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少女は運命に殺された  作者: Philia
Chapter1
37/60

Ep.34

 今日は気持ちよく起きることができた。

 なんせ、その片手にはルゥからもらったキーホルダーが握りしめられている。

 残念ながらスマホには取り付ける部分がなかった。なので今はポケットに入れている状態だ。


「おっはようございます! 今日のヒナタさん早いですね!」


 牢屋の外では相変わらずサクラが呼びに来ていた。ただ、早いと入ってもすでに八時だ。

 それに、今日はアズキとユイを連れていないようだった。


「あれ? アズキちゃんとユイちゃんは?」

「あの二人はまだ起こしていません!」


 どうやら順番的に今日はヒナタが一番のようだった。


「というわけで起こしに行きますよ!」


 そして、サクラに連れられてまずはアズキの牢屋の前に行く。


「アズキさーん!」

「……んあぁぁ?」


 アズキは身を起こす。目をこすりながらも身支度を済ませる。慣れた手つきだ。


「今日はヒナタさんからなんですね」

「ふっふっふ、気分です!」


 続いて、ユイの部屋に行く。

 ユイは布団をひっくり返して爆睡していた。初めて見たが、とてつもなく寝相が悪い。


「ほーら、ユイさん。起きてください!」


 サクラがユイの部屋に入り、布団を引っペ剥がす。その様子はまるで寝坊する子供を起こす母のようだった。


「んん……ねむい」


 ユイはまだ眠そうにしながらも起きる。


「サクラちゃん、毎朝これやってたの?」

「……? もちろんそうですよ?」


 何を当たり前なことをといった目でサクラはヒナタを見つめる。


(今度からは早起きの努力をしよう……)


 その大変そうな様子に、静かにヒナタは心でそう誓うのだった。



 †



「隣、いいかな」


 四人のそばにやってきたのは、マコトだった。どうやら一人で食べていたらしい。


「どうぞどうぞ!」

「ありがとう。一人は寂しくってね」


 普段全くと行っても喋らないマコトだが、それでも一人はさみしいようだ。


「この後庭に行ってヒナタさんたちと観光する予定なんですけど一緒に来ますか?」

「……ごめんなさい。すこし体調が悪くて」


 観光とは、少し前にヒナタとユイが見つけた絶景スポットを巡ろうという企みだ。


「そうですか、ではまた今度ですね!」


 誘いは断られたが、また今度がある。

 そうして五人は和気あいあいと喋りながら朝食を終えた。


「またね!」


 ヒナタの声に、マコトも手を降る。どうやら医務室で休憩するようだった。


「それでは行きましょう!」


 そうして四人は庭に出る。

 相変わらずの太陽は、皆を暖かく迎え入れた。


「ではあの木まで行きますよ!」


 すでにサクラは走る気まんまんだ。観光と入ったが、木まで走るのは変わらないらしい。

 しかしそんなことはここに居る全員がわかりきっていたことだ。すでに準備運動を終えている。


「では、よーい……スタート!」


 その声と同時に、四人が一斉に駆け出す。それはもはや日常ともなっていた。


「私の……勝ち!」


 そして、一番に気にたどり着いたのはサクラ……ではなく、アズキだった。


「ひえー、負けました!」


 二位で着いたサクラは潔く負けを認める。ヒナタとユイも遅れてやってきた。


「アズキちゃん……こんなに……はぁ……速かったんだね……」

「ぬわー」


 ヒナタとユイはそのまま倒れる。


「うん、自分でもびっくり」


 アズキはここでの生活中、無意識でその体力を着々と増やしていたようだ。


「これはオリンピックな人材になりますよ~!」


 サクラの言葉に、アズキは頬を赤らめる。


「と、とにかく早く観光しましょう! 私、ヒナタさん達のガイド楽しみです!」


 アズキは恥ずかしそうに話題を変える。


「そうですね! では行きましょうか!」


 そうして、二人のガイドと二人の観光客による観光が始まった。

 森の中の神秘的な光景から始まり、そこから二人が追加で見つけていた様々な名所を巡る。

 そして最後に、あの場所へ来ていた。


「もうすぐで目的地に着くよ!」


 ユイの言う目的地とは、あのとき写真家になれると言われるほど綺麗に写真を取ることができたあの場所だ。


「ん……? あれ、ケイちゃんかな」


 ヒナタがその場所の方向を見ると、赤い髪の少女が横になっているのを遠くで発見した。


「ケイさんもその場所の虜になったかもしれませんね!」


 サクラの言う通り、虜になってしまってもおかしくないようなきれいな景色である。

 しかし、そんな少女たちの期待は裏切られることとなる。


「え……」


 だれかがふと声を漏らす。なぜならそれは、あまりにも見たくないことだから。


「ケイ……ちゃん……それにヒビキちゃんも……」


 そこには、ケイとヒビキが寝ていた。

 しかし、その目は永遠に開かれることはない。

 ヒビキの体から溢れんばかりの血が流れ出し、ケイの体には一本の剣が突き刺さっている。

 明らかに、死んでいた。

 二人の周囲は、血で染められていた。

 上から見れば、まるでハート型のような形で、血が塗られていた。

 それはまるで、どこかドラマのシーンのようであった。


「……とりあえず、皆さんに知らせますね」


 冷静に、サクラはスマホを取り出しメールする。

 十分もしないうちに、全員がその場に集まっていた。


「嘘……でしょ……」


 ノノミが呟いた。だが残念ながら、それは現実なのだ。


『さて、皆さん揃いましたね。悲しいことに、今度は二人死んでしまいました。悲しいですね。恨めしいですね。ですので、犯人を処刑する裁判を開きます。今が九時なので……十三時でいいでしょう。時間になれば、皆さん二階から裁判所に向かってください。その間に犯人を特定する証拠でも見つけておいてください。屋敷から遠いので、くれぐれも遅刻には気をつけて……』


 一斉にクモからのメールが届く。

 それは、三度目となる死体発見を告げるメールだった。


「……」


 全員、何も喋れなかった。

 ショックで、恐怖で、動くことすらも許されなかった。


「……調査を、始めましょう」


 サクラの静かな声が、あたりを包む。

 少女たちは、まるで機械人形のように、サクラの言葉によって動き出すのだった。

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