1-15(15)解体作業
【なんかヤバいのがいると思えばお前か】
「酷い言い方だな」
カフディに戻ってきた。いつものように誘導待ちだ。大きな荷物を持っているから、かなり時間がかかるだろう。
【しっかし今回みたいな大荷物お前以外が持ってんの見たことないぞ?まさかマッチポンプとか…】
「んなことしねーよ。事故りそうな所に張ってたら引っかかるだけだ」
【警告してやれよ。この先危険!って】
「いいとこ宙賊の誘導だと思われるだけさ。張る位置も勘だし。誰がそんな警告を聞く?」
【なんかヤバそうだから進路変更してください、じゃ確かに誰も聞かないな】
根拠が勘だと、どこもまともに取り合ってくれない。まぁ僕も取り合わないだろうが。
そうこう雑談しているうちに修理ドックが空いた。
「いつも悪いね。こいつのリサイクルには気密ドックに入れるしかないんでね」
【構わねーよ。下手なやつに動かされて事故られても困る】
誘導等に従って、いつでも止まれる低速で移動する。その分出港航路を塞ぐのは、最初のうちはプレッシャーだったけれどもう慣れた。焦って事故る方が迷惑だし。
ドックにカゴを入れ、雪風も続いて入港する。修理用ドックは、作業スペースも取られていて、装甲輸送艦と駆逐艦程度の艦なら同じスペースに入れるのだ。
ハッチが閉じる。外に出る前に、外部圧力と重力を測定する。問題なし。雪風の外に出る。
装甲輸送艦は、椅子の向きを基準に右側を下にして、横転したように置いてある。切った貼ったした時に一番安定しそうな面が、そこになるように考えていたから、これは思い通り。
ドック番号を確認し、その辺の壁に埋め込まれたディスプレイで、アーリウカ社の解体ボットを呼び出す。高価格モデルで優秀。物理的切断、爆発物の処理、優秀なAIを積んでいるから、今みたいにパーツごとに分けてバラしてくれたりも出来る。
値段が値段なので使うつもりは無かったんだけど、サルベージ始めて少し経った時、いつものように残骸を売ろうとしたらなんか支店に呼ばれて、偉い人っぽいのと話すことになった。要約すると、残骸は全部ウチが買取りたい。値段もサービスするし機械もいいやつ貸してあげるから考えてくれないか、とのこと。特に不利な話じゃ無かったから、細かい所確認して、契約を交わしている。
ちなみに今使っている解体ボットは、次の商品のための試作機らしい。バグの可能性とかも説明されてるからあまり気にしていないけれど。
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2024/01/17 投稿




