ケリを付けに行かなきゃな。
対抗戦も終わり通常授業に戻った。
「そう言えばユウって孤児だったんだね。」
メイリアが聞いてくる。
「あー・・・そっか、モニカにしか話してねぇかこれ。」
「ですね。私と2人で冒険者やってた時に話してくれましたね。」
モニカは懐かしむように言う。
「詳しく聞いて良いの?」
「別に良いよ。俺が3つの時に家族全員死んでな。馬車で別の街向かってる時に魔物に襲われたんだ。俺は家で待ってたから何とか助かったけど。」
「それで孤児院に引き取られたの?」
「いや、近所のババアに引き取られたけど奴隷商に俺を売ろうとしやがったから逃げて山の付近彷徨ってる時に師匠に拾われた。」
「なるほど。」
「で、10歳の時に師匠が死んで俺は冒険者になった。そこで一年ほどソロで冒険してた時にモニカと会って。次にソフィーさんとメイリアに会って。今に至る。」
俺は簡単に説明する。
「おはよう!」
「おはようございます勇者様。」
「元気ないけどどうしたんだ?」
「拷問した昨日の今日で元気になれんですよ。」
「あんな楽しそうにしてたのに・・・」
「俺別に狂人じゃ無いんですよ。あーやって〈俺は狂ってるぞ、でも冷静だぞ〉って分かりやすくアピールしとけば相手の精神に負荷をかけやすいんですよ。」
俺達はいつも通り教室へ向かう。
教室に入ると皆こちらを見る。
特に男子生徒が多い気がする。
「おい、卑怯者が来たぞ。」
「学園のレベルが下がるから辞めてくれないかな。」
なんだコイツら。
「おい、僕の友人に何か用か?」
勇者様が突っかかる。
「そいつ、決勝戦に毒針持ち込んでたんですよ!?卑怯でしょ!」
俺が卑怯なのは今更だろ。馬鹿か?
「持ち込みの制限があったのは魔道具だ。それに君たちは知らないと思うが入場前に持ち物に不正があれば弾かれる様になってた。」
「・・・てかよく見りゃお前らこのクラスの奴じゃねぇよな?」
「・・・」
「あーそっかそっか。なんか合点がいった。あの伯爵の子供に雇われたか。」
俺が思いつく限りの情報でカマをかける。
「なんでそれを!?」
「あ、やっぱ合ってた。」
「・・・王国民法第12条。意味もなく他者を陥れる行為を行った者は被害者に対し金貨20枚以上を支払う。」
「な、なにを!?」
「お前が今ここで罪を認めて本当のこと全てを吐いたら金貨の支払いは見逃してやる。」
「黙れ!平民のくせに!!」
殴りかかってくるがモニカが結界を張り殴った側にダメージがいく。
「ぐあ・・・」
痛みで転げまわっている。
他のクラスメイト達も見ている。
そしてその視線には軽蔑と恐怖が入り混じっている。
そりゃそうだろ。こっちの世界では貴族の権力が強いからな。
「王立魔法学園、校則第3条。貴族が権力を濫用し理不尽な行いを働いた場合被害者の任意の条件で決闘を行う。」
「だ、誰がお前なんかと!」
「王立魔法学園、校則第1条には噛み砕くと〈校則は国王の決定であり逆らうと国家反逆罪に問われる場合がある〉って書いてあるけど。負けて恥晒すより斬首される方が好きなのかな?」
そう言って剣を抜き首元へ突きつける。
勇者様とモニカ以外の人は驚いて固まっている。
流石勇者パーティーの一員だけあって勇者は落ち着いていてモニカは苦笑いしている。
ちなみに校則の内容は暗記している。
「わかった!話す話すから!!許してくれ!!」
「ほら、話してみろ。」
「貴方の言った通りキールさんに頼まれたんだ。断れば俺の家への援助を断ち切るって。」
「なるほどね。勇者様聞いてましたね?」
「あぁ。」
「んじゃ、決闘と行きますか。」
キールとやらに決闘を申し込んでくるか。
そろそろ本当にあの野郎とケリつけねぇと。