表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

3

あてがわれた部屋はとても広かった。


どでかいダブルベッドが部屋を大きく陣取っているが、それでも大きなスーツケースが余裕で広げられるスペースが残っている。


窓際には一人掛けのソファが二つとグラス、ティーバック、ポットや飲料水を置いた小さめのテーブル。


また、壁際には書き物机とその隣には大きなブラウン管テレビがある。


洗面所付きのユニットバスもなかなか広い。


ただ、湯船につかることを想定されていないのだろう、浴槽は膝までしかないほどの浅さだった。



 こんな部屋が一泊350元とは、物価の違いは恐ろしい(一元は約十五円)。


残念な点は、清潔感はあまりないところだ。


所々掃除が行き届いていない感じがするし、枕など心なしか汗くさい。


 一通り部屋を見終わったところで、インターホンが鳴った。


覗き穴から外を見て角谷さんだとわかったので、ドアを開ける。


「丸山さん、夕食ご一緒にどうですか?」


「いいの? 正直、この辺のことは何もわからないから助かったよ」


「そうだろうと思ったんです。といっても、今夜はホテルのレストランのつもりですけど。移動で疲れてるし、もう遅いので今から外に出るのはおっくうですから」


もちろん彼女の提案に異論はない。


俺たちはホテル内にあるレストランで夕食をとることにした。


 二人とも中国語はできないのでメニューはなんとか漢字と英語から料理を推測し、身振り手振りでウェイトレスに伝える。


出てきた料理は中華料理だ。


日本で見る中華とは少し違っていたが。


味はというと、想像していたよりはおいしかった。


ただ、非常に油っぽい。


脂っこいというより油っぽいのだ。


水の不味さをごまかすために大量に油を使うそうなのだが、炒め物から滴るほどというのはいかがなものか……。


 お腹も満足して部屋に帰るともう二十一時過ぎだった。


日本との時差は一時間なので、向こうはもう二十二時過ぎだ。


そういえば祐子に何の連絡もしていなかったことに気がついて、携帯を開いた。


メールの選択受信画面を見ると、メルマガが数件と祐子からのメールが一件入っていた。


祐子からのメールだけ受信してみると、「無事に着いた?」という内容だ。


着いたことと、中国の印象を軽く書いて返信した。


祐子とメールのやりとりを何通かしているうちに眠くなってきたので、風呂に入って寝ることにした。


シャワーの湯加減を苦労しながら適温にして頭から浴びてみると、湯が驚くほど砂臭かった。


体を洗うためにシャワーを浴びているのに、なんとなく体をきれいにした気になれない。


今日は働いてもいないのにどっと疲れたので、ベッドに入るとたちまち眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ