素材売却の前に?
仕事が終わり家事をしてからログインの準備をする。今日から二日間は仕事が休みなのでサラオンを存分にできるぞ、とりあえずは手に入れたアイテムを売るためにどこか売る場所を探さないとな、考えてるうちに準備が終わり即ログイン。
ログインした後部屋を出て階段を下りカウンターに居た女性に話しかける。
「こんにちは」
『はいこんにちは、戻ってきたのですね。』
「ええ、またこの世界でお世話になります。」
『ふふ、ええお世話してあげます。これからどのような予定ですか?』
「とりあえず手に入れた岩亀の素材をどこかに売りたいですね。」
『そうですか・・・でしたら東門近くにある“タジン武具店”を尋ねてみてはいかがでしょう?』
「そこは素材の買い取りもしているのですか?」
『ええ、特に最近は北の草原の魔物の素材しか出回りません。岩亀の素材なら喜んで買い取ってくれると思いますよ?』
「なるほど、ではそこに行ってみます。」
『詳しい場所は東門の・・・』
もはやお馴染みになりつつある≪マップが更新されました≫のシステム音声を聞き、マップにタジン武具店の場所が表示されたのを確認した。女将さんに礼を言って東門広場に向かう。
噴水広場に着いた後東に向け歩を進める。周りを見渡せばPCが露店や商店で買い物をしたり露店で物を売っている姿を見かける。こっちは人でというよりPCで賑わってるな~まあ生産スキルを持ってるPCにしたら居心地がいいだろうしな。
そんなことを考えながら歩き東門に着いた。女将さんの話とマップによるとこの近くなんだが・・・店を探して見渡すと、なんだかある店の前に人だかりができているんだが何かあった『帰れぇ~~!!』!?
大声が響いたあと人だかりは左右に割れその中から三人組がーーたぶんPCーー大慌てで走ってきた。そして店から出てくる男性が・・・
『いくら珍しい物を持っとるからと言って礼儀を知らん奴に払う金はない!!とっとと立ち去れぇ~!!』
「な、なんだよこの爺!俺たちは客だぞ、PCだぞ!!なんでNPCがそんな態度とれんだよ!」
「いいから黙って買えよな!態々最初の町まで来てやったのに!」
「しかもこれ第三エリアの魔物のドロップ品だぞ!ここら辺じゃ手に入らねえだろ!高くしろよな!」
『やっかましいわぁ~~!!』
また大声で叫ぶ男性・・・というより老人?外見はずんぐりとした低身長、太い眉に、結構蓄えてる髭、もしかしてドワーフか?
『PCだか、NPCとか、わけわからんこと言いよって!それに態々持ってきた?ふん、どうせ北の町々でもそんな態度だから、買い取ってもらえんかっただけじゃろうが!?』
「「「んぐ!?」」」
どうやら図星のようだ。しかしあいつらなんであんな言動や態度なんだロールプレイか?自分たちの首をただ絞めるだけのような気がするが・・・
『とにかくお前らに払う金は一切ない!態度を改めて出直してこい!!』
「二度と来ねえよこんなとこ!おい、いくぞ」
「お、おう」
「わかった・・・」
その会話を最後に三人組は噴水広場に向かっていった。彼らの言葉を信じるなら第三エリアの魔物を倒せるようだからきっと噴水広場で転移するのだろう。このサラオンではエリアを突破して新たな町についたら、中央に存在するオブジェクトにメニューから登録することで町から町へ転移することができる。
俺も早く次の町に行きたいもんだ。その前に色々片付けないとな、まずは素材売却なんだが・・・マップには先ほどのトラブル?があった店が”タジン武具店”のようなのだ。あんなことがあった後じゃあ入り辛いでも素材は売りたいし・・・俺はゲームで怖じ気付いてどうするよと思い直し店の中に入った。
「ごめんください」
『なんじゃまた客か?』
先ほどのドワーフ?がカウンター前で俺に視線を向けた。
「はい、今日は買い取ってもらいたい物があり訪ねてきました。」
『・・・・今度はまともな客のようだな。物は何だ?』
「こちらです」
俺は南の山道で戦った魔物のドロップ品を取り出した。ちなみにアイテムとしてみたらこんな感じ。
岩亀の甲羅の欠片 品質:2 レア度:☆
南の山道に生息する岩亀の甲羅の欠片、軽くてなかなか固い
一つでは使い道はない
岩亀の腹皮 品質:2 レア度:☆
南の山道に生息する岩亀の腹皮、柔らかく伸縮性がある
防具への加工が可能
岩亀の岩石 品質:2 レア度:☆☆
岩亀の甲羅にくっ付いてる岩石 単体では役に立たない
鍛冶屋に持って行くといいことあるかも?
品質はアイテムの状態で数字が高いほどいい物ということ、レア度はどれだけ珍しいかの表記、☆の数が多いほど珍しい。
俺は取り出したアイテムをカウンターに並べてドワーフーーまだ聞いていないがドワーフとさせていただくーーに伺う。
「これらはいくらぐらいになるでしょう?」
『・・・・これは』
取り出したアイテムを凝視したままドワーフは固まってしまった。数秒後口を開いた。
『お前さんが倒したのか?岩亀を?』
「はい、召喚士ギルドでゴーレムを召喚できるなら、南の山道で戦うといいとユミ先生から言われまして」
『そうか、ゴーレムを召喚できるなら倒せるじゃろうな、それにユミ嬢ちゃんのことも知っとるのか。』
「そうですが?」
『・・・買い取るのは構わんが、そのまえに儂からおぬしに頼みたいことがある。それを聞いてくれんか?』
なんだろう?気になるしここはとりあえず・・・
「聞きましょう、ですが聞いた後で断るかもしれませんよ?」
『それは当然じゃろう。聞いてくれるだけでもありがたい。話してもいいかな?』
俺は黙って頷いた。
『ありがとう。頼みというのは岩亀の素材をもっと大量に集めてほしいんじゃ』
「具体的な数はどれくらいですか?」
『そうじゃのう・・・欠片と腹皮が10個、岩石が5個じゃな。だが、これらの数はあくまで最低これくらいは欲しいという数じゃ、それ以上持ってきても構わんぞ。もちろん報酬もその分上乗せはする。どうじゃ?』
俺は考え受けてもいいと思った。どうせ何度か行く予定なのだしな。
「受けます。」
『そうか、ありがとう!』
≪クエストを受理しました≫
クエスト名 岩亀の素材集め 難易度☆☆☆
岩亀の甲羅の欠片 0/10 岩亀の腹皮 0/10 岩亀の岩石 0/5
へークエストってこんな風に発生することもあるのか酒場だけかと思ってた。
「じゃあ、今すぐ行ってきますね。」
『頼んだぞ!』
8/3 一部変更