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魔物使いはめんどくさがりながらも相棒と異世界で生きていく  作者: 千歳
1章~別名説明回とも言う~
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テイマーギルド1

「シンジさん、ここですよ、ここ。良かったぁ、ちゃんと来れて」

 

 慎二はテレサの案内でテイマーギルドにやって来ていた。

 テイマーギルドは冒険者や魔術師、商人ギルドなどがある大通りから外れた小道に建っていた。

 来るときに見た大手のギルドに比べて街の外れにあるためか敷地だけは広いが、建物は大手のギルドがレンガ造りであるのに対して木造。壁はところどころ剥がれている部分もある。外見はひいらぎ亭と負けず劣らずだ。前向きにいえば歴史を感じさせる。平たく言えばボロい。

 

 昨日門番に仮の従魔の証を渡されたが、これを正規のものへと変える手続きにきたのだ。

 昨日はヴァレンがいろいろと手を回してくれてすんなりと街に入れたが、実際はテイマーギルドの承認、あるいはそれに相当する証明がなければいろいろと面倒な手続きが必要になる。

 今後フェンと生活する上で必須、いわばフェンの身分証の発行だ。

 テレサは-仕事から抜け出す口実として-案内役を買って出た。実際ひいらぎ亭には慎二とフェン以外には数名しか客がいない。その全員が冒険者で慎二が食堂に降りたときには皆仕事に出てしまっていた。

 

「ささ、入りましょ」

 

 テレサに手を取られながら慎二はテイマーギルドの扉をくぐる。

 中も外観に反せずといった様子だ。床は凹みが目立ち、歩く度にギシギシと音を発する。テーブルを見れば食べかすやゴミが残っており、異臭を放っている。フェンも顔をしかめている。

 

「あ、いらっしゃいませですにゃ」

「ん?にゃ?」

 

 出迎えてくれたのは犬耳の女性。間違いなく犬耳だ。

 

「口調は気にしないで欲しいにゃ。いろいろあってこんな口調になったにゃ。それより何かご用かにゃ?」

 

 「いろいろ」が気になり、慎二は彼女の首元に目がいった。昨日ラパームに入って以降獣人を含め、慎二の知る"人"とは違う、"亜人"と呼ばれる者達は例外なく首輪を着けていた。そして目の前の彼女も。

 首輪。それは奴隷の証だ。

 慎二はガンタルシアにおいて奴隷に関する法律などは知らない。

 ヴァレンとラパームに聞いた話ではこのガンタルシア王国において亜人の地位は低い。王国の国教が人族至上主義を主張しているためだ。地域によって差はあるが獣人を取り巻く環境は特にひどい。なんでも、獣人は過去に強力な魔王が出現した際に獣と交わることでその力を取り入れようとした者達の末裔だと主張しているらしい。

 

(馬鹿げた話だ)

 

 現代科学を知っている慎二としてはマナという不思議な要素があるにしても獣と人が交わるなどそんなこと出来るか?と思ってしまう。そんな証拠もないようなことを信じるほど慎二は馬鹿ではなく、そもそも慎二はある理由から宗教というものが大嫌いだ。宗教がAというならBがいいと思うほどに。

 

「そんなじーっと見られると困りますにゃ。いくら私がセクシーだからって。それより用を言って欲しいですにゃ。私も暇じゃないですにゃ」

 

 残念ながら彼女は上から下まで平坦で慎二の知っているセクシーとは程遠い。

 

「失礼しました。従魔の証というのを頂きたくて来ました」

 

 慎二がそういうと今度は獣人が慎二をぽかーんと見つめる。

 

「あの何か?」

「あ、ごめんなさいですにゃ。テイマーギルドの人は寛容な人が多いとはいえ獣人に敬語使うだけじゃなく頭まで下げる人なんていないですにゃ」

「そうなんですか?生憎私は旅人。この辺りの風習には疎いもので」

「そうにゃんですかにゃ。旅人さんの故郷はさぞ良いところなんですにゃ。っとこんなこと外で聞かれたら何をされるかわからにゃいにゃ。聞かなかったことにして欲しいですにゃ。それで従魔の証が欲しいんだったにゃ。それなら手続きするからそこに座ってて欲しいにゃ。今手続きの準備をしますにゃ」

 

 指定されたのは先程見た食べかすの散らばったテーブル。そこを腕で払って座ってくれと手招きしている。

 それ以外に座る場所も仕方なく腰をかける。テレサは座りたくないらしく、しゃがんでフェンと遊び始めた。

 しばらくテレサと話して時間を潰していると男性が二階から降りてきた。40代前後の細身で髭を蓄えている。慎二にはその細い体に筋肉がしっかりついているのがわかった。

 後ろには先程の女性が羊皮紙を抱えている。

 

「おう、お前さんか。従魔の証が欲しいなんていう物好きは。俺はギルドマスターのヤドルだ」

「はい。慎二と言います」

「ふむ、そこそこ鍛えてるな。従魔のほうも見たことない狼種だな。毛の色つや。しなやかな筋肉。悪くねぇな。早速だが、ちょいとテストをするから従魔を貸してくれ。何、街中で変なことをしないか調べるだけだ。心配ならそっちの嬢ちゃんを着いてこさせても良いぜ。お前さんはそっちの書類書いといてくれ」

 

 近づくとヤドルからは酒の匂いが漂ってくる。

 慎二は自分を見つめるフェンに視線で合図をする。するとフェンはムクッと立ち上がり、ヤドルの前で座る。

 

「ほぉ、アイコンタクトだけで…なるほど、知能も高い、信頼関係も上々。悪くねぇな。じゃあ裏庭でやっから着いてこい」

「あたしも行ってくるね。フェンちゃんに変なことしたらあたしがあんな髭親父やっつけてやるからシンジさんは安心していいよ。フェンちゃん、行くぞー」 

 

 ヤドルに従って、フェン、そしてフェンに跨がるテレサが出ていった。

 

「ごめんなさいですにゃ。悪い人ではないんですにゃ。ただテイマーギルドは冒険者ギルドの傘下でも弱小にゃ。それでいろいろ言われたりしているみたいですにゃ」

「いえいえ、気にしていませんから」

 

(あんなもん、訳のわからんクレーマーと比べれば実際可愛いもんだ。それよりテイマーギルドって冒険者ギルドの傘下なのか)

 

「じゃあ、説明を始めさせてもらいますにゃ」

 

 

 

 

次回更新は6日0時予定です。

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