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王立騎士団 騎士団長就任

ムロフシは今日までの慌ただしい日々を思い出していた。 


思えば長にはずっと驚かされてきた。


ある日いきなり族長になった。


最強だと思っていた己を倒した。


集落に言葉を使い完全な連携を生み出した。


金属という素晴らしい物を生み出し数多の道具を作り上げた。


巨木を長が貧弱なサチと二人で切ったときには今までの人生で最も衝撃を受けたものだ。


木と長の生み出した金属はさらに道具を増やしていく。


集落に井戸を掘り水を好きなだけ使えるようになった。


切り倒した木を使い家と防壁という護りを作った。



正に神の御業。



そもそも己にとって大木とは切るものではなかった。


枝は切れる、へし折ることもできる。


だが木から家を作るなど夢にも思わなかった。




長に様々な事をやらされていたときは己で遊んでいるだけかと思ったこともある。


その結果、集落は神からの祝福を一身に受けたかのように皆、清浄な身体で生活し、飢えとは無縁になった。


圧倒的な武器により集落周辺の獣達も、もはや己と戦士達の敵ではなくなった。


部族を守り敵を倒す。




長の在り方に神々しさを感じる。



たまに何を言っているか理解出来ないこともあるが、矮小な己に神の言葉を完全に理解出来るはずがない。


己はただ長の言葉を信じそれに従うのみ。






そして今日から我々は草の部族ではなく、ヒマワリ王国となった。


長は己に王国騎士団長の栄誉と騎士団長の槍を下賜された。


長から拝領した槍は正に神器。


艶かしい模様を浮かび上がらせ。長、自ら一晩研ぎ上げた逸品だ。


折れず曲がらず凄まじい切れ味と頑強さを誇る。


この槍を手にするために生きてきたのかもしれない。


この槍を手放すときは己が死ぬときだろうと自然に思える生涯の得物。


そして貧弱なサチには王国宰相の地位と権威が授与された。


全ては奴から始まった。


奴が長に言葉と知識を伝えたことで全て形を成してきた。


己とは違う形で長に心酔しており、己とは違う方法で長を補佐していくだろう。


長ではなくなった女王ヒマワリ。


己は女王の槍であり、女王の盾。


女王の見据える王国がどうなるかなどわからぬ。


だが素晴らしいものになることだけは約束されている。





今日から我々は神の治める国の臣民だ。



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