25.繋がる
和真の寝息が聞こえる。助手席の和真を横目で確認し、再び前方の闇に目を向けた。
「ユカリにあげたはず」
リカの言葉を何度も反芻した。あの時俺が拾って届けた、ミサのキーホルダー。
(遺体は、ユカリなのか…?)
俺の推測が、点と点が線になって繋がっていく。ユカリは、存在を隠されていたミサの双子の姉。もしあの遺体がユカリなら、ミサはどこかで生存している可能性が高い。そして、ミサの母親は、ユカリの死を隠蔽するために、ミサを連れて逃亡した…?
俺はハンドルを強く握りしめた。この事件の恐ろしさは、単なる殺人事件ではない。失踪と死体の隠蔽、異常な家族の闇が絡んでいる。
加藤先生の証言が頭をよぎる。転校先に指定したはずの小学校に来ず、「母の姉の住む隣の県」へ向かったという、あの不自然な行動。
(母親の姉、つまり叔母が、遺体の処理や逃亡に手を貸している可能性があるのか?)
関西へはミサの消息を追うだけでなく、宮近母娘の最初の逃亡経路を特定し、協力者の有無を確認するためのものだ。
そして、和真。俺は、眠る和真の横顔をちらりと見た。
和真がミサから残されたであろう「もう待たないで M」のメモ。ミサは、事件の真相を知っているはずだ。
そして和真はまだ何かを隠してる気がする。
刑事としての勘だ。
和真が隠しているであろう、ミサの秘密。それは、遺体の骨に残された刺し傷らしきものに関係しているのではないか。
だが、今はすべてを無視する。和真の協力が、この膠着した捜査を動かす唯一の鍵だ。
俺は、空が微かに白み始めるのを視界の端に捉え、アクセルを踏み込んだ。




