7-8(106) 多機能化
「むぅ〜…」
「あの、微妙に居心地悪いんですが」
「だって、あんまりじゃないですか!なんですかあの値段!だったら姉さんのお古でも使った方がマシですよ!」
「じゃあそれ使えばいいのでは?」
「絶っ対に嫌です」
あの後もいろいろ弄って、ベーグルさんは理想の艦を設計し上げた。なかなかに汎用性の高そうな物が完成した代わりに、見積価格がえげつない事になったが。そして今に至る。
「そもそもあれだけの機能を盛り込むのが間違っているのですよ。流石に1人で全部動かすのはきつかったでしょう?」
「だって艦長さんがいろいろ言うから…それに全部を同時に動かすことなんて、そんなに多いんですか?」
口出しちゃったのはごめんて。横で見てるとつい言いたくなっちゃうから。次があれば自重しよう。
さて、コントロールの多様化についてだが、ぶっちゃけ複数を同時に動かすようなことはほぼない。そもそも手動で行うことが戦闘管制とドッキング、採掘管制やルート決定など、同時に行うようなことは少ない。
では多機能化のなにが問題かと言うと、それぞれのコツ・勘を覚えないといけないことだ。動作自体はAIの支援があるとはいえ、いま手をつけるか、どの順番でつけるか、等々は我々人間が判断するほかない。実際に雪風でのサルベージをとっても、優先すべき回収目標や効率の良い移動など、さまざまな「コツ」が存在する。そしてそれは戦闘でも、運送運輸でも、採掘でも護衛でも、どんな作業にも多かれ少なかれ存在する。
「なんでも『できる』艦と、それを『うまく動かす』のは別の話、ということです。あんまり多機能化しても、使いこなせないというのが現実なんです」
「むぅ…でも出来ないより出来る方がいいじゃないですか」
「そう思うのもわかりますが、それで値段が跳ね上がってしまうのは…何事もバランスですよ」
それに故障とか、補給整備も面倒になる。どっかのエラーが他の装備にまで影響を及ぼすかもしれないし、あと単純にコンソールが多くて訳わかんなくなりそう、ってのもある。
「それに、宇宙に慣れた後に買い替えたり追加改造したっていいじゃないですか」
「それもそう…じゃあなんで艦長さんは、あんな組み立てさせたんですか?」
「宇宙の可能性は無限大だってのを伝えたかったんです」
できることが多すぎて、あれもこれもしようとするなっていう警告も少しある。金さえあればなんだって出来てしまうのも考え物かもしれない。
あけおめです。
読んでいただきありがとうございます。
誤字報告も感謝です。
2026/01/06 執筆完了
2026/01/06 投稿




