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7月2週目土曜日の晩。税理士先生とのやり取りのあと、次の週末来る東京メイン社長3人組の座組について社長に提案する

土曜日の晩。

本当は、今日も出勤しようかなと一瞬は思っていた。予約が入れば顔だけ出すぐらいならできるし、

店に行けば行ったで何かしら回る。けど、来週のことを思ったら、ここで休まんとあかん、

という気持ちの方が勝った。東京のメイン社長たちがまた来る。その座組を考えるだけでも、

今のうちに頭と体を少し空けておかないと、雑になる気がした。

「今日は休みやな。」

そう独り言みたいに言って、博子はスマホを手に取る。

送る相手は、東京のメイン社長。

今のうちに、一回ちゃんと球を投げておきたい。来週の三人来阪はありがたい。

でも、そのまま勢いだけで受けると、また温度差の問題が出る。そこを今回は、最初から

設計として組み込んでおきたかった。

博子は、少し文面を考えてから、ゆっくり打ち始めた。

――来週来ていただけるのは、本当にありがとうございます。

女の子たちにも一応、了解は取ってます。

ここまでは、まず地ならしや。

来てくれること自体はありがたい。そこはちゃんと伝える。

でも、その次からが本題や。

――ただ、私としては、お三方来ていただくにあたって、社長と他のお二人の温度差っていうのを、

すごく気にしています。

この一文を入れると、ただの“また遊びましょう”ではなくなる。

社長自身も、その差は感じているはずや。自分だけ刺さり方が違う。そこを曖昧にしたまま

三人で回すと、またどこかでズレる。だから、今回はそれを埋めるための座組を最初から提案する。

――なので、ちょっと座組を考えます。

一日目は、同伴半分、別々でします。

それぞれでまず遊んでいただいて、反省会をするにあたって、最初の二セットはラフに各女の子達

で回してもらう。最後の二セットを、私が“なんで今、社長が私に刺さってるか”を解説する

二時間にしようと思ってます。

博子は、一回手を止めた。

言葉にすると、やっぱり変や。でも、このぐらいはっきり言わんと伝わらへん。

しかも、これはふざけた提案やなくて、かなり本気の調整案やった。

――もちろん、質疑応答も全部受けます。

ただ、他のお二人に、今の社長と私がなんで刺さってるのか、鉄板コースの解説とか、どこに価値が

あるのか、そういうところも含めて全部種明かしするわけですから、そこのところは

コンサルティングとして、別で包んでもらいたいです。

ここは、言い方を少し柔らかくしてもいいかなと思ったけど、結局そのまま書いた。

どうせこの社長には、このぐらいストレートな方が伝わる。

――一卓十万とかで飲んだはるんやったら、お二人それぞれ二十万。

もちろん、社長は別に包んでいただかなくていいです。

そこで調整というか、調子を合わせられたらなと思ってます。

博子は、自分でもこの一文を打ちながら少しだけ笑った。

メイン社長は、もう一回刺さってる。だからここで無理に同じ土俵に乗せる必要はない。

むしろ、他の二人に“なんでメインだけこうなるのか”を理解してもらうための費用、

として切り分ける方が筋や。その発想自体が、もうだいぶ仕事じみてるなと思うけど、今はそれでいい。

さらに、次の日の動きもはっきり見せておく。

――目的は、社長の刺さり具合と、他のお二人のまだ感覚が大きくずれているので、

そこのところを底上げすることです。それと同時に、他の女の子二人の、言うたら鉄板コース、

最後回したじゃないですか。三セット目に。鉄板コースの種明かしもしているので、

意図は伝わってると思うから、次の日曜日にそれをまた確認していただいて、最終的にお手当の

評価をしていただけたらな、という流れで考えております。

ここまで打つと、ほとんど企画書や。

でも、ただの遊びやなくて、実際に“評価の仕組み”まで含めて提案している。

だから、これぐらいの構造は見せておいた方がええ。

最後は、相手に考える時間を残すように締める。

――お休みの日やと思うので、また日曜日の晩とか、それ以降でも大丈夫です。

実際に来られるまでに、ある程度握っていただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

打ち終わって、博子は文面を一回読み返した。

かなり踏み込んでる。でも、これぐらい踏み込まんと、次の一回は“楽しかったですね、

また来ました”で終わる。

今回は、それじゃあかん。

メイン社長だけが先に見えてる状態を、他の二人と共有して、チームとして底上げして、

女の子側もちゃんと評価してもらう。

その流れを作るのが、今の一番大事な仕事やった。

送信。

スマホを置いてから、博子は少しだけ伸びをした。

今日は休み。

でも、休みの日にこういう文面を打ってる時点で、完全には休めてない。

それでも、今日は出勤せずに済んだぶん、頭はまだ回る。

来週に備えるための休みやと思えば、これもまあ悪くない。

「……あとは返事待ちやな。」

そう呟いて、博子はベッドに倒れ込んだ。

来週の座組は、まだ決まってへん。

でも、もう流れは作り始めてる。

その感覚だけ確認して、土曜日の夜はゆっくり更けていった。

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