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事故に遭いました~俺って全身不随?でも異世界では元気ハツラツ?  作者: サクラ近衛将監
第二章 再起と発展

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2ー4 ケントの世界 その一

 ケントの世界での俺の意識は、相変わらず健司の意識を受け継いでいる。

 従って、健司の世界で仕入れた品なんかもインベントリで共有できているんだ。


 その意味では結構便利だぞ。

 こっちの世界では魔法があるから、大概の事は魔法で片づけられるとは言いながらも、良い製品を生み出そうとすればそれなりの技術が居るし、魔力の無い物は魔導具すらも簡単には使えない。


 例えば照明の魔導具はあるけれど、生活魔法の一つでも使えないと照明そのものを点けられないことになる。

 魔力を持たない者と言うのは、このケントの世界では珍しいのだが、それでも全く居ないというわけでは無い。


 ケントの出身の村では魔力無しの者は居なかったが、数百人に一人ぐらいの確率で、魔力無しの者が存在するらしい。

 こういう人たちは、社会の底辺に属さざるを得ないことになる。


 例えばメイドになっても、(かまど)で火を起こせないし、部屋の明かりも()けられないことになる。

 相応の魔導具が有ってもできないのだからメイドを使う方としては困るわけで、どうしても無能者として扱われるケースが増えることになる。


 そのほかの才能が有っても、余程特殊かそれとも本当に優秀でない限りは差別されてしまうのだ。

 人間社会とは、その点で残酷である。


 異質なモノは差別されても仕方が無いと社旗全体が容認してしまうのだ。

 この世界では双子等に対する偏見は無いけれど、健司の世界の古の社会では双子等の場合は獣腹と言って生んだ方も生まれた方も差別をされた歴史が有る。


 中には、双子の一方を忌み子(いみご)として捨ててしまうケースもあったようだ。

 要は世間体を重視して、一方は生まれなかったことにする風習があちらこちらにあったわけである。


 魔力の有無は、生活に必要な魔導具に関わるものであるだけに、差別化されやすいのである。

 健司の生きている世界では魔力を持っている者は存在しないか、居ても極々少数なのだろう。


 従って、魔力が無くても、魔導具が生み出す現象と同じようなことを道具を使ってできる工夫をしている。

 火をつけるのにマッチやライターなどの生活道具が有る。


 また、水道設備や電気機器など、ケントの世界では魔法とも思えるような設備や科学文明の利器がある。

 魔力を有しているからと言って、魔力を使い過ぎれば、能力を持っている人でも魔法が発動できなくなるが、その時に役立つものが有れば便利なのは確かである。


 例えば長いトンネル等を歩く場合、照明の魔導具が有ればとても便利ではあるが、それらを持ち合わせていない場合、代わりに魔法を使える者が光魔法で灯りを提供できるのだけれど、どうしても長時間は魔力が続かなくなり無理なのである。

 そんな時に、松明たいまつが手元に在れば、火をつけて当面の灯りとして使うこともできるだろう。


 但し、魔力を使い過ぎると、その火すらも出せないことになるのだ。

 そんな場合、健司の世界に有ったマッチとか百円ライターが使えれば至極便利なのだ。


 ケントの世界では相応の食生活は発達しているものの、健司の世界に比べれば味の点でかなり劣ると思っている。

 ケントの意識はそれなりに残ってはいても、記憶量として多いのは健司の記憶であり、食生活も健司に引きずられているのだ。


 だから、自分で料理する際には、ついつい、健司の世界で入手できる食材や調味料を使ってしまうのである。

 何となれば、ケントの世界の料理は、健司の世界の料理程洗練されていないのだ。


 やっぱり美味いのは、健司の世界の料理の数々なのだ。

 健司とケントではおそらく舌が違うはずだけれど、そのケントの感覚ですら間違いなく健司の世界の料理や食材が美味しいのである。


 従って、ケント以外の人物が居ない場合は、どうしても、健司の世界の料理に流れることになるわけだ。

 但し、ケント以外の人物が居る場合は、健司の世界に由来する素材も調味料も使えないことになる。


 今日も今日とて、ギルマスの娘二人が我が家に押しかけてきて、俺の料理を強請(ねだ)っている。

 ギルマスの娘は14歳のシーラと12歳のヒルダの二人だが、健司の世界に比べると随分と()()()いるのである。


 ケントの世界の成人年齢が15歳と言うこともあるが、この娘たちの年齢でさえも既に婚約している場合もあり得るのだ。

 この世界の場合、人の移動はかなり限定的であり、多くは生まれ育った地域から移動することは少ない。


 従って、伴侶を選ぶにしても身近な人物から選ぶことになるのだ。

 そのために幼馴染(おさななじみ)などがその対象になることはありがちな話である。


 但し、目の前に玉の輿が有れば、娘たちも大いに関心を寄せることになる。

 今まさに、そのターゲットに俺がなっているらしい。


 ギルドの受付嬢までを含めて未婚女性の多くが俺に色目を使い、盛んにモーションをかけて来る状況にある。

 どうもギルドに金を預けていると、ギルドの職員にはその残高がバレバレらしい。


 健司の世界に有った筈の個人情報保護なんってものは無いも同然だ。

 若い娘たちの噂話で、あの男は金持ちらしいとかの話は、自らの利益のためにも漏らすまいとしていてもいずれ漏れるものらしい。


 俺が、領都でかなりの金額を得たことは、一月もしないうちに未婚の女性だけでなくかなりの数の人間に知れ渡ったようだな。

 そのために、俺の自宅兼治療所にも何度か強盗まがいの奴が来たよ。


 そんな奴は徹底的にいたぶって、衛士に引き渡している。

 盗人の腕の骨の一本や二本が折れていようが、衛士は一向に気にしないものだ。


 何せ刃物を持って俺を殺しにかかってくる奴らであり、時に複数で襲撃して来るなら、過剰防衛なんぞも当たり前の話だ。

 流石に意図的に殺すまでのことはしないが、誤って殺したにしても誰からも文句は来ない。


 ケントの世界では、盗賊、山賊、海賊の類は殺しても構わないことになっているのだ。

 余分な話はさておき、シーラが半月ほど前に、町の外で野草取りをしている際に野犬に襲われ結構なけがをしたんだ。


 その際に俺の治療所に運ばれて来たので手当てをし、二日ほど入院させたが、その際に出した病院食が痛くお気に召したようだな。

 大したものじゃないんだぜ。


 小麦の表皮部分を使ったフス(フスマ若しくはBran)を使い、シリアルにしただけなんだけれどね。

 まぁ、ヤギの乳から液状のヨーグルトを造り、甘味料なんぞも使って味付けをしたから食べやすかったのかもしれないな。


 多分ケントの世界では初めてのものだった可能性がある。

 それに味を占めたのか、妹のヒルダも連れて盛んにその病院食を強請っているところなのだ。


 一応の治療所の営業時間は済んでいるから俺も忙しいわけでは無いのだが、・・・。

 これは癖になると困るよな。


 だが結局は、二人の娘に押し切られてしまったよ。

 フスなどの材料は揃えてあるから、すぐにでも造れるものであるし、この二人の娘は、ギルマスの奥さんであるハンナさんに似て美人顔になりそうな可愛い(かわいい)顔をしているんだ。


 別に俺に底意が有るわけでは無いんだが、男は美人と可愛い()には甘いもんなんだよ。

 午前中に森で摘んできたカルヴァン・グラネ(健司の世界では多分ザクロの一種だと思う果実)のジュースを造り、フスのシリアルと一緒に出してやった。


 俺の晩飯は別につくることになる。

 この二人が帰ってから造るつもりだ。


 ところで、この二人多分ハンナさん辺りから言われて来ているような気がする。

 単なる俺の堪にしか過ぎないんだが、ハンナさんは意外と計算高いところが有るからな。


 娘たちの将来を考えた時に、ギルドでも有望な稼ぎ頭であり、カルディアの英雄であれば、娘の嫁ぎ先として十分と考えているのだろう。

 俺がこんな風に考えるのも、とにかく、未婚女性からのモーションが急激に増えたからだ。


 まぁ、順当に考えて、男としての力もあり、金も稼げそうな奴が居れば、確かに女性陣からのターゲットにはなるわなぁ。

 スタンピード前にもそこそこあった粉かけが最近は非常に目立つんだ。


 俺は、別に人気者になりたいわけじゃないし、もう少し普通に接してもらいたいものだと思うよ。

 俺の普段の生活は、従前と変わらない。


 午前中にハンター稼業をして、午後は治療師役を務めるのが日課だ。

 夕刻以降は、錬金術師や薬師としての活動も始めているぜ。


 一応資格を持っているから、魔導具を作成したり、ポーションや薬剤を造ったりして販売もすることができるんだ。

 まぁ。俺の場合は、販売は人に任せて(おろし)に徹しているけどね。


 卸先については、俺の目で確かめて、信用できるところにしているよ。

 ケントの世界でも経済はそれなりに回っているから、暴利をむさぼらないよう適度な価格で卸して、経済が回るようにしているし、俺の手元に入った大金も適度に消費するように心掛けているよ。


 ため込んでいるばかりじゃ、社会に貢献できないからね。

 因みに自宅には結構な家具が揃っているぜ。


 自分で造った物もあるけれど、良い物が有れば率先して購入するようにしているんだ。

 決して無駄遣いをしているつもりは無いんだぜ。


 それから自宅には温泉を引いた。

 俺の裏庭先で地下300mほどまで魔法で掘ると自噴するほどの温泉が湧いたんだ。


 勿論、そのまま温泉を噴出させていたら周囲が水浸しになりかねないから、バルブのついたパイプで封鎖し、自宅の一階部分に浴室を設けて、かけ流しの風呂を造ったよ。

 排水は、地下10mに下水用のタンクを設け、最寄りの大河にまで下水道を導いて、川の水と混ぜて余り熱くならないように温度を下げてから放水している。


 急激な環境変化は、周囲に悪影響を及ぼすかもしれないからね。

 かけ流しの湯量も、しっかり押さえて一分間に洗面器二杯程度にしているよ。


 因みに温泉の泉質は多分炭酸水じゃないかと思う。

 透明だし、臭いは無い。


 生活に必要な水は地下水を汲み上げているよ。

 魔導具で渦巻きポンプを造って地下水を汲み上げ、一定の圧力をかけることにより、二階まで水道を使えるようにしている。


 まぁ、それとは別に、井戸を設けて手押しポンプを設置しているけれど、こいつはある意味で誤魔化しのためのダミーだな。

 手押しポンプでさえこの世界では珍しい道具だからね。


 そもそも目立たないように裏庭に隠しているし、渦巻きポンプは地下に設置しているから表面上は見えない代物なんだ。



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