7-9(107) パートナー
しかし、こうもベーグルさんの飲み込みがいいなら、自分の艦を手に入れた時にAIを紐づけたんじゃ遅い気もする。AIも早めに慣れさせるべきかもしれない。
「では、ベーグルさんのパートナーも探すとしましょうか」
「パートナー?」
「えぇ。見方によっては艦より重要です。何せ、長い付き合いになるでしょうからね」
きょとんと首を傾げるベーグルさん。まぁ僕の艦にAIは居ないから分からないかもしれないけれど、普通のほぼ全ての艦に載っているから、これは雪風が異常なだけである。
「えぇっ!そっ、そんなまだ私は…」
「遠慮しないでください。ベーグルさんが艦を手に入れるまでは、雪風に載せてあげてもいいですし。それに長く一緒にいた方が、互いの癖とか覚えてあとあと上手くいきますよ」
実際に、普通の教習プログラムでも、シミュレータを動かし始めたら自分だけのAIが支給される。スペックとかは低いものだけれど、生徒と共に過ごし、また教習段階に合わせて強化され、教習所を卒業する頃には唯一無二の相棒となる…らしい。教習行ったことないから知らんけど。
「そうほいほい取っ替え引っ替えするわけにもいかないので、こればかりはしっかり選んでおいた方がいいのです」
「とっ、取っ替え引っ替え!?私そんなことしません!」
「うーん、人間何があるかわかりませんしね…いざ2人になってみたら合わなかったとか、よくある話ですし?だったらまだお試し期間中に別れる方がマシなので…」
この辺は、カフディの入港管制官や、救援に行った艦の乗組員から聞いた話である。実際AIとの不仲だとか意思疎通失敗が発端のトラブルや事故は、稀にとはいえ存在する。
「意見具申はともかく、ナメられたり反抗されないようにするには、ある程度圧掛けるのもありです。というわけでベーグルさんにはとりあえず相手を選んでもらい、それを少しの間、この艦に載せておこうかと」
「艦長さんは私の親か何かですか!」
「暫定保護者ですが…」
「…確かにそうとも言えますが!なんで艦長さんに言われて婚約なんてしなきゃいけないんですか!私は艦長さんがいいのに…」
「えっ婚約?」
爆発したように捲し立てるベーグルさんが、何か変なことを口走っている。というかなぜ婚約なんていう話に…いやこれは僕の伝え方が悪いやつか。
「あのー、ベーグルさん?」
「なんですか、ふん」
微妙に拗ねた様子のベーグルさんに声をかける。
「これ、AIシステムの話です。なんか勘違いさせてしまったようでごめんなさい」
「は…AI?」
「えぇ、航行のサポートとかするAIの話です」
えーあいAIと、ベーグルさんが何回か反復している。よほどショックだったらしい。
お久しぶりです。
読んでいただきありがとうございます。
誤字報告も感謝です。
2026/03/15 執筆完了
2026/03/15 投稿




