挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
魔王軍最強の魔術師は人間だった 作者:羽田遼亮

第五章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

170/172

アズチ攻防戦

 俺とエ・ルドレが別離の握手を交わしてから、二ヶ月後、諸王同盟の侵攻は始まった。

 エ・ルドレは侵攻時期に関しては一切、虚言を用いなかった、というわけである。

 俺はその報告を聞き、彼の武人らしさにあらためて感じ入ったが、いつまでも感傷にひたっている時間はなかった。

 諸王同盟がやってくる、ということは、今現在、ルトラーラが建設しているアズチ城建設を邪魔する、という明確な意図があるからだ。

 アズチの城は、魔王軍がローザリアを支配する象徴でもあるし、魔王軍の経済の中心地となる場所であった。

 その建設を邪魔されるわけにはいかない。

 俺は魔王様より預かった兵力すべてを出し惜しみすることなく、敵と対峙することにした。


 この会戦、のちにアズチ攻防戦と呼ばれる戦いになるが、魔王軍の陣容は下記となる。


 総大将、魔王軍第8軍団軍団長アイク。その数2000
 第7軍団軍団長セフィーロ。その数4000。
 第5軍団軍団長ウルク。その数4000。
 他に従属同盟下にあるローザリアの援軍、4000。指揮官はアリステア等。

 それに魔王様より、与力として、どの軍団にも所属していない遊撃部隊を2000ほど送って貰った。

 合計すると16000の大軍である。
 今まで統率した軍の中でも最高の数だった。


 一方、諸王同盟の軍団もそれに匹敵する。
 ファルス王国の騎士団を中心にその数15000。
 ほぼ同程度の規模だ。


 その報告を聞いて、サキュバスのリリスはにたにたしている。
 気持ち悪いのでその理由を尋ねたが、彼女はこう言った。

「いや、だって、アイク様、アイク様が相手よりも多くの軍隊で戦えるなんて、初めての経験じゃないですか?」

「たしかにそうかもしれないな」

 旅団長になって以来、いや、部隊長のときから、常に兵数的劣勢の環境を与えられ、戦ってきたような気がする。

 1000とはいえ、相手よりも多くの兵を率いられのは有り難かった。
 ただ、楽観はしていないが。

「元々、魔王軍の戦力は人間とは比べられない」

 俺はリリスに説明する。

「魔王軍は、魔族、魔物、それに今は人間の混成部隊だ。魔族は敵の強力な魔術師や騎士と互角以上に戦えるが、逆に、コボルトやオーク、ゴブリンは、並の兵士よりも弱い」

 そう考えれば、プラスマイナスゼロ、とも考えられるのだが、ともかく、単純に数だけで比較できなかった。

「それに我が軍は、人間やエルフ、ドワーフとの混成部隊だ。統制が取れなければ、逆にその数があだとなって、敗北の原因になってしまうかもしれない」

 俺がそう言うと、近くにいた魔女が口を挟んできた。

「相変わらず心配性な男だな。それを言うのならば、敵軍も似たようなものだろう」

 セフィーロは遙か遠方にいる諸王同盟の軍隊を魔法によって映し出す。

「ファルス王国が中核になっているが、その他の国の国旗も多数見られる。敵軍もまた一枚岩ではない。条件が同じならば、指揮官が優秀な方が勝つ。それがいくさじゃ」

「指揮官の能力が互角だったら、ですがね」

「案ずるな。多少、相手が上回っていても、その分、軍師が優秀ならばよいのだ。今回、妾はお前の側におり、的確にアドバイスをしてやろう。これで軍師が優秀な分、我が魔王軍の勝利は疑いない」

 彼女はそう言うと俺の横に陣取った。

「団長には第7軍の指揮を執って貰いたいのですが」

「指揮ならば、マンティコアのクシャナが採ってくれる。ピンチになればすぐに代わるわ」

 彼女はそう言い切る。断固として俺の横を動く気はないようだ。
 俺は溜息を漏らすと、彼女を陣に戻すのを諦めた。
 それを見て魔女はにやりと笑うと、俺に作戦の概要を尋ねてきた。

「さて、総司令官殿。諸王同盟はどうやって倒す」

 単刀直入であるが、俺も率直に返した。

「まずは鉄砲隊を前面に出し、敵軍の出鼻をくじきます」

「当然の戦術だな。鉄砲は最強の武器だ」

「しかし、それだけでは致命傷にならないでしょう」

「ふむ」

「鉄砲は最強の武器ですが、ここ数年、使いすぎた。敵軍もさすがに対処法を覚えてきたはず」

「たしかにな。最近、効果が薄くなってきておる、……ような気がする」

「実際、ローザリアでは雨を待たれましたし、この前戦った敵は、魔術師を前面に出し、防御壁を張った。あとは戦国時代によく見られた傾斜防壁もよく見ます」

 傾斜防壁とは、木材などを束にして、斜めに設置し、鉄砲の弾の軌道をそらす物体のことだ。存外馬鹿にならない効果がある。

「それに噂ですが、敵軍もそろそろ鉄砲の量産を始めたとか」

 俺がそう言うと、魔女は眉をしかめたが、まさか、とは言わなかった。

 元々、魔王軍の技術力は人間に劣っている。そんな魔王軍が鉄砲を持てたのは、俺のもたらした知識と、ドワーフの技術力のおかげだった。

 度重なる戦闘で鹵獲された鉄砲を解析される。もしくは(考えたくもないが)魔王軍に裏切り者がいれば、鉄砲の製造法、それに火薬の製造法が流出しない、とは言い切れなかった。

「……まあ、こちらの方は未確認情報なので内密に。士気に関わります」

「だな。魔王軍に裏切り者がいるとは思えない」

「いないことを祈りましょう」

 俺はそう言い切ったが、最悪、敵軍も鉄砲を装備し始めている、という前提で指揮を執ることを心がけた。

 少なくとも鉄砲頼りで戦闘は行うまい。
 そう思った。

 ただ、頼りにはしないが、鉄砲という武器がある以上、全面的に活用させて貰うつもりだった。

 前言通り、人間の部隊に鉄砲を渡すと、敵軍がくるのを待った。
 諸王同盟が近づき、有効射程圏内に入れば敵を撃ち抜くよう命令を下した。
 俺の命令は、翌々日の正午、諸王同盟の先発隊が姿を現した途端、実行された。
 こうしてアズチ攻防戦は始まった。
 戦国の世からもたらされた鉄砲の轟音の響きによって――。

『宝くじが当たったのでレベル1から聖剣を買ってみる』

宝くじで一等を当てた少年が聖剣を買いダンジョンの最深部を目指すお話です。

面白いので是非、こちらもブックマークしてください。今月28日発売予定です

http://ncode.syosetu.com/n2974ef//

↑上記URLをクリックすると小説家になろう版を読むことができます。

a

↑上記画像をクリックすると公式サイトをご覧になれます

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ