#21:ライリーを探す騎士
21話目です。前回より大分開いてしまいました。
他シリーズの投稿や、リアルなどの影響で定期更新が難しいので、この作品は不定期投稿とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
「いるはずだ、ライリー様を探すんだ!」
突然外が騒がしくなった。ライリーが外の様子を見せてくれたのだが、外には騎士っぽい恰好の人たちがたくさんいた。
「また来たのか、あいつらは」
「ええ、あ。ライリーは気にしないでいいわよ」
「お父さん、お母さん……ううん、私がどうにかするわ」
ライリーはそう言うと俺たちの方を見た。彼女が何を言いたいのかは何となく分かった。正直ライリーの役に立てるかどうかは分からないけど、やれることはやってみよう。
「それで、ライリーさんはどうするつもりなんですか?」
「うーん……分かんない。そんなこと聞かれても私は何していいか分からないし、まぁ婚約者がいるってことだけ、伝えてくれればいいかな」
確かに王子とか貴族とかに結婚を迫られてるんだっけ。それを対策したいのならば……ってちょっと待て。
「どうして、ライリーと婚約者になってるんだ?」
「そうですよ、先輩を独り占めしないでください!」
「未来はちょっと黙ってて頂戴」
変なことを言っている未来がいたけれど、胡桃が黙らせてくれたので放っておくことにしよう。
「本当かどうかはおいておくにしてもとりあえずそう公表しておけばライリーに近寄る輩は減る」
輩ってどこでそんな言葉を覚えたのだろうか。しかし、影音のやつ何か若干にやけてる気がするんだけど気のせいなのか。
「それ、その分の嫉妬が翔に行くよね、そこまで考えて言ってるの?」
「……バレたか」
胡桃が若干棘があるように言うと、影音は目を逸らしながらそう言った。
「こらこら、喧嘩しない。そこは翔君に決めてもらえばいいんじゃない?お姉さんも協力するわよ?」
「仕方ないな、俺も協力するよ」
「カケル君……うん、いつまでも逃げてばっかりじゃ仕方ないよね。」
「それじゃあ、作戦は私に任せてください」
エマが作戦を立てた。文句のつけどころがない、完璧な作戦だと俺たちは感じた。彼女は家の外に出たので、俺たちもその後に着いていった。家の前で見つかるのはよろしくないだろうということで、一度姿を消して、村の外まで出た。これで普通に外からじゃいることで、今帰ってきたことにするのだ。村の人たちはライリーが帰ってきたことがばれてはいるものの、ばらす人はいないとライリーは断言していた。彼女はこの村の人に大事にされているようだったしな。
「ライリー様がいたぞ!」
村から少し離れたところで、『透明化』を解除して、村に向かった。村の前に近づくと、騎士の一人がライリーに気づいてそう叫んだ。すると村に居た騎士たちが、次々集まってきた。
「勇者様、お帰りなさいませ」
「ライリー様、王がお呼びです」
「そんなことどうでもいいんだけど、何で私の村に騎士たちがたくさんいるの?」
ライリーは少し声を低くして言った。ライリー相当怒っているっぽいな。村の周りに騎士を派遣して、ライリーが出てくるのを待っていたのだろう。ライリーの両親の話だと結構な頻度でこの村に来ているっぽいし、そんなことをしている王に対しても、そして逃げた自分自身に対しても怒っていると言っていた。
「ライリー様、王太子様がお待ちです。お城に来ていただきたい所存です」
「ふん、どうせまたお見合いの話でしょ。前から断ってるじゃない。それに、私にはもう大好きな人がいるの、だから帰りなさい!」
ライリーはそう言うと俺の腕に抱き着いてきた。その瞬間騎士たちが俺たちを睨むような目で見てきた。
「勇者様、貴方は高貴なお方です。そんな子供なんてふさわしくありません」
「勇者さま、さぁこちらへ」
そう言うと一人の騎士がライリーの腕を掴んだ。ライリーが腕を払う、それよりも先に俺の腕が動いた。俺のステータスは弱い、だけれども相手は少し驚いたようだ。
「そういうわけだから、さっさといなくなって!王にも伝えておきなさい」
「ですが」
「これ以上残るなら、私は貴方たちを敵とみなすよ?」
ライリーがそう言うと、騎士たちは悔しそうな表情を浮かべながら、去っていった。騎士たちが去っていたあと、肩の荷が降りたような感覚だった。
「ふぅ、緊張した」
「黙っていればいいのに、格好つけるからですよ!」
未来の言う通りだ。そうなんだけれど、何か体が勝手に動いたっていうか。ライリーの力ならどうとでも出来たはずなのに、どうして体が動いたんだろう。
「カッコよかったよ!」
「そうね、お姉さんが褒めてあげるわ」
ライリーは俺に笑顔でそう言ってくれた。この笑顔を守りたかったからとかなんだろうか。恵令奈さんは俺を後ろから抱きしめて、頭の上に手をポンポンとおいてよしよしとしてくれた。
「そういえば……ライリー、翔のこと婚約者とは言わなかったのね」
胡桃が思い出したようにそう言った。
「うん、だってそれだとみんなに悪いからね。それに私はカケル君と一緒にいられれば何でもいいからね?胡桃は翔のお嫁さんになりたいんでしょ?」
「そ、そんなわけないじゃない」
いや、胡桃に限ってそんなことはないと思うぞ。だよなと思って胡桃の方を向くと目をそらされた。
「私たち蚊帳の外」
「そうですね、マシンの設計でも考えているとします」
この話に入ること出来なかった影音とエマの2人はしばらく俺たちのことを見ているだけで、助けに来てくれることはなかった。
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