表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

最終話 永遠の笑顔

配信は、無事に終わった。


私はリナに話しかける。


「おつかれさま」

『おつかれさま!緊張したぁ~』


リナはへらりと笑って見せた。


『ユイとの約束も守れたし、みんなにも喜んでもらえて、すっごく嬉しい!』


ただのプログラム。

分かっているのに、話しかけてしまう。


「……約束、守れてよかったよ」

『ユイはいつも、わたしとの約束守ってくれるよね!ユイと親友でよかった!』

「……莉奈……っ」


涙が、溢れた。

莉奈だ。

わたしの知ってる莉奈だ。


『ゆ、ユイ、泣かないで…! ずっと、わたしはここで配信してるから、いつでも会えるよ!』


慌てた顔。

莉奈がモニター越しに、こちらを見ている。


「…そうだね。ありがとう」

『こちらこそ、いつもありがとうだよ!』


はにかんだように、莉奈が笑った。

そして。


『…もし、あの後魂になって、ここにいるっていったら……ユイ、信じてくれる?』


世界から、音が消えた。


演算の結果なのか。

それとも、どこかで零れ落ちた奇跡なのか。


光る画面の中、不安げにこちらを見つめる莉奈。


「…莉奈……っ」


暗い部屋の中。

モニターの光に照らされながら、私は声をあげて泣いた。


しばらくして。

私は、ゆっくり息を吸った。

泣き止んだ声で、問いかける。


「ねえ、莉奈」

『なあに?』


少し首を傾げる仕草。


「これからも……配信、続けたい?」


一瞬、間があった。


『……うん』


真剣な顔で、莉奈がうなづいた。


『だってね、今日ね。みんな、笑ってたでしょ?』


コメント欄を振り返るように、視線を動かす。


『ああやって、誰かが少し元気になるなら、わたし、続けたい』


私は、目を閉じる。


「…そっか」


私は、小さく笑った。


「じゃあ、続けよう」

『ほんと!?』


ぱっと表情が明るくなる。


『ずっと、ずっと、続けていい?』


その言葉に、私は頷く。


「うん。ずっと」


画面の中の莉奈が、はにかんだように笑う。


『えへへ。次の配信タイトル、どうする?』


涙の跡が乾いていく。

私はキーボードに手を置いた。


「そうだね……」


少し考えて、入力する。


――“また明日、ここで”


エンターキーを押す。

暗い部屋の中。

モニターの光が、私たちを照らしている。


消えなかった。

形は変わっても。

それでも、ここにいる。


「おやすみ、莉奈」

『おやすみ、ユイ』


電源を落とす直前、彼女はいつもの笑顔で言った。


『明日も、見てくれる?』


私は微笑む。


「うん。絶対」


一年後。

登録者数は20万人を超え、画面の中の彼女は、よく笑っている。

カレンダーに並ぶ、365個の赤いマル。


わたしと彼女の約束は、続いていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ