更なる決意と共に
名をキュウルーチと名乗る今度の敵は成人男性ほどのサイズで大きな黒い羽を背中に付けた戦士だった。
今までの見境無しに大暴れするような怪物ではなく、知能的にガルートたちを追い詰めていく。
ポキューンと轟音を鳴らし敵の放った閃光はガルートに直撃し、
キュウルーチは閃光を放った右腕の残心を残しながらゆっくりと手を下ろした。
「私は貴様らが足掻いたところでどうにかなるとは思わないが…」
ガルートは前に倒れこみそうになる体を自分の右足のみで踏ん張り、眼光鋭く敵に吠え返す。
「ウグッ… これは人間の可能性を否定しない為の戦いだ。」
「それでは我々の計画に賛同するといい。正に人間の可能性とやらをその目で確認する事が出来るだろう。」
「ぐっ…」
ガルートたちは劣勢に立たされていた。
悪魔の計画を食い止めようと進む彼らの命を何度も悪魔が狙ってきていたが、その度に追い返せていたものの今回の敵はそうもいかないようだ。
既に敵の攻撃を受けたシャオウラとリンリンは倒れこんだまま動かない。
「シャオウラとリンリンを連れてここから逃げろ!」
ガルートはユナムの背中を押す。
「何を言っている? もしここで離散するようなことがあったとしたら行くのは俺だ。お前の村へ帰るにはお前の道案内が必要だろ!」
「でも…」
そう言うと、ガルートは押し黙ってしまった。ユナムは敵を睨み付けたまま横顔で微笑み、
「この戦いはもうお前だけの戦いではない。 俺たちの… 力を持った者達の答え合わせだ。」
「ユナム…」
「使う矛先が正しい力は正義の力だと言う事を証明してくれ!」
ユナムが己の死を覚悟した事をガルートは感じる。
大いなる旅で手に入れた、かけがえのない相棒の最後の願いをガルートは叶えてやる決心が付かずにいた。
そんなガルートにユナムは、
「悪き者に救われた花は後悔しながら咲き続けてもいいのか? それとも枯れなくちゃいけないのか? その答えは俺もわからない。でもお前達ならきっと答えを出せる! 大切な俺の友達だ。」
そう言うとユナムはガルートを遥か後方まで吹き飛ばした。
「ユナムーーーーー。」
「じゃあな…」
そう言い残すとユナムは敵を抱え上げるように空高く飛び立った。
「ユナム… 自爆する気だな?」
そしてあがき続けるキュウルーチの攻撃を全身で受け止め、大きな爆風と共に大空に散ってしまった。
ガルートは爆風を背に受けつつ、震える両肩にシャオウラとリンリンを抱えて振り返ることなく飛び続けた。
「使う矛先の正しい力は正義の力である」と言うユナムの結論を… いやここにいる全員の結論の答え合わせに自分の生まれ育った村へ向かっていく。
内藤さんと僕は岩陰から事の全てを見守っていた。
「…」
「この作品は間違っていたのかも知れないな。こんな形でキャラクターが死ぬような作品は間違ってる。」
内藤さんはユナムの影を目で追っていた。
「でもこの作品を無かった事にするんだったら、最後まで物語を見てからにしましょうよ。それからでも決して遅くはないでしょう?」
内藤さんは力なくコクリと頷く、するとまたページが捲られていくように物語は進んでいった。




