトレア、そしてジークの4人はパーティー『マナアース』を結成する。
マナアースは結成後数々の偉業を成し遂げる。
生徒会戦では、圧倒的な力でゼノン達を叩きのめし、1年生で生徒会に就任する
ゼノン達を倒したメイ様とカトレアは、歓喜に湧いたのは言うまでもない。
そして在学中にS級ダンジョンの制覇、全SS級の魔物の討伐、数々の未開の地の開拓等を成し遂げる。
マナアースは、魔法学園始まって以来の最強パーティーとして語り継がれ、わたし達は歴代最高の成績で卒業した。
序列1位メイ様、2位がわたし、3位がカトレア、4位がジークであった。
なお、在学中に帝国との戦争は起きなかった。
帝国戦争編は回避されたのだ。
メイ様とわたしは在学中に、ジークの助けを借りて積極的にアークと交流を図ったこと。
既に勇者として覚醒しているメイ様、そして聖女であるわたしという圧倒的な戦力の前に、戦争しても叩き潰されるだけだと思われていたのが大きかった。
今ではメイ様の積極的な交流のおかげて、帝国と王国は友好国となっている。
そして早いもので学園を卒業してから、5年の月日が流れた。
わたしとメイ様は20歳になった。
「ミルロ様、お綺麗ですよ。完璧です!」
わたしの侍女である『リコ』は、わたしの化粧とドレスの支度を終えて笑顔を見せた。
彼女は獣人族で、わたしの魔法学園の同級生だ。
入学時に、ジークとその取り巻き達に虐められていた子である。
学園生活中に仲良くなり、わたしは彼女を侍女として取り立てたのだ。
今では、わたしにとって掛け替えの無い存在だ。
すると、わたしの支度が終えたのを見計らったように部屋にノックの音が響き渡る。
そして、ドアをあけて1組の夫婦が入ってきた。
かつての仲間であり親友のカトレアとジークだ。
カトレアはあれから新しい恋を見つけ、共にパーティーを組んだジークと2年前に結婚したのだ。
今では帝国宰相となったジークを支えつつ、帝国と王国を支える架け橋として日夜奮闘してくれている。
「ふふふミルロお綺麗ですよ。ついに貴女達も結婚なのですね。本当に結婚してしまうとは、驚きましたわ。でもなんだか本当に貴女達らしいですね」
「ふん。なかなか綺麗だなミルロ。まったく学園中の憧れのマドンナをまさかお前がかっさらっていくなんてな。流石、俺のライバルだ。おめでとう、絶対彼女を幸せにするんだぞ。」
「ありがとう、カトレア、ジーク。わたし絶対に彼女を幸せにしてみせる!これからも親友として宜しくお願いします。」
純白のウェディングドレスに身を包んだわたしは、会いに来てくれた2人に笑顔でお礼を言う。
今日は、わたしとメイの結婚式なのだ。
結婚に漕ぎ着けるまでには、本当に苦労した。
ウィシュタリア王国も日本と同じで、同性婚が認められていなかった。
そこでメイ様の王女としての権力と勇者としての功績、わたしの聖女としての功績を使い関係各所と世論に根回しを図ったのだ。
そしてついに去年、法律を改正させた。
ようやくわたし達は結婚を認められたのだ。
そしてカトレア達が去った後、再びノックの音が響き渡り、2組の夫婦が入ってきた。
入っきたのは、ゼノンとアリア、そしてお兄様とカリンだ。
ゼノンとアリアはシナリオ通りに、学園を卒業してすぐに結婚を果たした。ゼノンは王太子として日夜奮闘している。
アリアもそんなゼノンを必死に支えている。
実は、勇者としての功績と魔法学園の歴代最高点を称えてメイ様を王位継承権を1位にあげる話が合ったのだが、メイはやんわりと断った。
メイが王女としてなってしまえば、跡継ぎの問題が発生してしまう。
そうすると、女性同士の結婚が認められない恐れがあったからだ。
また、ゼノンと王位継承権争いをして国を分裂させたくないというのも理由である。
そしてお兄様とカリンもなんと3か月前に結婚をした。
カリンの強い希望で、わたしはお兄様をカリンに紹介し、カリンの猛アタックの末に、ついに結婚を果たしたのだ。
カリンの恋の悩みを聞いていたのが、今でも忘れられない。
なお、マルチーズ家は男爵家から伯爵家に爵位が上がった。騎士団長であるお父様の功績とゼノンと兄が親友だったこと、そしてわたしの聖女就任の功績が大きかった。
お兄様は次期伯爵家当主候補と副騎士団長の業務に日夜奮闘している。
「ミルロ結婚おめでとう。まったくお前と妹には驚かされてばかりだよ。これからも聖女としてこの国を支えてくれるとありがたい。これからも宜しく頼む」
「ミルロちゃん。結婚おめでとう。本当に貴女とメイちゃんは一途で素敵だわ。これからは義理のお姉さんになるけど今まで通りに仲良くしてくださいね」
「ミルロおめでとう。君がマルチーズ家に来てから本当にいろいろあったね。本当にありがとう。今のマルチーズ家の発展は君のおかげだよ。これからも支えてくれると嬉しいな」
「師匠おめでとうございます。師匠の花嫁姿が見れて本当にうれしいです。義理のお姉さんとして、頼ってくださいね!!」
4人は口々に祝福の言葉と共に、わたしに言葉をかけた。
わたしは幸せものだ。
こんなにもたくさんの方に祝福してもらっている。支えてくれている。
わたしは笑顔でお礼の言葉を伝えた。
「皆さん、本当にありがとうございます。これからも宜しくお願い致します。共にこの王国を支えていきましょう」
そしていよいよ式の開始時刻となった。
わたしは扉を開けて式場である教会に入った。
教会は多くの来賓で埋め尽くされていた。
学園長をはじめとした先生方、学園の友人たち、そして大切な家族。
見知った顔が一斉にわたしに注目する。
そして遅れて、もう片方の扉が開く。
そこには純白のウェディングドレスに包まれたメイ様が現れた。
メイ様のあまりの美しさにわたしは息をのむ。
会場はメイ様とわたしのW新婦の登場により、興奮の渦に包まれた。
「ミルロ、本当にありがとう。わたしを選んでくれて!本当に綺麗よ」
「メイ、こちらこそ本当にありがとう。メイの美しさには敵いませんよ。これからも宜しくお願いします。」
向かい合ってわたし達は言葉をかけあう。
そして手を取り合うと、二人でバージンロードを歩いた。
「二人ともお幸せに!」
「本当に綺麗よ、二人とも」
「ウィシュタリア王国万歳!!勇者メイ様と聖女ミルロ様に祝福を!」
辺りにはわたし達を祝福する声が響き渡る。
思えば、この世界に来てからいろいろなことを経験した。
そして多くの困難を乗り越え、今わたしはこうして生きている。
今ではこうして多くの友人や仲間達に囲まれ、素晴らしいパートナーにも巡り合えた。
メイ様と出会えて本当によかった。
わたしとメイ様は同じ性別だ。
法律を改正したので合法ではあるものの、まだまだ世間の目は厳しいのが現実であろう。
でも、わたしは誰よりもメイ様を愛している。
メイ様の前では、どんな殿方でも霞んでしまうのだ。
わたしは女性が好きなのではない、たまたま好きになったのが女性であるメイ様だったのだ。
そこに他意はない。
「では新婦メイ。貴女は生涯、ミルロを愛することを誓いますか?」
「はい、誓います。」
神父の言葉に続き、メイ様の誓いの言葉が会場に響き渡る。
「それでは新婦ミルロ。貴女は生涯、メイを愛することを誓いますか?」
「はい、誓います!!」
わたしは元気よく誓いの言葉を答えた。
そして誓いの言葉を交わした、わたしとメイ様は互いに目を瞑り、誓いのキスを交わした。
キスと共に、会場は多くの拍手が鳴り響く。
これからもわたし達の人生には多くの困難が待ち受けているだろう。
でもわたしは一人ではない、メイという素晴らしいパートナーを手に入れたのだ。
2人でどんな困難でも乗り越えていくだろう。
周りの目や運命なんて関係ない。
わたしは、これからも好き勝手に生きていく。
これはわたしいや、わたしとメイ様の物語なのだから。
最後までお読み頂きありがとうございました。
また、新作を公開した際には宜しくお願い致します。




