9 居候気分
「母上、リールを購入したいのですが?」
「リールとは何?」
「魚を捕る道具です。」
「すまない、私が借りていたのだが生産する為に分解したら壊してしまって。」
父上が助言してくれた。
「何ポイントなの?」
「1000ポイントです。」
「いいでしょう。この場で購入しなさい。」
やったあっ!
俺はその場でタブレットを出してベイトリールを購入した。ちゃんとナイロンラインも巻いてある。
「テレサ、申し訳ないのだが釣り道具を生産した場合、釣り糸をレイリーのスキルで購入して欲しい。」
「釣り糸?」
「この透明な糸です。」
そう言って俺はリールに巻いてある糸を見せた。
「どうしても作ることは出来なくてね。」
「仕方ありませんね。」
こうして俺のスキルは母上に管理される事となった、げせぬ。
今日も今日とて母上は俺の部屋で寛いでいる。
「母上、今日も僕の部屋で寝られるのですか?」
「レイリー、この部屋にあるクッションを全て私の部屋に移すのとどちらがいいかしら?」
「どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。」
俺はあっさりと白旗を上げた。
「ところでレイリー、このよく購入している黒いお菓子なのだけど。」
ぎくっ・・・。
「当然、一人で食べているわけではないわよね。」
「申し訳ありません。お嬢様、私たちも頂いておりました。」
「そうでしょうね。よく途中で交代しているから何かと思っていたわ。」
「今からお出ししましょうか?」
ここはゴマを擦っておくところやっ。
「明日でいいわ。」
翌日、父上、母上の3人でチョコレートを実食することになった。
「これは不味いな。」
ふむ、父上には甘すぎたかな?
「口に合いませんでしたか?」
「いやそういう意味じゃないよ。戦争が起きかねないくらいの美味しさだよ。」
「いやだなあ、父上。大げさですよ。」
「あなたたちはどう思ったの?」
母上がベルとリサに聞いた。
「神の食べ物かと。」
「言いえて妙ね。」
「テレサ、お茶会を開くにしてもこれは出さない方がいいのでは?」
「お茶会と言っても友人3人とお母様だけよ。あの3人も伯爵派閥だから問題はないわ。」
「そうか。お義母様にはレイリーの顔見せもしてなかったな。」
「ええ、いい機会だわ。」
「大討伐しだいになるが。」
「父上、大討伐とは何でしょう?」
「この時期になるとワームや土竜等の魔物が湧くんだよ。それを討伐しないと農業が大打撃を受けるからね。」
「どりゅうって竜の仲間ですか?」
「いやモグラの魔物だよ。」
ようはミミズとモグラの魔物か。
「素材価値も少なくて何より大きいから、毎年処分に困っていたんだが。」
そんな希望の眼差しで見られても・・・。
まあ喜んでポイント交換しますけどね。
自室に戻る。
前までならソファーに座りルアースタンドを眺めるのだが。5台あるルアースタンドは今や隅の方に追いやられている。
何も言わず母上が手を差し出すのでタブレットを渡す。最早阿吽の呼吸だ。
「レイリー。あのおもちゃを飾っているスタンドは何という物なの?」
「ルアースタンドです。」
「履歴の物と形が違うわ。」
「・・・元はケーキスタンドです。詳細を見てもらえれば。」
「この小さな四角いボタンね。」
母上が詳細ボタンを押すとケーキ飾られたケーキスタンドが表示される。
「このケーキ類は、購入できないのよね。」
「はい。ただまあ小さいチョコレートケーキなら購入できますよ。」
「チョコレートケーキ・・・。危険な名前ね。」
「そうですね。天上の食べ物です。
昔は4個入り300円で売っていたのに、チョコが値上がりして100円ショップからは姿を消したのだが、俺のスキルにはチョコの高騰は一切関係ないようだ。
「候補には入れておきましょう。」
そう言って母上はA4ノートにボールペンで書き込んでいった。
A5ノートは小さいと言われたので、A4ノートを購入して渡していた。
お茶会に向けて着々とノートに色々書き込んでいるのを見ると不安になってくる。
ポイント大丈夫なの?




