表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/106

6-2(84) 侵入

 カフディコロニーのロビー。そこから路地へ2、3本入ったところを歩いている。いくら治安のマシなコロニーの、来るもの拒まずのロビー区画内とはいえ、こんな端は余所者が来るべき場所ではない。ちょっと危険すぎる。

 単純な物理トラップから、爆発物・漏電すらも利用した高度なトラップまで、隙あれば身ぐるみ剥がそうと待ち構えている。僕はそれらを避け、あるいは先に起動させながら進んで行く。

 ちなみにどのトラップも、死体が残らないor死なないように作られている。人死には行政が本腰を入れて動き始めるからだ。死体が残らなければ、「そんな人間は居なかった」が出来るので、ごくごく稀にそういったトラップも存在するが。


 ロビー区画の端の端、工業区との区切りの壁の前までやってきた。どこまでも続いているように見える(実際どこまでも続いているが)壁の、見るからに頑丈そうな扉の前に立ち、そのちょうど反対にある廃墟に入る。

 そこは半壊した工場のような建物。錆びたコンテナにちぎれた金属パイプ。そしてそれらの残骸のようなものが転がっていた。


 足を踏み出すたびに、砂利道を歩いているような音がする。腐食でもろくなったパイプが、踏まれてあっけなく砕ける。下水管への入り口を塞いでいる鍵付きマンホールは、錆で開けることすら難しそうだ。

 そんな建物の、とある部屋の扉の前に僕は立った。ちなみに横の壁は崩れているので、扉の存在意義は無い。その扉のドアノブの鍵を、開方向へ回す。見た目に反し、鍵はすんなり回った。

 その後僕は下水管のマンホール前に立つ。しゃがんで少し表面を撫でると、ほんの少しのモーター音と共にマンホールがスライドした。すぐに体を滑り込ませる。マンホールは数秒で閉じるからだ。

 下水に水は流れていない。その中を歩いて、出口を目指す。そして出た先は、工業区であった。



 いちおう公式的には、工業区に余所者が入る事は禁止されていない。しかしいくつかある入り口では厳戒な身元確認がされ、歩いているだけでスパイと疑われ、しまいにはあちこちから、それこそ宇宙に出た後も監視がつくという。いくらか噂に尾ひれ背びれが付いているかも知れないが、ともかく雰囲気としては、全力で余所者を拒んでいる。


 下水を通って僕が出たのは、カフディコロニーの工業区でも最も栄え、そして最も廃れた場所。鉱石精錬地区。カフディが小惑星採掘をしていた頃の、数少ない名残である。

読んでいただきありがとうございます。

誤字報告も感謝です。


2025/05/20 投稿

2025/05/20 タイトル通し番号修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ