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【書籍化決定】クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った  作者: 星野林


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休みの1日 ダンジョンの政治利用

 ある日のこと、少しお腹が出てきた綾乃と食事を摂りながら、ゆっくりしていた。


 まだ島内では様々な問題が起こっていたり、少しずつ鍛冶師とか錬金術師とか大工とかが八の島に戻ってきて、各々自分の腕を使って工房を建てたり、職場を整えたりと、本当に少しずつであるが、二次産業が興り始めていた。


 そんな中で、俺は農地を引き続き広げたり、灌漑設備を整えたり、街の飲料水と衛生に関わる上下水道の拡張整備、道路の舗装など、ちょっと1人でやるのがだいぶしんどい仕事をいくつもこなしていたが、ようやく食料系が直近で必要分の確保に成功し、落ち着きを見せていた事で、俺は休みを取ることができた。


 こうして朝からゆっくり休めるのはいつぶりだろうか……。


「赤ちゃん順調に大きくなってるよ。あと7ヶ月くらいしたらパパだね」


 そう言って綾乃がお腹を撫でる。


「逆算してもコンドームに穴が空いていた日だよな……なんで綾乃はあの日コンドームに穴なんか空けたの?」


「いや、私も謎に思ったんだけど、コンドームに穴を空けた覚えないんだよね……普通にゴムの強度の問題なんじゃないかなって私は思ったんだけど……」


 確かにコンドーム用のゴムを使ってコンドームを作ったわけじゃないし、そんなゴムを極薄にしていたら失敗作はできるか……。


 というか俺もコンドーム職人ってわけじゃないしな。


「なるほどなぁ……しかも島で生活基盤が整ったから速攻子作りっていうのもあれだな……」


「あれ? 隆史君……あんまり考えてなかったかもしれないけど、私……あの時期だったら高校を卒業していたからっていうのが大きいよ」


「あぁ、なるほど」


 綾乃のコンドーム穴あき事件は、この世界に転移して4ヶ月半過ぎ……つまり高校を卒業した時期に合致する。


 高校を卒業してしまえば成人として扱われるので、綾乃はそれを狙って子供を作ることにしたらしい。


 というかあの事件の後はコンドーム意味ないからほぼ生で性行為していたのも原因だと思うが……。


「でももう少ししたら私赤ちゃん流れちゃう可能性があるから、性行為できなくなるけど……発散大丈夫?」


「滅茶苦茶働いて、疲れてそれどころじゃなくせば……一応?」


「うーん、それだと隆史君が体調壊れちゃうじゃん。私それは嫌だから……異世界だし、パーティーの仲間の人だったら浮気OKだけど」


「不誠実な男になりたくないんだけど……」


「でもエリーゼさんだっけ? 島の代表の姫様とか……あの人と隆史は結婚まではしなくても子作りはしないと厄介な事になるんじゃないかな? そこら辺はミンナとかの方が詳しいけど……」


「……せっかくだし朝食後に久しぶりにホノカ亭に行かないか? そこで皆と今後の話も踏まえて色々喋らない?」


「うん、そうだね!」


 朝食のアジフライと卵焼きでご飯を食べていき、俺は朝の活力をチャージすると、綾乃と一緒に皿を洗ったり、洗濯物や部屋の掃除を終えてから、ホノカ亭へと向かうのだった。







 ホノカ亭ではミンナとマリー、アオイとバトラーが東條に習っている簿記の勉強をしていた。


 アカリ、カグヤ、ニャンは食材の買い出しのためにジパングに出かけているらしい。


「ちょうどよかったかな」


「サイトウ、お疲れー。今日は休み?」


「ようやく休みを取れたよ」


 ミンナから声をかけられて、俺と綾乃は食堂の席に座り、アオイからコップを受け取ると、日本で買ってきたジュースを注ぐ。


 勿論皆の分も含めてである。


 ミンナがコップに合わせた氷を生み出して入れてくれるので、冷えたジュースをいただける。


「ミンナありがとう」


「どういたしまして」


 ジュースを飲みながら、バトラーが、


「サイトウさんがホノカ亭に来たってことは何か用件がある感じですか?」


 そう聞いてきたので、俺は用件を伝える。


「用件……というか統治者視点でミンナとマリーに聞きたいんだが……やっぱり俺はエリーゼと子供作らないとまずいのか? 常識のすり合わせを行いたい」


「なるほど……そう来たか……」


 ミンナとマリーは席に座り直して真剣な表情になる。


「結論から言うと子供を作るのは絶対だね。できればエリーゼとは3人は子供を作って欲しい」


「3人もか?」


 ミンナの説明によると、私達は英雄という実績と冒険者ギルドとの契約があるからこの島の実権を握ることができているけど、ヤシマ王国からしたら他国の人間……という側面も見えてくる。


 実質他国の人間に領地を取られたと見る貴族も戦災の復興が終われば追及してくる貴族が出てきてもおかしくないし、魔王が討伐されれば、追い出そう……とはしなくても何かしらで縛りを付けてくる可能性は高いとのこと。


 その際にエリーゼと子供を作っておき、エリーゼを島長と立てて、俺が補佐をするという体制を作っておけば、ヤシマ王国の貴族達からの反発も最小限で済むんじゃないか……というのがミンナの考えだった。


「というか綾乃との子供も最低3人は作って欲しいよ。統治者視点からすると」


「そうなのか?」


「そう!」


 綾乃ともできれば子沢山の方がありがたいとミンナとマリーは言う。


 現状八の島の復興を手伝いながら、自分色に八の島を改造している最中だし、綾乃と生まれてくる子供は転移者ではなく異世界の住民になる。


 それにヤシマ王国で生まれるのだから、ヤシマ王国の住民として生活をしていくことになるだろうし、英雄の子供として周りから観られることになる。


「王族が子供を沢山作るのは王位を継ぐものを確実に残すためでもあるけど、英雄の子供は偉大な父親や両親と比べられ続けるから、それが一人っ子だった場合、周りの期待が1人に集中するよね」


 期待を一身に受けた子供は才能が凡庸よりな子供ほど確実に歪む。


 兄弟姉妹が沢山居れば、兄弟姉妹で競争を勝手に始めるので、歪み方も比較的健全になる……とマリーは言う。


「それでも突出した個が出現すれば私みたいに周りが結託して排除に動くこともあるけど、それは英雄の子供は強い方が周りも安心しますからね……あと統治者と血縁であれば統治者側も異世界から召喚した勇者よりは信頼できるでしょうし」


「なるほどなぁ」


 というか異世界召喚される勇者はそれだけ劇物なのだから、呼ぶのも躊躇うし、用が終われば返そうとするわな……それが魔王と同等の戦闘能力があるなら尚更……。


(というか、過去に闇落ちして魔王とか災厄側に付いた勇者とかいなかったのだろうか? いや、そんな簡単に人類をどうこうするような責任感の無い人物は勇者にはならないか)


 うんうんと首を振りながら、俺は色々考える。


「エリーゼと子供を作らなければならないこと、綾乃ともできるだけ子供を作った方が良いことは分かった。綾乃は不倫しているみたいになるけど気持ちは大丈夫なのか?」


「私は問題ないよ。というか隆史君が絶倫過ぎて1人で受け止めるの厳しかったし……ミンナ達とも相談しているけど、仲間の人と絶対に子作りしないといけないエリーゼに関しては受け入れるから……でも他の人に構いすぎるのはメッね!」


「分かった分かった」


 嫁公認で不倫していいってヤバいな……。


 綾乃もこの世界の価値観に染まってきたのか、それとも元の姉達と比べられる家庭環境が影響しているのかまでは分からないけど……。


 そういう人ほど1人の男に固執しそうだけど違うのかな? 


「子作りの話はこれくらいで、今後の予定だけど……どのくらいのタイミングでダンジョンを創って稼働させた方がいいか?」


「ダンジョンねぇ……サイトウはジパングのダンジョンみたいなのは作れるの?」


 俺の能力を使えば、恐らくジパングのダンジョンみたいに島の表面でモンスターが湧かなくすることができるし、ダンジョン内で大量のモンスターを湧かせて、宝箱をドロップさせたりすることは可能だろう。


 モンスターを放置しても、各階層でスライムを湧かせることをしておけば、モンスターの亡骸の処理や排泄物などの処理も勝手に行えるだろうし……。


「作るとしたら他国が復興に時間がかかっているのと、一の島で世界中から集めた冒険者の不満が爆発する前。あとは冒険者を受け入れることができる宿の整備や武器や防具の販売、冒険者ギルドの整備とか……エリーゼと相談した上で、一の島の王族とも協議の上で始めた方がいいだろうね」


 ミンナはそう言う。


 一の島の王族は絶対一の島にダンジョンを作って欲しいって言われるだろうから、一の島の王族を味方に付けるなら一の島にもダンジョンを作ってしまう。


 で、一の島のダンジョンの運用の仕方を見てから、八の島でもダンジョンの運用を始めれば、利益は少ないかもしれないけど、長く細く稼げるし、八の島の島民のレベリングは可能だろうとのこと。


 うーん……そこら辺もエリーゼと相談か……。


 というか現状の八の島だと冒険者が押し寄せたらキャパオーバーするのが目に見えているからな。


「でも俺がダンジョンを作れるの知られるとまずくないか?」


「いや、金のなる木みたいなものだし、一の島の人達は世界中から集めた冒険者の対処で忙しいから、サイトウがダンジョンを作れるという秘密は守ると思うよ。ダンジョンを作る際に八の島に関する色々な優遇政策を一の島の王族に飲み込ませてしまえば……より良いけどね」


「そこら辺は政治の分野だな……ミンナ、マリーありがとう」


「いやいや、私達もヤシマ王国の人間じゃないから仮定で話しているけどね」


「とりあえずエリーゼと補佐官のソフィーの2人としっかり相談した方が良いよ」


「ありがとうな」


 とりあえずエリーゼとソフィーとしっかり話さないとか……頑張ろう。


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