05-15 交流会は波瀾万丈③
忠勝達がはしゃぎながら装備を吟味していたその頃、亮太は何をしているのかと言うと。
実は同じ三階層の下半分の三分の一を占めている釣りやボートを浮かべる事が出来る湖が広がるエリアで、足こぎ式の四人乗りスワンボートに【装甲空母大鳳】で待機して貰っていたメイド服姿のマリナを膝の上に乗せ、水色のワンピースの上にブレザーの学生服の様なクリーム色のカーディガンを羽織ったエリスを助手席に乗せてのんびりと水の上を漂っていた。
「またトレノさんとぺりーさんを怒られせてしまったな……」
「あれだけ出発前にやり過ぎるなって停められていたんだから当たり前でしょ。夢中になりすぎて歯止めが効かなくなるのは亮太と秀吉さんの悪い所なんだから!」
「申し訳無いですはい……。社会人であった時はこんな好き放題な事はしなかったせいの反動なのかもな……」
「ふふふ、もしかすればマスターは童心に帰っているのかもしれませんね」
そんな二人のやり取りを口元に手を当てながら可愛らしく微笑みながら出たエリスの発言を聴いて、マリナは軽い溜め息を吐いてから切り返す。
「はあー……それだったら尚更不味いのよエリス。ここは占領しに来た英国人が慌てて逃げ出す様な戦国時代なんだからね。さっき日ノ本内での情報を調べてくれているルルちゃんによれば、既に今回の騒動に聞き耳を立てていた周辺の人達が慌ててどう対処するべきかって討論し会っているみたいだし……」
状況を危惧するマリナの言うとおり、既に今回の騒動を目撃していた者達が尾張で起こった事を持ち帰って地元や、地域の有力者、出逢った人達に言い触らしているらしく。
中には拡張されて語られた情報も混じっており、特にその影響が生まれているのはこれから亮太達が向かう事となっていた松平家の領地である【三河】であった。
「噂によれば、元康ちゃんの支配体制を崩そうとする勢力が地元のお寺に呼び掛けて、大名から引き摺り落とす為の反対派達を募っているらしいな」
その情報を実はトレノから怒られた後に知らされていた亮太は真剣な声のトーンで返事を返す。
亮太達の言うとおり、国を纏める大名である元康とその従者達が離れる事を待っていた者達が三河の中心地にある岡崎城や、港の要所である浜松港を押さえようと動き出しているらしく。
宗教的立場上、已む無く反元康派に寝返る者達が続出している為に陥落するのは時間の問題だと言う情報も亮太達は元康よりも早く聴かされていたのである。
「まんまと私達は利用されてしまった訳ですね……。ならば尚更、救援を待っている彼等を助けに行った方が良いのではないですかマスター?」
「それがまた色々とややこしいんだよエリス。今回の騒動で動いているのは三河の者達だけでなく、日ノ本の真ん中の地域にいる1部の人達が同時に動いているんだ」
「え、それは私達の動きが制限されてしまう程の事なのですかマスター?」
風により揺られる透き通った水の波の音と共に聴こえるエリスの質問に、亮太は彼女の瞳を見つめつつ答えた。
「ああ。今回の騒動に乗じて、三河の東に位置する今川家と武田家が領地を得ようと動き出しているんだ」
そのとんでもない話に、思わずエリスだけでなく膝の上にいるマリナも声をあげて反論する。
「そんな……!! 彼等は松平家と同盟を組んでいる仲間では無かったのですかマスター?!」
「ええっ?! 何で独立を認めた今川家と山に住んでいる武田家がわざわざでしゃばって来るのよ?!」
「ふ、二人とも落ち着いて声がでかいよ……!!」
亮太の説明によれば、事前に元康反対派の者達は以前まで三河を統治していた今川家と繋がっていたらしく。
彼等の反乱に合わせる形で今川家の者達が三河に進攻して反対派に抵抗する元康派の者達を口封じの為に打ち倒す事で、共産党の援助によりクーデターを成功させた中国共産党軍の様に国を乗っ取って仕舞おうと言うとんでもない計画が現在進行形で動いているらしく。
その情報を事前に今川家から知らされていた武田家は今川家との同盟を理由とし、三河に攻めいる今川家の後ろを守ると言う理由で合わせて行軍していると言う訳である。
今回のこの介入により元々は織田家と松平家を中心に行われる予定であった作戦が、彼等に三河を占領されてしまうとなると亮太達はどうしても、建前上三河の治安を守っている今川家と武田家を仲介して物事に当たらねばならなくなってしまい。
何とか旨い汁を啜りたいらしい彼等が協力の条件として何を吹っ掛けられるのかわからないと言う、まるで自分が使いたいイヤホンに使わない複数のイヤホンがこんがらがっている様な極めて面倒くさい案件であった。
「この話は既にトレノさんや、織田の忍である利久さん達を通して元康ちゃんには連絡を行っているだろうけど……」
「まだ色々な情報処理も有って出撃許可が降りていないと言う訳ね……」
「マスター。我々も準備を整えて置いた方が宜しいかと……思います」
そのエリスからの言葉に対して、亮太は真剣な表情で小さく頷き返すのであった。
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場所は変わり、亮太達が休息を取っていた湖が有る三階層の上半分に位置するサバイバルゲームフィールドに移る。
予定とは違えど何とか自分達の気に入った装備を手に入れる事が出来た忠勝と信勝は、早速ログハウスの中に男女別々で、体育館に有る様な二メートル程の高さのロッカーがぎっしりと壁沿いに設置されている更衣室で装備を身に付けていました。
「へー。見た目によらず軽くて動きやすい素材で造られているだねこの防具」
思わず忠勝を感心させたサバゲー参加者達全員に貸出しされている装備は亮太によって召喚された物で、【絶対警備24時】に封入されている制服一式《Rank,N》と警備装備一式《Rank,R》の機動隊用の防具セットを幾らか改良した物である。
その内容はと言うと、先ず出動服と呼ばれる厚手の繋ぎの様な見た目をしている紺色の制服と、靴は半長靴の様な出動靴(安全靴構造のブーツ)がセットになっている制服を着用する。
そしてその上に被せる様に黒いポリカーボネート製で出来ている、腕の外側と足全体をぐるりと覆う臑当・篭手を装着し。
上半身と背中、そして首回りを保護する物として、前面と背面に「朝露―Asatsuyu―」と白い字が飾られているナイロン製ベストで前面にはステンレスプレートが入っている、30口径程度までの防弾性能があるマフラー付き防護ベストを重ね着する。
そして頭部を保護し、新鮮な酸素を供給する機能だけでなく、実は戦闘機のF35で用いられている様な音声コマンドを聞きとるマイク、ナイトビジョンシステム、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を内蔵している、フルフェイスタイプで黒色の高性能ヘルメットを着用する。
「これだけ装備しても、俺が今まで身に付けていた足軽用の具足より軽いのか……。実は見た目だけで中身はぺらぺらだったりしないよね?」
合計で10キロを超える腕と胴回りしか保護してくれない足軽具足よりも、全身を包む形をしている防具とヘルメットを被っても足軽具足よりも亮太により軽量化され、実は寧ろ頑丈に強化されている装備に忠勝が困惑する中で、彼は続けて最後の装備を身につける事とする。
「へー、具足の上に着物の様に着る事が出来る武器入れか!! これは便利だな!!」
本来の機動隊であればこれで終わりなのだが、今回はモデルガンを用いるサバゲーであるので。
ボディーアーマーの上に被せる形でSWAT等の警察の特殊部隊で用いられている、複数のポーチが付いているタクティカル・ベストを装着する事で水筒や、予備マガジンを持ち運ぶ事が出来るようになる。
(*実際のサバイバルゲームではこれだけお金が掛かる装備を揃える必要は勿論ありません。防護ゴーグルにジーパンとジャージで参加している方も居られますので)
正しくオーバーテクノロジーと言うべき装備を身に付けて興奮を覚えたのは忠勝だけではなく、同じ更衣室に信勝の付き添いとして渋々ながら同行していた柴田勝家もであり。
彼は今まで気に食わなかった亮太達、朝露国の技術力と軍事力の高さを味会わされ、この装備に関する情報を案内役を務めているラムセスから事細かに聴いていた。
「なるほど。するとこれは刀を通さないだけでなく、矢や種子島の弾丸すら通さない甲冑と言う訳か?」
「はい。遊びと言ってもサバイバルゲームは戦闘演習として立派な効果を生みます。なので今回は我々が提供する装備がどれだけの性能があり、どれだけの良い結果を産むのかを感じて貰う事も含まれておりますので」
「ふん……南蛮人が持ち寄る飛び道具は気に食わんかったが、この甲冑は役にたちそうだ」
そんな意見を飛ばし逢いながら、彼等が更衣室とログハウスから出て頃には立派な機動隊装備で全身を固めた忠勝達四人に他に二人の男性と案内役のラムセスとシャルロッテを加えた、八人が立っていた。
「おおー康姉!! ばっちり似合っているじゃないか!!」
「忠勝もね。でも、安全の為とは言え頭全体を覆う兜はちょっと窮屈に感じるわね……」
小柄ながらばっちりと装備を身につけた榊原康政の言うとおり、戦国時代においてはフルフェイスタイプの頭をスッポリと覆う兜の様な物は一般的では無く。有ったとしても顔に被せるお面のような物しか無かった。
「しかし不思議な物だね!! 顔をスッポリと透明の仮面に覆われているのに息が出来なくなって死にそうになる事が無いとは! これはどの様にして成り立っているんだいおじさん!!」
未知なる防具の正体を一刻も早く理解したい忠勝は、共に更衣室で着替えていたラムセスに目を輝かせて尋ねる。
「これは見えにくいが首もとに外の空気を取り入れる装置がついていて、そこから入ってきた空気を綺麗にしてから兜の中へと流し込んでいるんだ。そしてこれは水中でも可能だ」
「ええ?! 水の中でも息が出来るってどういう事なの?!」
「水の中にも私達が吸っている酸素はあるから、首もとにある装置を通してその酸素だけを兜の中に入れてしまうと言う仕組みだ。魚が水の中でも生きている事を考えればわかりやすいかな?」
その説明を受けて忠勝のみならず、他のメンバー達も唖然とさせられる。
「ちょ、ちょっと待つのじゃ!! と言う事はワシ等が魚の様に水中で住むことも可能なのか!?」
「食事を取ると言う点が難しいですが、水中に陸地と同じ生活する事が出来る様な場所を建設し、そこを拠点にして暮らすと言う事であれば可能かと……」
その思っていた以上にドリーミィーな解答を受けた信勝は「あー……そうなっちゃうよねー……」と呟いて、今は諦める事とした。
「では他にお聴きになりたい事も有るとは思いますが、皆さんには先ず銃の扱いを学んで頂きますね。ついてきてください」
そう言って歩き出したラムセスにつられて忠勝達がやって来たのはサバゲーのルールと装備等の説明を受けられるだけでなく、射撃練習も合わせて行う事が出来る右側のゲート付近に設置されている射撃場である。
弓道場の様に縦幅が50m程あり、夜店の屋台の様な間隔で区切られた外壁と銃弾等を置くことが出来るテーブルが正面の枠組みに設置されている、長さが50m程ある射撃コーナーでは、普段は弾薬が高価すぎて射撃の腕を上達させる事が出来ずに嘆いていた足軽達がこぞって実銃による射撃練習を行っており。
周囲には火薬の匂いと希望した者にだけだが陸軍兵士である指導員達の元に射撃訓練も行われていた。
「これだけ沢山の人が銃を撃っている光景は俺初めて見たよ……」
「うむ……ワシ等織田家だってそうじゃ……。彼等は独自に銃だけによらず、それに使える山の様な弾薬も持ち合わせておると言う訳じゃな」
感心の余りに忠勝と信勝の声が漏れる中。彼等もそれぞれ自分に割り当てられた枠組みの中へと案内されて行った。
「は、初めまして! 本多忠勝と申します!」
「次の訓練生の方ですね? 私は指導員をさせて頂いている渡部と申します! どうぞ此方へ!」
そう言って少し日に焼けた爽やかな迷彩服姿の青年に促された忠勝は、早速自分が選んで持ってきたドイツ製の短機関銃【MP38】の撃ち方を最初に教えて貰う。
「ふむ……忠勝くんはこの銃の性能は知っているかい?」
フランクに話し掛けて来た渡部に忠勝は首を横に振って答える。
「いいえ! 見た目が亮太さんが使っていた銃に似ていたから選んだんです!!」
「なるほど……。確かに亮太殿が使用されていた【MP7】も、詳しく言えば違うけど同じ短機関銃だね。しかし違う所が幾つか有るんだ」
「違う所?」
「ああ。先ず二つの銃が造られた年代が違うんだ。忠勝くんが持ってきた【MP38】は、亮太殿が扱われていた【MP7】の……えーと、【MP38】が1938年だから。うん、およそ50年前に設計された銃なんだ」
「5……50年前の武器だって!!?」
その驚くべき情報から分かったのは現代の子がプレゼントとしてお爺ちゃんからレコードと蓄音機を貰った様な衝撃だけでなく、50年前からこれだけ進んだ技術の武器を亮太達が持っていた事であり。
忠勝は改めて日ノ本と亮太達が暮らしている朝露国との文明の差が比べ物にならないぐらい開いている事を思い知らされる。
「何てことだ……俺はかなり勘違いしていたのかも知れない……」
「えーと……何か気に障る事を言っーー」
「お兄さん!! そのまま俺が知らない知識をもっと教えて欲しい!!」
「アッ、ハイ!!」
その後も渡部による短機関銃の説明や、現代戦における兵士達の立ち回り、そして実際の銃の撃ち方や他の種類の銃が持つ特長や役割を聴いている内に瞬く間に時間は過ぎていった。
やがて説明を聴き終えた彼等は射撃場の出入口に集まりあい、実際に射撃場で鍛えたその腕を試す為にサバゲーフィールドに訪れる。
「おっ? 俺達が始める前にもう試合が行われているんだー」
そこでは既に10対10の赤チームと青チームの2組に別れて、相手陣地のフィールドの中にある2つの拠点に設置された敵側の旗を奪い合い、2本先取したチームの勝ちとなる、前半後半の計2回に別れて行われるフラッグ戦が展開しており。
忠勝達は現在行われてる試合が終わるまでの待機時間をフィールドの把握と実際にどの様に試合が行われているのかをまるでサッカー場の観客席の様に、フィールドの外に設置されている観客席から確認する事とする。
「おおお!! これは天守閣から城下町を眺めるかの様な大迫力なのじゃ!!」
「なるほど、正しくこれは演習場に相応しい眺めだ……。ここからならば鷹の様に戦場の全てを把握する事が出来る!!」
今まで薄い水色のカーテンの向こうでうっすらと見えてるだけだったフィールドの全体像を見て、信勝だけでなく勝家すら声をあげて驚いた。
そのフィールド全体がどの様な物なのかと言うと。
試合開始時に両軍の出発地点となる場所として、両側の自陣には周囲を高さ二メートル程の高さの木製の外壁にぐるりと囲まれた、石垣付きの三階建ての一軒屋と言った様な小さな本丸が建てられており。
忠勝達から見て左側の陣地から見て正面には所々で大きさが様々な岩が転がっている草原地帯が広がっており、その草原の先を抜けると左側になだらかな丘があり、右側には小さな村が見えてくる。
そしてフィールドの真ん中に陣取る様に置かれた砦が山頂にある高さ20m程の道がちゃんと整備されている小山と、本を開けると出来る真ん中の割れ目の様な靴が全部濡れない程度の小川が流れており。
その山を抜けると草原を間に挟む形で左側では丘が有った場所に枯れた木が数本建っていて、地面が緩い沼地があり。
村の代わりに秀吉が難攻不落の稲葉山城を攻略する足掛かりとして、斎藤家と織田家との境界線となっていた川辺に一晩で建てたと言う嘘から出た伝説である【墨俣一夜城】をモデルとした、木の柵と矢倉が四隅に建っているだけで殆どが骨組みの砦がある。
そんなフィールドの中には彼等の他にもルールが分からなくなったプレイヤーに説明したり、プレイヤーの安全確保や、危険行為やルール違反をしていないかをチェックする濃い抹茶色をした厚手の繋ぎの上にオレンジジャケットを羽織ったレフリーが拠点一つに付き4人配置されている。
周囲ではテンポが速めのクラシック音楽がスピーカーを通して流されていたのだが、突然元気の良い女性のアナウンスが流れてきた。
《さあ、赤チームが二つ目の旗を取りましたので!! 今から皆さんの目の前にある画面の右上に砂時計が現れます!! その砂時計の砂が全て下に落ちたときに赤チームが二つの旗を守りきれれば、試合終了となります!!》
そのアナウンス通り、既に真ん中にある山と右手に陣を構えている青チーム側の拠点の内、沼地に設置されていた旗が取られており。青チームでまだ生き残っている四人の兵士達が、近場の沼地にいる五人の赤チームの兵士達に対して最後の攻撃をかける。
先ず中距離を射程距離とするボルトアクションライフルを持つ兵二人が沼地の木々に隠れている兵士達を動けなくする為に、隠れている場所目掛けてライフルを打ち続ける制圧射撃を開始する。
その中で運悪く気が緩んでいて、全身を木で隠しきれていなかった兵士の左太股にBB弾が2発続けてヒットした。
すると兵士は驚きの余りに声をあげて横に倒れてしまい、ヘルムに守られている顔を泥まみれにしてしまい、慌てて大声をあげながら自分の持っているボルトアクションライフルを手に取るのだが、続けて放たれたBB弾を頭部に受け。
まるで電池が切れてしまったおもちゃのように倒れたまま動かなくなってしまった。
「え、どうなっているんだ!? 実弾を使っている訳じゃないのにまるで死んだように動かなくなってしまうだなんて!!」
まるで間違えて実弾を使ってしまったのでは無いかと思わせる現象を見た康政が思わず声をあげてしまうが、その説明を彼女の前下段の席に座っているシャルロッテが説明してくれた。
「あ、説明が遅れてしまったけどあれは大丈夫だよ!! 体の一部におもちゃの弾を受けると、まるで本物の弾を受けた時と同じ様に当たった場所にある防具が固まって動けなくしてしまうだけだからさ!!」
シャルロッテがした説明を纏めるとモデルガンから発射されるBB弾を体に受けてしまうと、腕や脚に付けられている防具が骨折した時に付けるギブスの様に固まって動かせなくなり。
特に現実で当たれば即死するであろう胸や、頭部に被弾した場合全身が動かせなくなり、そのまま試合が終了するまでは行動不能となると言う説明であった。
勿論それは酸素供給が停止して生命に関わる様な物では無く、飽くまでゲームに参加出来なくなるだけであり。その際には同じチームの仲間達との通信機能は【死人に口無し】と言う事で停止させられる。
この機能は現実のサバゲーに置いて、被弾したのに退場せずに何事も無かったかの様に居座り続ける、通称ゾンビ行為を阻止する為である事が一つ。
その他の理由としては、この装備を盗もうと身に付けたまま逃走する者を防ぐ為と。相手に対して暴言を吐く者や、問題行動を取る者を拘束し、実は録音されている違反者の発言を証拠とする事。
そして実際に銃撃を受ければどれだけ身体に障害が表れるのかを実体験して貰う意味もある。
やがて一連の試合は、沼地に隠れていた者達により青チームの生き残りが全滅させられてしまうと言う巻く引きとなり。
試合を終えてそれぞれ陣地の裏側にある両端の出入口から現れた彼等は勝利に酔いしれて声をあげたり、負けたけれども実際の戦場と違って生きている事にホッとして苦笑いしている者がいて。
彼等20人は借りた防具を脱ぎ、汗だくになった体をシャワーで洗い流すためにログハウスに向かって行くのであった。
「さて! 皆さん御待たせしました!! フィールドの方が空きましたので、今からチームわけをさせて貰いたかったんですけど……」
勢い良く振り返り、試合が終わるまで待っていてくれた忠勝達に明るく振る舞って見せたシャルロッテであったが、突然声が尻窄みに小さくなってしまう。
「え、あのお姉ちゃん! 何か問題があったの?」
「あはは。実は先程の試合で最初は大勢いた参加者の方達が居なくなってしまったみたいでね」
順番が回って来て楽しみにしていた忠勝であったが、どうやら元気が有り余っていた男達も休憩に入ってしまったらしく。残った人数をかき集めても一チームを組むことが精一杯で相手チームを組む人が足りなくなってしまったらしく。
「ここまで盛り上げてくれたのにそれは無いよー!!」
「そうじゃ!! そうじゃ!! ん? いやまてよ……最悪ワシの権限で足軽達をかき集めれば……」
二人のブーイングをシャルロッテは苦笑いを浮かべながら受けていたが、彼女は「それじゃあ……こうする?」と言ってから一つの解決手段として、特別にシャルロッテやラムセスを代表する予備のスタッフチームが加わる事で、新人五人とスタッフ五人を一チームとしたフラッグ戦を行うと言う提案を出す。
「うわぁぁ!! 桃色のお姉ちゃんありがとうーー!!」
「あははは!! 子供の夢を叶えてあげるのはお姉さんの仕事だだからねー」
感動した忠勝はそのままシャルロッテに駆け寄って抱きつき。シャルロッテも笑顔で防具越しだが忠勝の頭を撫でてあげるのであった。




