10 薬術師イリスの店
ドアをくぐり抜けると頭上にて、カランカランと音が鳴っていた。ここは店の正面入口のドアのようだ。
「いらっしゃいませー。」
目の前のカウンターに立っている西洋系の美女が声をかけてきていた。ここが薬術師イリスの店ということは、目の前の美女がイリスさんかな。
「すみません、才能開花サービスの石原さんに紹介されて来ました神木といいます。イリスさんで宜しかったですか?」
「あー、アヤから連絡を受けているわ。君が異世界人のリョーマね。そうよ、私がイリス。歓迎するわ。こっちに来て。」
アヤっていうのは石原さんの名前だろうな。おれが来ることがしっかりと伝わっていたようだ。ここでは地球人は異世界人って呼ばれるんだな。確かに異世界の人だな。しっくりくる呼び方だね。
おれはカウンターに近づいて改めて挨拶をした。
「イリスさん。お世話になります。どうぞよろしくお願いします。」
「あら、礼儀正しいのね。よろしくね。私のことはイリスって呼び捨てでいいわ。あなたのこともリョーマって呼び捨てにするけどいいわよね?あと敬語も要らないわよ。」
「そうですか。はい。では呼び捨てにしますね。敬語はちょっと癖になっちゃっててどうしても出ることがあるんですけど、崩す感じで楽に喋るんで、徐々にって事にしてください。」
「あら、そうなの。まあ、あなたが話しやすい話し方でいいわよ。とりあえず店を案内しようかしら。」
「お願いします。」
「まずはここからね。ここはカウンターでお客の相手をする場所よ。お客から欲しい商品を聞いて、カウンターの下から商品を取り出して渡してお金を受け取る場所ね。こっちに来て。」
おれはカウンターの横からカウンターの中に入った。カウンターの下には業務用の冷蔵庫のような物があって、様々な色の液体の入った瓶が並べられていた。
「ほら、カウンターの下に魔道具が有るでしょ。この瓶に入っているのがポーションよ。鮮度維持の為にこの魔道具で保存しているの。他にも軟膏とか丸薬もこの魔道具に入っているわ。次は奥ね。」
イリスはカウンターの後ろのドアを開けて奥に入った。
「ここは作業部屋よ。ここで薬を作るの。ここには、薬の材料と空き瓶とかの容器、魔力原石なんかを置いてあって、作業は中央のテーブルでやってるわね。」
部屋に入ると、中央に長方形の黒いテーブルがあった。テーブルの側には丸椅子が有る。そして、壁には大きな棚が並んでいる。棚の中には石、植物、何かの動物の角や身体の一部、器具、本等が収納されているようだ。うん。ここは実験室って感じだな。
「それで、あなたには主にここでポーションを作る手伝いをしてもらうわ。才能の欠片は有るけどこれまでポーションを作ったことは無いってことだったけど、そうよね?」
「はい。無いですね。作り方も知りません。すみませんが1から教えて貰うことになりますね。」
「そうねー。魔力操作とポーション作成の才能の欠片を持っているんだから少し練習したらスキルを獲得出来るわ。そしたら初級ならすぐに作れるようになるから安心していいわよ。お客が来るにはまだ時間が有るから、今から練習しましょうか。」
「よろしくお願いします。」
多分才能の欠片を成長させることが出来たらスキルを獲得したってことになるんだな。よーし、せっかくここまで来たんだ。しっかりとスキルを獲得するぞっ。
読んでいただきまして有難うございます。
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m




