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僕らだけが知る物語  作者: いち
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第一話 『夜の出会い』

横浜――。

昼間は人で溢れる街。


けれど、深夜になると別の顔を見せる。


静かな道路。

消えかけた街灯。

遠くから聞こえる波の音。


山下公園の海沿いを、一人の少年が歩いていた。


ライ「綺麗だね、、、」

薄暗い海を眺めながら、ライは小さく呟く。


帰る場所はある。


……はずだった。


でも、そこに待っている人はいない。


ライ「、、大丈夫、、大丈夫、、」

自分に言い聞かせるように呟き、ベンチへ座る。


その時――。


足音が聞こえた。


ライが顔を上げる。


そこには、一人の少女がいた。


那衣だった。


那衣は海を見つめたまま、ライの存在に気づく。


那衣「.....あんた誰?」


ライ「...え、、?」


那衣「だから誰?」


ライ「...ライ...」


那衣「そ...」

少しだけ睨む。


ライは不思議そうに那衣の顔を見た。

ライ「...君は..?」


那衣「何で教えないといけねぇの」


ライ「...えっ、、だって、、知りたい、から、、」


那衣「キモ」


ライ「えぇ..ヒドい、、、」

ライは涙目になって肩をすくめた。


その時。


別の声が聞こえる。


暗兎「誰だよ こんな遅い時間に外出てるやつ」


二人が振り返る。


そこには、大きな体の少年が立っていた。


暗兎。

同じ学校にいる有名な問題児。

 

那衣「兎も人のこと言えないだろ」


暗兎「うっせぇチビ」

 

那衣「兎がでかいだけでチビじゃないし」


暗兎「チビじゃん」


那衣「はぁぁぁぁぁぁ?」


暗兎「夜中に叫ぶんじゃねぇよ 警察来んだろ」


那衣「叫んでねぇし お前の声がでかいだけだろ 兎のくせして」


暗兎「でかい兎だからな」


那衣「兎はピョンピョンはねとけ」


暗兎「お前がピョンピョンしとけよ。ちっちゃいんだからよ。」


那衣「だからちっちゃくないし」


ライ「...ね、、けんか、やめようよ、、、」


暗兎「だってよ。チビ」


那衣「喧嘩してないし 元はといえば兎からだろ」


暗兎「はいはい。」


ライ「...」


暗兎「...おい、てかこいつ誰だよ」


那衣「しらね なんかライ?だっけお前の名前」


ライ「うん、、、」


暗兎「へー。」


3人の間に、少しだけ沈黙が流れる。


普通なら、ここで終わる関係だった。


学校では話したこともない。


ただ顔を知っているだけ。


でも――。


ライ「..みんな、、名前、なんていうの?」


暗兎「暗兎」


那衣「..うち那衣。」


ライ「..よろしくね」

ライは少しだけ笑ってみせる。


那衣「仲良くする気はないから」


暗兎「なんでよろしくするん?」


ライ「....え...」


沈黙ーーーー


暗兎「お前らいつ帰んだよ」


那衣「帰らん。」


ライ「...」


答えはなかった。


でも暗兎には分かった。


自分と同じ顔をしていたから。


「帰れない」のではなく。


「帰りたくない」のだと。


暗兎「あっそ。」


那衣「.....」


暗兎「行く宛あんのかよ」


ライ「...わかんない、、」


暗兎「...まじかよ」


那衣「同じじゃん...」


那衣「まぁ着いてきたら 帰る家ないんだろ」


少しだけ。


ほんの少しだけ。


3人の間に空気が柔らかくなる。


その夜。


名前しか知らなかった3人は、初めて言葉を交わした。


傷ついた過去も。


隠している苦しみも。


まだ何も知らない。


ただ――


同じ海を見ていた。


この出会いが、後に3人の人生を変えることになる。


これは、誰にも知られない。


僕らだけが知る物語。


3人で共同作成しています!

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