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金曜日の晩、東京メイン社長に同伴の店で京都をチョイスさせる。前日からわくわくが止まらないwww

金曜日の晩。東京メイン社長のところに、博子から一本メールが入る。

明日の流れ、どうしますかというやつやった。

文面は、いかにも博子らしい。選択肢を並べるだけやなくて、その先の導線まで

うっすら見えるようにしてある。

――明日の同伴ご飯ですけども、

一、北新地でゆっくりしたお店で食べるか。

二、西中島でご飯食べるか。

三、京都の古民家でご飯を食べるか。

四、京都のコスパのいい、日本酒がめちゃめちゃ揃ってる店でやるか。

後ろ二つであれば京都で降りてください。

私、京都でお出迎えしますので。

その文面を見て、メイン社長は思わず笑ってしまう。

ほんまによう考えてくれてるな、と。

新大阪で降りるなら、新大阪でタクシー拾ってホテルに入るか、

最寄りの店にそのまま乗り付けて、そこから荷物を置きに行く流れやろうな、

というのはなんとなく見える。北新地も西中島も、それはそれでやりやすい。

けど、後ろ二つ――京都の選択肢が、どうにも見過ごせへん。

「京都で降りるって、結構強いな……。」

社長は、スマホを見ながら小さく呟く。

なんやかんや、この前のアフターで京都が楽しかった、という印象が残っていた。

酒屋。鴨川。古民家。路地裏。

そういうものが、ただの観光ではなく、“博子が段取りした京都”として記憶に残ってる。

しかも前に、「京都の夜の店というか、日本酒の揃った店、紹介できます」と

言ってたのも、妙に頭に引っかかっていた。

「……古民家も気になるけどな。」

もちろん、雰囲気のある古民家もええ。

ゆっくり飲んで、ちょっと気取った感じで時間を使うのも悪くない。

でも、それはまたいつでもできそうな気がした。

それより、博子が“最大出力で酒を勧めてくれる店”ってどんなとこやねん、という興味の方が勝つ。

どうせ行くなら、そっちを一回見てみたい。

それが本音やった。

ただ、その瞬間、少しだけ引っかかるものもあった。

自分だけ京都で降りることになる。

他の二人とは、確実に違うコースに入る。

また抜けがけみたいで悪いな、という気持ちもなくはない。

でも今回は、前回とは違う。

ちゃんと三人で来る。

しかも、土曜の夜には二時間一緒にいて、最後の二時間は博子が解説してくれる、

というところまで話がついている。

そこまで含めて座組を組んでるなら、この京都の分岐も、博子ちゃんがちゃんと考えてるはずや。

そう思うと、そこはもう任せてええかなとも思えた。

メイン社長は、少し迷ったあとで返信を打つ。

――僕は京都で降ります。

コスパのいい、日本酒がめちゃめちゃ揃ってる方を一回見たいです。

送ってから、今度は友達二人にも連絡する。

さすがに、先に言うとかんとまたあとでうるさい。

「俺、京都で降りるから。お前ら新大阪行けよ。」

その送信のあと、案の定、すぐに返ってくる。

《お前またどういうことやねん》

《抜け駆けちゃうぞ》

《また抜け駆けか》

メイン社長は、苦笑いしながら打ち返す。

「抜けがけちゃうねん。博子ちゃんが京都の店押してるんや。夜の店を。

でも京都の夜の店は、同伴でしか行かへんからって言うてんねん。

だから、今回はちょっと、京都駅で先に降りるだけや。」

言いながら、自分でもちょっと苦しい説明やなと思う。

でも、完全な抜け駆けとも違う。

三人旅で行くのは変わらんし、夜の店ではまた合流する。

しかも、今回は前みたいに一人だけ先に刺さってるわけでもない。

ちゃんと土日で三人の温度差も埋める流れになってる。

そう考えたら、これぐらいの分岐は、むしろ自然や。

向こうの二人も、しばらくぶつぶつ言っていたが、最後はまあええけど、みたいな感じで収まった。

《今回は三人で行くからな》

《あんまり好き放題すんなよ》

《まあ、博子ちゃんが考えてるならええか》

そのへんのやり取りを見て、メイン社長も少し安心する。

ほんまに抜けがけやと思われたまま行くのは、さすがにやりにくい。

けど、今回はちゃんと三人で行く。

しかも、博子が“二時間ラフに遊ばせて、二時間解説する”っていう、かなりちゃんとした

設計まで出してきてる。

あの六本木銀座の夜を見たあとやと、その丁寧さが余計に効く。

「……明日、楽しみやな。」

スマホを置いてから、メイン社長は少しだけ顔を緩めた。

古民家でもなく、北新地でもなく、今回は京都の酒に振る。

その選択をした時点で、もう明日の流れは半分始まっている気がした。

しかもそのあとには、三人での夜、反省会、解説、日曜の動きまで続いている。

ただ遊ぶだけじゃない。

段取りの中に自分が組み込まれていく感じが、なんだか心地いい。

土曜日の座組。

また何か起こるんやろう。

でも、それを“事件”のままで終わらせずに、ちゃんと回収して次に繋げるのが博子や。

だからこそ、メイン社長は今、抜けがけを少しだけ後ろめたく思いながらも、

それ以上にワクワクしていた。

明日は京都で降りる。

その決断一つで、もう旅の温度が少し上がっていた。

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