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クラス転移したけど俺だけステータス表記が違った  作者: 星野林


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可愛いね、バトラー

「俺達は今までダンジョンの中で殺人を複数件犯しました……具体的な日付と階層は半年前にカッパーの男女4人の冒険者パーティーを後から襲撃して全員殺して……5ヶ月前、3ヶ月前、1ヶ月前にもそれぞれアイアン、カッパー、ブロンズの冒険者を狙って7組の冒険者を殺しました」


「殺した冒険者のプレートを記念で取っていたので、それを提出します……」


 マリーに操られた状態になった黒蛇の冒険者一行が冒険者ギルドのカウンターに行くや否や、そんな事を暴露し始めたので、ギルド職員だけでなく、周りに居た冒険者達も大慌てで彼らから距離を取り始める。


 ギルド職員が慌てて取り押さえるとと別の階から彼らのクランの親玉が出てきて、彼らを見つめる。


「状態異常だ……何者かに魅了されている」


「状態異常……じゃあ彼らはそんな事はしていないってわけですか?」


「ああ、何者かにやられたな……ステータスを確認する水晶でコイツらを調べろ」


「は、はい!」


 頭の男はギルド職員に命令すると、直ぐにギルド職員がステータスを確認していくが、変化は見られない。


「変化は見られないですが……」


「なに? 状態異常であればステータスの上に表記がつくはずだが!」


「ジル様、俺達は悔い改めたのです」


「自らの行いに対して贖罪をしたいのです……」


「お前らそんな事を考えるような輩ではないだろう! 奴隷のバトラーはどうした!」


「はい、邪魔なので殺しました」


「これがバトラーの首輪です」


 俺がそっくりに作った奴隷の首輪を彼らは提示する。


 奴隷を殺した場合は普通の罪よりは軽いが、それでも罪は罪である。


 ここまで来ると彼らは言い逃れができなくなり、ギルド職員によって連行されていく。


 そして彼らは冒険者が犯罪を犯した場合の略式法廷へ連れ出され、全員が悪質極まりないとして死刑が言い渡され、数日後に絞首刑に処された。


 ただし、彼らは絞首刑で処されてもなかなか死なず、日差しが彼らに当たった瞬間に全身が燃え上がり、灰になって死ぬという奇妙な事件として記録されるのであった。


 一連の流れを冒険者ギルドで見ていた俺達は、悪人を捕まえて、法廷に出して処されたので、罪悪感も湧かない。


 マリーの眷属化からどれくらい操ることができるかの実験にもなったらしく、マリー自身綺麗に操れて本人が一番驚いていた。


『一応追加で言っておくと、クランリーダーの彼らも悪人の様で、闇ギルドから依頼を受けて、特定の冒険者の暗殺を担っているようです。ただ私達は直接関わりがあるわけじゃないので放置で良いですかね?』


「ああ、今回の件で俺達に関与が疑われることも無い。バトラー君だけが気がかりではあるけど、ホノカ亭から出る場合、化粧でや容姿を変装させておけば何とかなるだろう。髪色や髪型を変えればクランの連中も分からないだろうし」


 俺がそう言うと、ミンナはニヤニヤしながら、


「でも意外だねぇ……サイトウがここまで正義感を見せるとは……賊に襲われた時は返り討ちしたら気分悪くなっていたのに」


「賊と同じで、俺達今回襲われているからな。バトラー君を助けたのはアリスに記憶を覗いてもらっても、言っているのは正しかったし、恨んでいる相手を助けようとするなんて普通の少年ができるとは思わないけど」


「それはそうだね……で、バトラー君が潰された金玉は再生できそう?」


「一応治療はもう少しで終わるけど、それはバトラー君次第じゃないかな?」


「というと?」


「最悪モンスターと合成して生殖器を復元させるってことは出来ると思うけど」


「でもホムンクルスを使うと少女になってしまうんじゃないの?」


「ゴブリン系統を進化させれば何とかなりそう」


「ふーん」


 とりあえず今回のダンジョン内で襲撃を受けた一件はこれで終了。


 ホノカ亭へと俺達は戻るのだった。









「奴隷から助けてもらって本当にありがとうございます! それに恨んでいたアイツらから解放してもらって本当に助かりました……」


 バトラー君をホノカ亭の中に戻ってから外に出すと、土下座しながら感謝を伝えられた。


 黒蛇の奴らを本気で恨んでいたのだろう。


「まぁまぁ、バトラー君が大変なのはこれからよ」


「これから?」


「一応俺達が保護したわけだけど、変装しないとろくに外にも出れないからね」


「そ、そうでした……町中でクランの連中に出会ったら終わりだ……」


「それに金玉は治らなかったんだろ」


「はい……体中の傷跡はサイトウ様のおかげで治ったのですが……」


「様付けはいいって……」


 バトラー君を捕獲することによって、捕獲状態だと時間経過で傷が治ったりするわけだが、生殖器は捕獲状態での治療では治らないらしい。


 いや、時間が経過し過ぎていて、金玉が潰れている状態が正常って判断されてしまったのかも知れないが……。


「ところでここはどこでしょうか?」


「ダンジョン30.5階層って言えばいいかな? 俺が作った空間だ」


「だ、ダンジョンの中に拠点を作ったのですか!」


「ああ」


「す、凄い! 凄いです! そんな事を考える人が居るなんて……確かにここならば町の人にバレずに生活することができます! でも何で隠れ住む様な事を?」


「それはなぁ」


 ホノノカ姉妹の事を彼に話す。


「悪い人も居るんですね……いや、僕も悪い人に使われていた身なんで思うところはありますけど……」


「姉のアオイは今強くなるために道場に住み込みで鍛えてもらっていて、妹のアカリがここにいるよ」


「アカリです。よろしくバトラー君」


「よ、よろしくお願いします」


 バトラーはアカリの1歳年下の13歳で、歳が近い女性経験が無いバトラーは緊張してしまっていた。


「ちなみにアカリは蘇生の際にこちらの手違いでデュラハン娘になってるけど気にしないでくれ」


「首から上が取れるんですよ」


「あわわわ!」


 アカリはバトラーをからかってニコニコしていた。


 2人の相性は悪くないかも。


「とりあえずバトラーは俺と同じ部屋でいいか? 1人部屋の方がいいか?」


「じゃ、じゃあサイトウ様と一緒の部屋で……」


「だから様付けしなくていいって……サイトウ!」


「サイトウさん……で許してください」


「分かった」


 なんかこれでは俺が虐めてるみたいじゃんか……。


「はーい、料理持ってきたよー」


 綾乃が皆の分の料理を持ってきてくれた。


 今日のメニューは回鍋肉に中華風スープ、餃子っぽい包物の料理にご飯という感じだ。


 バトラーが凄く美味しそうに食べるのを見て、皆ほっこりするのだった。







 バトラーと一緒に風呂に入ったが、確かに金玉の玉袋がしぼんでしまっていた。


 金玉潰されるってどれだけの痛みか想像もしたくないが、そりゃあバトラーも奴隷として扱っていた連中を恨むよなぁ……。


「なぁバトラー」


「はい、何でしょうか?」


「成り行きで仲間にしたが、互いに知らないことだらけだろ……色々聞いてもいいか?」


「はい! 喜んで」


 バトラーも風呂に入ってきて互いの事を話し始める。


 俺は異世界から来たことや他人とステータスが違ったり、色々な能力が使えることを話し、バトラーの金玉も治せる様にしてやるからなって伝えると、バトラーは涙を流して、


「ありがとうございます……その言葉を言ってもらえるだけで僕は嬉しいです……」


 と、色々鬱屈した気持ちがあったのだろうが、複雑そうな感情で涙を流していた。


「でもそうですか……異世界からこの世界に……」


「ああ、誘拐されたみたいなもんだがな。俺の仲間は皆色々抱えてるんだよ。抱えてないのミンナくらいか? いや、ミンナも抱えたか」


「へぇ……」


 バトラーにマリーは隣の国の元王女で、現ヴァンパイアであることや、アリスは古代に生きていた天使である事、ニャンとカグヤの2人は俺がモンスターから魔人へと引き上げたりと説明する。


「それに加えてアオイさんとアカリさんですか」


「ああ、あとホノカ亭で生活しているのだとラミア娘のラミーもだな。あれは30階層のボスモンスターを魔人化した存在だからな」


「そんなこともできるんですね! 凄いなぁ……」


「バトラーの治療法だけど、たぶんモンスターと合成することになるぞ。なるべく人に近い存在と合成するけど……それが嫌だったら拒否してくれて構わないからな」


「モンスターとの合成……アカリさんがデュラハン娘になったみたいな感じですか?」


「ああ、まぁ合成すれば凄いステータスに成長することもできるんだが……」


「ステータスも伸びるんですか!」


「ステータスはステータスの種を育ててるから、ここで食生活をしていれば勝手に伸びるぞ」


「へぇ……ここだけ別世界だ……」


「バトラーは当分ホノカ亭で綾乃やアカリの言うことを聞いてやってくれ。しっかり働いたら毎日1万シンク渡すから」


「い、1万シンクも良いんですか!」


「うちはそれだけ稼げてるからな。あとは髪色や髪型を変えたりしないとな……流石に専門職にお願いするか……まぁ今度俺が随伴して外に行くから、そこで髪型や髪色を変えたりしようか。男らしくな!」


「はい!」


 バトラーは嬉しそうに返事をするのだった。







 風呂上がりに俺は手持ちのモンスター達の様子を確認していく。


「うん、キングスライム軍団やエレキマッスル、テディベアにゴーレム軍団は絶好調っぽいな。ユニコーンやペガサスとか他のモンスターもたまには外に出してやらないとか……もう少しここの空間を広げるか?」


「サイトウさん!」


「ん? どうした? バトラー」


「いえ、こんなふかふかな布団で眠って良いんですか? 床でも僕寝れますよ」


「ここ元々2人部屋だし、ベッドが2つあるんだから自由に使えよ。もうバトラーは奴隷じゃないんだから」


「そうでした……嬉しいなぁ!」


 ニヤニヤ笑みを浮かべるバトラー。


「そろそろ寝るぞ。消灯」


「はーい」


 灯りを消して長い1日が終わるのだった。

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