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4-9.神殿跡地に引っ越し(前)

趣味で熊を殺せば守り神。生贄にされると思って警戒しまくれば神殿の(あるじ)です。熊はともかく、警戒しただけでフラグが立つのでは避けようがありません。世の中はなんて絶望に溢れているのでしょうか。

そして今回はパンツも出ません。もう、絶望しかありません……なんてことは無いと思いますが、これも必要な話なのです。

挿絵(By みてみん)


シートの家に戻り、お土産渡したり今回の出来事を話す。


本題はこれ。

「キャゼリアに聞いた。竜について詳しいならいろいろ教えて欲しい」


それに対して、シートは

「私は何も知らないし、知っていても何も言えない」と答えた。


知ってるけど話すことができない……そう言ってるのだろう。


----


トルテラの解釈は当たっている。

今回の依頼に何の意味があるのか……それについても、実はシートは知っていた。

”依頼には意味が無い”。扉が開いたときの対処法が中途半端に残ってしまったのだ。

だが、それも含めて何も話さない。


----


トルテラは思った。


”シートは知りすぎてるほど知っている。だからこそ話せない”

テーラと共に、俺を誘導してるのだ。

今回も依頼に便乗して、キャゼリアに会わせたのだ。

話をできる相手のところに行かせた。



シートに「キャゼリアは元気だった?」と聞かれたが、

返事を返す前に「何か変なことされなかった?」と言った。


もちろん思い当たることは有ったわけで、

俺は”思い当たることがあるなら、先にそれを言っておけよーーー!”と全力で叫んだ。心の中で。


俺が答える前に、テーラが「風呂でトルテラが倒れた」と言った。

するとシートが「お風呂キャゼリアと一緒に入ったの?」と言う。

それに対して、テーラが「お母さんが風呂で踊ったの」と答えた。


”元はと言えばテーラがパンツはかずに踊ったからだーーーーー!”と全力で叫んだ。心の中で。


するとシートが「そうね、一緒にお風呂、いいわね」と言った。


その瞬間、俺の頭の中でパンツ装備無しで本場のキタキタ踊りを踊るシートの姿が浮かんだ。

俺の頭の中で再生された、シートのキタキタ踊りは妙にうまかったのだ。

そして、動悸と眩暈で倒れた。

「安心……できない……」


はじめてシートに介抱してもらったような気がする。

……やっぱり安心できない。何か悪いことを企んでそうな気がしたのだ。



もちろん、トルテラの勘は当たっていた。


シートはキャゼリアを羨ましく思い、この後、テーラにトルテラ連れ出してお風呂に行こうと相談したが実現しなかったのだ。

男女で入れる風呂はマータルレバーにでも行かないと無かったからだ。

トルテラはマータルレバーが大嫌いなので、風呂に誘うのが難しかったのだ。


仕方がないので、そのうち、ウグムの踊りでも無理矢理披露してやろうと思った。

ウグムの踊りと言うのは、トルテラの言うキタキタ踊りのことだ。

因みに、南の踊りも同じものだ。


========


今一番の問題はオリアン神殿跡地だ。

何故か俺が持ち主認定されて、住めと言われているのだ。

正直、意味が分からなくて困っていた。神殿の持ち主が住むと何があるのだろう?

人柱とかそういう風習は無いよなと心配になった。


前回、無茶苦茶警戒しまくったのに空振りで何も無かった場所だ。


どうせ何も教えてくれないだろうとあまり期待せずにシートに聞いてみたところ、

「知る気があるなら住んだ方がいい。知らなくていいなら、ここに居なさい」と言った。


シートは俺がオリアン神殿跡地に住めと言われていることはすでに知っていて、

そこに住めば、知りたいことが分かると言う。

知りたくないならここに残れと。

やはり、シートが直接自分の口から話すことは無いが、何かを知っているのだ。

そして、話せない理由があるのだ。


神殿跡地に住んだら、何かもう後戻りできない予感がした。


テーラがこちらを見ている。住まなきゃならないのだろうな。


……と、悩んでいると、

ダルガンイストから護衛してくれた3人がシートの家にやってきた。


「持ち帰った玉ですが、どうやら様子がおかしいと」

タンガレアまで行って持ち帰った玉だが、様子がおかしいと言うのだ。


また大鎧なんたらの屋敷に行き、玉の実験に立ち会ったが、俺が持つと玉が浄化されるので汚染状況は調べられないということがわかった。

任務失敗してたのだ。

約60日。2ヵ月掛かりの調査が無駄だった。

本当に、単に扉を開けたことに対する罰ゲームだった。

脱力感で倒れそうになったが、なんとか耐えた。


少し偉そうな人が7~8人くらい集まってきて、玉の実験結果についていろいろ話をしていた。


「扉を開けるものに行かせろとあったのに、これでは意味がないではないか」

少し偉そうな人の1人が言ったと思うと別の人は

「大鎧様の遣いになんてことを」とか言ってて、俺の扱いも混乱している。

大鎧なんたらの会の中にも、俺を様付けするやつと、産廃扱いするやつが混在してるのだ。


「そもそも何を調べるために行ったのでしょう?」と聞くと、

護衛の3人の1人が「玉で神殿跡地の汚染を調べるためです」と言う。

それは出発時に聞いた。

そういえば、汚染の話聞いたとき、汚染されると、怪物が出ると聞いていたことを思い出した。

「汚染と関係あるかわからないが玉を置いて待っていると、でかい怪物が来た」

と話をすると、もめ始めた。


それはかなり危険な状態だという。

あの怪物はしばらくすると、テンゲス迷宮に攻め込んでくるのだという。

特に扉が開くとまずいらしい。


「扉が開いたタイミングで、そんな巨大な怪物が現れたら、迷宮が!」と護衛の3人が慌てる。

そういや、この人達にも話してなかったかもしれない。


無意味な行動だったとものすごく凹んでいたが、単なる口実ではなく、調査に意味はあったらしい。

やろうとしていた調査自体は失敗してたのだが、怪物自体を目撃したので偶然ではあるが結果的には意味があったようだ。


話が混乱してて、扉が開くと勇者と大鎧の戦が始まってしまうと言ってる人も居る。


でも、俺あれ開けちゃったんだけどと思った。

テンゲス迷宮守るために、勇者が巨人と戦うってことは無いのだろうか?


オリアン神殿の件は、明日説明するというので、ひとまず帰る。


確か、勇者伝承の本の中に勇者が怪物からストーンサークルを守って戦うみたいな話があったはずだ。

これは、勇者探しに行かないと駄目かもしれない。

でも、あれを追い払えるような勇者が本当に存在するのだろうか?


========


次の日も大鎧なんたらの館の、いつもの婆さんのところに行く。

オリアン神殿跡地のことだ。昨日は玉と怪物の話で終わってしまったため、今日出直しになったのだ。


案内の人に「ここから先はお一人で」と言われる。

エスティアとリナがついてきてくれたのだが、部屋には入れてもらえなかった。

「先帰ってていいから」と言い残し、一人で進む。


凄く広い施設でも無いので、婆さんのところまでは、そんなに離れていないのだが


「お主が行って聖域になった。すなわち、お主の神殿と言うことになる」

大鎧なんたらの婆さんが言う。


「はあ」。こんな返事しかできなかった。


突然オリアン神殿跡地が俺の土地になった。

大鎧なんたらの婆さんが言うには、俺が行ったせいでオリアン神殿跡地が聖域になったから、俺の神殿なのだという。まったく意味わからん。



俺は、ここでは”大鎧様の遣い”ということになっている。

俺は騙されて大鎧様の遣いかどうか調べられてしまったのだ。

その調べられた時の同行人、モブキャラA子(名前聞いたけど忘れた)は説明するだけでなく、大鎧の遣いかどうか判定する役割があるのだと言う。


俺のときは、一瞬で玉に反応が出たのでヤバいやつが来たと思って注意して見ていたが、神殿跡地を何度も回った。

あのような動きをした者は今まで居なかった。

その後確認すると実は聖域化していた……だそうだ。


神が回ると神殿ができると言われているため、回って聖域を回復したならその神殿の持ち主は俺だと言うことになった……らしい。


俺はあの時生贄にされると思って一晩中頑張って見張ってたんだよ!ただ回ってたわけじゃ無ぇよ!!と全力で思った。


俺はそういう特別扱いが嫌で、今まで避けてきたんだよ!!

でも、報酬の良さに贖えなかったのだ。


ただ、お布施くれる人の家の周りを回らされる理由が理解できた。

神が回ると聖域になるからそれを再現したのがアレなのだ。


普通は玉の反応はじわっと出るもので本来は反応の有無を見るために丸一日かけるのだが、俺の時は一瞬で終わったので1晩にしたのだと言う。

予定では3日仕事だったのに急に短縮されて違和感持ったから、警戒しまくってストーンサークルを回ることになってしまったのだ。

「紛らわしいことすなーーー!!!」と全力で叫んだ。心の中で。

挿絵(By みてみん)

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