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弁護士先生帰宅後、さきちゃん、アルカちゃんと土日の話をする。お手当に納得。評価が嬉しい。社長達への宿題の話

結局、その日の弁護士先生は三セットほどいてくださって、いい感じのところで帰る流れになった。

変に引っ張るでもなく、でもきっちり話はできたという、ちょうどええ終わり方やった。

帰り際、弁護士先生は少し満足そうに笑っていた。

「いやあ、結構喋れて満足しましたよ。」

博子も、それには素直に頷く。

「それならよかったです。」

「またちょっと落ち着いた時に、お茶でもしてくれたら嬉しいですよ。」

「もちろんです。」

「今日みたいな話、店の中でもいいですけど、外でだらだら喋るのも面白いですしね。」

「わかります。」

先生は、最後に軽く手を振って帰っていった。

月曜日としては、だいぶいい締まり方やった。

土日の濃い流れを受けたあとに、変に力みすぎず、それでいてちゃんと次につながる話もできた。

博子としても、気持ちよく終われた感じがあった。

それが終わって、博子がフリーの卓に戻ると、アルカちゃんとさきちゃんがいて、

ちょうど手の空いたタイミングで三人揃う。顔を合わせた瞬間に、まず出る言葉はこれやった。

「土日、お疲れ様。」

「いやほんまそれ。」

「お疲れ。」

三人でちょっと笑う。

さすがに今回の流れは長かった。

でも、流れだけじゃなくて、ちゃんと結果も返ってきてる。

その手応えがあるぶん、疲れの質も悪くない。

博子が、そこで少し身を寄せるように言う。

「で、メールも送らせてもらったけどもさ。」

「うん。」

「あの金額って、まあ妥当かな?」

そう聞くと、アルカちゃんとさきちゃんは、ほとんど間を置かずに返した。

「いやいや、めっちゃ嬉しいよ。」

「うん、普通に嬉しい。」

博子は、そこで少しだけ安心する。

向こうが決めた金額をそのまま流したけど、二人がどう受け取るかはやっぱり少し気に

なっていたからや。

「ヒロコちゃんに、おんぶに抱っこやったし。」

アルカちゃんがそう言うと、博子はすぐに首を振る。

「そんなことないよ。」

「いやでも、ある程度はそうやん。」

サキちゃんも苦笑いで続ける。

「でも、前の十五よりちゃんと乗ってたのは、マジで嬉しい。ちゃんと見てもらったな

っていうのは、めっちゃ思うし。」

「それはあるな。」

「博子ちゃんが座組の解説してくれたことで、もう完璧に大阪と京都に足向けてくれてるやんか。」

「うん。」

「だから、なんか丁寧に接客したら戻ってきてくれそう、っていうのがあるのが嬉しい。

私らも、言うたら丁寧に接客できるわって安心した。」

そこはかなり本音やった。向こうが“また来る前提”になってくれると、女の子側の気持ちも変わる。

一回で取り切らなあかん、という焦りが減る。その分、ちゃんと積み上げる接客ができる。

それが今回、三人ともはっきり見えたんやと思う。

博子は、そこでまた一つ思い出したように言う。

「社長達の宿題で店提案しようって話出してたやん。小山商店っていう、

多摩の酒屋さんの話を一個振っときました。」

「おお。」

「もう振ったんや。」

「うん。とりあえず、関東側に玉投げとかんとなと思って。」

それを聞いた瞬間、アルカちゃんとさきちゃんも、ちょっと前のめりになった。

「うわ、私もなんか送っとかな。」

「わかる。」

さきちゃんが、少し考える顔になる。

「下田とか山梨の話してたやん。ああいうの、なんか一個ずつ投げといた方がええかもな。」

「そうそう。」

博子も乗る。

「下田やったら、適当な日帰り温泉と、あとなんかご飯屋さんでも送っといたら、

十分ネタになるんちゃう?」

「それでいい気がする。」

アルカちゃんも、すぐ頷く。

「で、山梨やったらなんやろ。別に、ほうとうとか、ぶどうでもええやろうし。」

さきちゃんが、そこで思い出したように言う。

「あ、シャトレーゼの工場とかあるやん。なんかあそこ、結構ツアー人気とか聞くし、

そんなんでもいいんじゃね?」

「ええやん。」

「おもろいな。」

三人で、ちょっとした遠足みたいな話になっていく。

ただ、“地方で遊ぼう”という話ではない。向こうの生活圏の少し外側にある、

行けそうで行ってないところ。そこを女の子側からちょいちょい投げる。

それだけで、会話のきっかけにもなるし、“こっちもちゃんと考えてる感”が出る。

三人とも、その感覚をもう共有し始めていた。

「なんか、とりあえず送っといて。」

博子がまとめるように言う。

「で、あれやで。被らんように足並みだけは揃えとこうや。」

「それはそうやな。」

「うん、バラバラに変な方向で振った方が幅があるし。」

そこは、三人ともすぐに納得した。

競争するにしても、ざっくり方向を揃えたうえで、それぞれの色を出す方が、

この三人のやり方には合っている。

「まあ、そんな感じやな。」

「うん。」

「とりあえず、私もなんか一本考えとくわ。」

そんな話を、フリーの卓でだらだらとしてから、三人はそれぞれまたフリーへ散っていった。

店の中はいつも通りやけど、三人の中には、土日を経たあとのちょっとした連帯感が残っている。

別に大げさなことではない。

でも、同じ座組を回して、同じ客層の熱を見て、同じように次の一手を考えている。

その感じが、前より少しだけ自然になっていた。

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