第11話
「もぐもぐ………ヤヒロさんは食べないんですか?」
「いや、俺はいいよ。」
ヤヒロは苦笑いしながら答えた。
正直、ララナのたべっぷりをみていると食欲もなくなるだろう。
テーブルに並べられた料理は優に10を越える。
その料理を、僅か10分足らずでララナは7品も食べてしまっていた。さらに、足りない、というと追加で5品注文したのだ。
これがゲームの世界でウェイトレスがNPCだからいいものの現実でこんなことをすればあきれを通り越して恐怖すら感じてしまうだろう。
「それにしても近くに食べ物屋があってよかったですね」
チキンを食べながらララナは言う。
「えぇ、そうですね」
最初に頼んだオレンジジュースを飲みながら答える。
ここはミリーナの門から100m程のところにある、喫茶店のようなところだ。
ミリーナの町は、レンガ造りの家が多く、まだプレイヤーがいないためか静かな所だった。
NPCは、今のところ店の店員以外見ていない。
「ヤヒロさんは悪食ってどう思いますか?」
ヤヒロがなにか話そうかな、と思い始めたとき、ララナがいきなりそんなことをいってきた。
「…えっと、まぁ人の好みだからなんとも言えないですね」
好きではありません、とも言えずそんなことをを返す。
「そうなんですか?さっき私が、悪食主義って言ったとき嫌な顔してましたけど…」
「……正直、トラウマ…ですね」
「トラウマですか。どうしてですか?確かに見た目は多少あれですけど美味しいものは美味しいし、変な味のものもあるけれどそこもまた良いじゃないですか」
サラダを食べながら聞くララナに、ヤヒロは昔のことを思い出しながら答える。
「子供の時……小学5年ぐらいの時かな?俺、姉がいるんですけど、その……芋虫を焼いて食べてたんですよ。で、それ美味しいのかな?って思って姉に頼んで一口食べたら気分が悪くなって、3日間高熱で、うなされちゃって ……」
「最初に芋虫はきついですよ。最初は、イナゴとかそこらへんから食べていかなきゃ」
(イナゴもきついだろ)
と思いながら相づちを打つ。
「お姉さんは食べれるんですか?」
「あぁ、姉は友達が食べてたのを見て「あの子にできて私にできないのはおかしい!」とかいって食べてましたね。結局全部食べてましたけど……」
「そうなんですか?一度お会いしたいですね」
ララナが微笑みながら言う。
「多分すぐ仲良くなれますよ」
内心絶対あってほしくないな、と思ったのは内緒だ。
*****
「ヤヒロさんはこのあと暇ですか?」
店を出たところでララナがそう聞く。
空は、夜の暗さがにじみ出てきていた。
ヤヒロは背伸びしながらこのあとの予定を伝える。
「えっと、一応装備を整えるつもりです。これじゃあ心もとないですし……」
自分の装備を見ながら答えるヤヒロにララナは
「ならこのあとも一緒に行動しませんか?」
と提案した。
「別にいいですけど……」
ヤヒロの返事を聞くとララナは、微笑みながら空中で指をスライドさせる。
「ならパーティー申請送りますね」
その言葉を言って10秒ほどして、目の前にメッセージが現れる。
ヤヒロはそれを了承するとララナに向き直る。
「改めてよろしくお願いたします!」
「はい、こちらこそ」
とりあえず、宿をとろうということになり近くに見えた宿に向かってヤヒロとララナはあるきだした。




