#32:エピローグ
第1章異世界編エピローグです。
「はぁ、何か凄い疲れたな」
「本当にね。一日も経ってないなんて思わなかった」
異世界生活でそこそこの日にちが経過していたと思ったのだが、現実だと半日程度しか経っていないみたいだ。こちらの世界と異世界では時間の進みが違うのだろうか?
「何でだろ。私は短時間で行き来したことはないから、時間の進む速さが違うといわれてもしっくりこないけど……」
そう言うとライリーは考え込んでいた。ライリー自信は、滅茶苦茶転移魔法に詳しいというわけでもないので、あまりイメージが分からないらしい。まぁ、これに関しては世界の理みたいなものだから仕方ないことなのかもしれない。
「それにしてもあの……佐山君」
「どうかしましたか、新条先輩」
新条先輩が少し申し訳なさそう
「いえ、私たちお邪魔して良かったんでしょうか」
「いいんじゃないかな?皆が良いって言ってくれるし」
「暁先生の言う通り。新条先輩のことは迷惑だなんて思いませんから。むしろ、いつでも来てください」
「ふえっ!?いいんですか?」
俺がそう言うと彼女は顔を背けてしまった。
「それにしても結構、たくさんの部屋があるんですね。芹香ちゃん、ここに住まわせてもらえば?」
「ふえっ!?え、えと何言ってるんですか先生!?」
「だってここシェアハウスなんでしょ?私も住みたいぐらいだから。一人暮らしだと、火事とか滅茶苦茶大変でね。それに王子様と一緒に住みたいかなって?」
「ななな……まさか嘘ですよね先生」
「どうだろうねー」
暁先生が新条先輩に何かを言うと、新条先輩は慌てふためいていた。
「ということで、私たちもここに住んでもいいかな、渉君?」
「わ、私もですか!?ううう……恥ずかしいけど、うん。わ、私もお願いできますか?」
「え?」
「ええええええ!?」
俺は勿論暁先生たちの提案に驚いたのだが、俺以上に驚いている人物がいた。胡桃だ。
「えっと。まぁ、新規のメンバーは私が決めていいことに翔の両親からは言われてるけど。まぁ、部屋は余ってるし知らぬ中でもないので、構いませんけど」
「ほ、ホントに?ありがとう、胡桃ちゃん」
「あ、ありがとうございます」
「これで、私たちの仲間ですね」
「あ、そうですね。よろしくお願いします未来さん」
こうして俺たちのシェアハウスに新条先輩と暁先生の二人が加わった。シェアハウスではあるけど、自身の家に先生がいるのは何とも言えない気分だ。普通の学生は絶対に経験しないだろう。あ、普通の学生は異世界に行ったりなんかしないっけ。
――
翔様がまた一つ偉業を成し遂げました。翔様と一緒にいる水色の髪の少女――ライリー様の世界で、以前封印することで精一杯だった魔王を見事討伐されました。それ、以前の王城での出来事も見ていましたけど……
「はぁ、格好よかったなぁ翔様」
翔様と同じ学校に通っている新条様と暁様を助ける時もカッコよかったです。心配で天界から見ていましたけど、あの時のお顔と言ったら。きゃー、今私顔真っ赤になってるよね?
「今は二人とも私のこと忘れちゃってる見たいですけど、思い出していただきますよ?ああ、早く翔様に会いたいなぁ」
一人の天界人の少女――天恵 美亜は今日もお気に入りの翔をかなりの時間見ていたのだった。