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世界遺産 100万年前のイースター 16 ## 第四章:決戦の書### 第16話:冬至の夜、星の配置(アストライア)

こんにちは、みなさんのおかげで先日1500pvを超えることができました。

とっても嬉しいです。

これからもよろしくおねがいします


## 第一章:至点してんの天球図と、直列する星辰


ついに、運命の歯車が最後の噛み合わせを迎えるときが訪れた。イースターの全空間を満たす魔術的応力は、限界まで引き絞られた鋼鉄の弦が今にも弾け飛ばんとするが如き、極限の緊密さを帯びていた。


私の名はレオナルド・ダ・ヴィンチ。かつてフィレンツェのうららかな夜に、天体望遠鏡の幾何学的なレンズを覗き込み、黄道十二宮を巡る星々が描き出す天球の軌道オービットに、神の筆跡たる完璧な調和を見ていた天文学者だ。


だが、三十歳という肉体と知性の最盛期を授かり、この百万年前の並行世界「イースター」に転生した私は今、その探偵としての冷徹なる眼と科学者の魂のすべてを漲らせ、両大陸の境界に聳え立つ「大懸橋(大ポンテ)」の西岸、小さきものたちのサイズへと空間を反転・縮小させて、設営を完了した『理性の調律器シンフォニア・ディ・ラジョーネ』の最上階テラスに立っていた

「レオナルド様、空を見てください……! 星々が、天の創造主の遺したすべての天体が、本当に一本の恐ろしい光の直線の如く整列していきます。大気から魔力が噴き出して、肌がびりびりと引き裂かれそうです……!」


私の縮小した衣服の襟元から、凍てつく冬至の夜風に羽を細かく震わせた妖精族の少女チッタが顔を出し、全天の頂点を指差して小さな声を震わせた。

彼女の手には、これまでの戦いで風、水、鉄、法、大地、繊維、指向性、そして戦火の精霊神たちの高潔なるコードを宿してきたあの聖なる竪琴が、天平の危機を感知して、パチパチと青白い放電の火花を散らしながら、今にも千切れそうな高音の唸りを上げていた。


「星の直列グレート・コンジャンクションとは、天球の力学における『最大のモーメント(力の集中)』なのだよ、チッタ。すべての天体の引力が一本のベクトルへと収束するとき、世界の時空構造グリッドの強度は最小となり、因果の膜はもっとも薄くなる。だが、どれほど天空の圧力が世界を押し潰そうとも、私たちの知性が組み上げたこの塔の方程式だけは、決して揺らぐことはないさ」


私は手帖を開き、天の頂点で完璧な一直線を形成しつつある星座の座標データを、冷徹に鉛筆で記録していった。


そこに現れていたのは、私の記憶にある地球の夜空を遥かに超越した、冷酷なる「天の審判」そのものであった。

北極星を中心に、すべての恒星と惑星が、一本の巨大な光の針の如く天空を貫いている。そして、その直列の中心核から、大気そのものを凍らせるほどの、透き通るような白銀の「星辰の光線」が、地上へと向けて垂直に降り注いでいた。


それは、宇宙の運行と星々の正当なる配列を司る、もっとも高位の存在――「星辰の精霊神・アストライア」の顕現であった。天空の最深部に浮かび上がった、巨大な白銀の天秤を両手に掲げた女神の貌は、一切の感情を排した冷徹な工学的知性を以て、この百万年前のイースターの終焉パラメータのリセットを静かに見守っていた。


「おいおい、ダ・ヴィンチの旦那。天空の親分が、上から冷たい視線を浴びせてきやがるぜ。このままじゃ、あのムルムルのデカブツどもが橋の中央に達した瞬間、世界全体の魔力が一気に暴発して、時空の特異点へとおっこちまうな」


私のサイズに合わせて小さく研ぎ澄まされた愛剣クラレントが、塔のメイン制御コアと直結リンクしながらも、鞘の中でカタカタと緊張の金属音を私の脳内に響かせた。


「ああ。ムルムル将軍は、この星の配置がもたらす『魔力の臨界点』を、世界を破滅させるための最大の弾道ブースターとして利用するつもりだ。第十六の戒律……いや、創造主がもっとも厳格に定めた『星々の調和を、不当な戦いの質量に変えぬこと』。

この天の法が踏みにじられようとしている今、私たちはその星の光の直進性を、彼ら自身の傲慢さを打ち砕く『理性の檻』へと変換せねばならない」


私は背負っていた音響増幅器の集音プレートを、大懸橋の東岸から地響きを立てて侵入してくる、最後の巨人の軍勢へと向けた。


## 第二章:歪められた武器の慟哭と、大懸橋の進軍


ズズズズズ、地鳴りのような足音が、長さ数キロメートルにおよぶ大懸橋の石畳を激しく揺るがした。


東の大陸「ギガンティア」の側に設置された巨大な鉄門を粉砕し、ついに大懸橋の上へと姿を現したのは、ギガ・ムルムル将軍率いる、過激派「ゴリアテの鉄槌」の、最後の生き残りたる数千人の巨人の本隊であった。

彼らはこれまでの私の防衛戦によって大軍勢の洗脳を解かれ、兵力の大部分を失っていたが、その瞳には、退路を断たれた絶望と、小さきものへの凄まじい「独裁の執念」の炎が狂気のごとく燃え上がっていた。


彼らの引き連れる巨大な鋼鉄の台車の上には、数万の精霊の魂を吸い込んで完成した、あの禍々しい黒金色の『大いなる楔』の本体が、星々の光に呼応して、ドロドロとした紫黒色の雷光を周囲へと撒き散らしながら鎮座していた。


だが、何よりも私の科学者の目を激しく怒らせたのは、ムルムル将軍とその側近たちが手にしている大剣や甲冑の姿であった。


それらの武器は、かつて西の大陸の職人たちが作り上げた名もなき道具たちであったが、ムルムルの禁忌の魔術によってその物理的な肉体を無理やり「巨人のサイズ」へと引き伸ばされ、その内部の分子構造は限界を超えて張り裂け、赤黒い血のような魔力を絶え間なく零していたのだ。


「痛い……引き裂かれる……!」


「我が主の元へ……西の工房へ帰してくれ……!」


集音器のイヤホンを通じて、私の脳内に、武器に閉じ込められた数千の「器物の精霊神」たちの、魂を掻きむしるような悲痛な慟哭が、不協和音となって叩き込まれた。

ムルムル将軍は、私たちがマーズの戦いで兵士たちの洗脳を解いたことを知ると、今度は生きている巨人ではなく、彼らが手にする「道具そのもの」に強烈な呪いの結合定数アンチ・ロジックを流し込み、彼らの魂を盾として、私たちの『理性の調律器』へと向かって突進させてきたのである。


「ハハハ! 見たか、異邦の虫ケラ、レオナルド・ダ・ヴィンチよ!」


大懸橋の主塔の真下、正確な座標へと到達したムルムル将軍が、大剣を天に掲げて地鳴りのような声で笑った。


「お前がどれほど小細工を弄そうとも、天空の星々は今、我が『大いなる楔』の真上に一直線に並んだ! この楔を橋の主軸キーストーンに突き立て、十の戒律を物理的にすべて切断したその瞬間、西の大陸は魔術的支えを失って地獄の底へと沈む! 大いなる腕力こそが、この世界の唯一の法だ!」


数千人の巨人たちが一斉に、引き裂かれゆく精霊の武器を構え、その傲慢な精神の波動が、目に見える紫色の電弧となって大懸橋のワイヤーを激しく焦がした。


天空のアストライアの貌が、その不調和の質量を感知し、冷徹なる白銀の瞳から、世界を一瞬で質量ゼロの虚無へと還すための「特異点起動の光線」を、大懸橋の中央へと向けて放とうとした。その瞬間、世界の端々から、空間がパラパラとガラスの如く崩落していく不吉な音が響き渡った。


「レオナルド様! 世界が……世界がバラバラになっちゃいます!」


チッタが私の髪の毛の中に飛び込んで叫んだ。


「させないよ、ムルムル将軍。そして天空の審判者アストライアよ」


私は小さきもののサイズのまま、塔の最上階の制御盤の前に立ち、眼鏡のブリッジを指で静かに押し上げた。


「君の放つ星々の光線は、完璧な直線だ。ならば、その直線が私たちの『理性の調律器』を流れる時、それは世界を壊す刃ではなく、君たち自身の傲慢さを調律するための、最高の『時計のゼンマイ(動力)』となるのさ!」


## 第三章:理性の調律器、星辰の直列リンク


私は、これまでの数ヶ月のすべての探偵調査と、科学的思考の結晶である、最後の起動レバーを力強く引き下げた。


ガシャーーーン!


高さ五十メートルの真鍮の塔の内部で、数万の巨大な歯車が、一斉に、そして完璧なシンメトリー(左右対称)の幾何学軌道を描いて、大音響を立てて回転を始めた。


その瞬間、天空のアストライアから放たれた、世界を特異点へとクラッシュさせるための白銀の「星辰の光線」が、塔の最上部に設置された『光の精霊神・アポロン』の巨大反射レンズ網へと直撃した。


ドォォォォン!という、


全天がひっくり返るような光学的な爆音。


だが、何ということだろう。世界を一瞬で蒸発させるはずのその超高密度の星の光は、第十一話で糸の精霊神アラクネが織り上げた、白銀の防護布『調和の聖衣』のハニカム構造に触れた瞬間、その面の張力によって、一瞬にして塔の内部の「すべての歯車を回転させるための物理的トルク」へと、百分之百完全に力学的に変換インプットされていったのだ。


チクタク、チクタク、チクタク、カチャチャチャチャ!


星々の直列エネルギー(全宇宙の引力)を動力源として得たことで、私たちの『理性の調律器』は、これまでにない、大宇宙の運行そのものと同調した「絶対的な平準化速度マスター・クロック」へと達した。

塔全体の真鍮の装甲から、眩烈な純白の光のリセット・ウェーブが、大懸橋の上へと向けて、怒涛の如く幾重にも放射されていった。


その音波(波動)が、大懸橋の中央で大剣を振り上げていたムルムル将軍の軍勢、そして彼らが手にしていた、無理やり引き伸ばされていた数千の武器たちへと直撃した。


キィィィン……という、世界の軸が元に戻ったかのような美しい高音が響き渡り、大気を満たしていた紫黒色の呪いの電弧は、一瞬にしてすべて相殺マスキングされて消え去った。


すると、次の瞬間、巨人の兵士たちの手の中で、驚くべき「物理的奇跡」が巻き起こった。


ムルムル将軍によって無理やり巨大化させられ、苦痛に喘いでいた数千の武器や甲冑たちが、調律器の放つ『職人の魂の旋律』に触れた瞬間、自らの分子構造の過荷重ストレスを一瞬で解放され、巨人の手を離れて、一斉に空へと舞い上がったのだ。


「な、何だと!? 俺の剣が動かん! 勝手に手を離れていく!」


「甲冑が……甲冑が分解されて、空へ飛んでいくぞ!」


数千人の巨人たちが、武器を失って狼狽の叫び声を上げた。


空中に舞い上がった数千の道具たちは、アラクネの糸の如き美しい光の軌道を描きながら、本来の西の大陸の職人たちが作った「小さな、均整の取れたサイズ」へと、滑らかに、そして優雅に縮小していった。彼らに宿っていた器物の精霊神たちは、苦痛の涙を拭い去り、私とチッタに向かって歓喜の歌声を響かせながら、鳥の群れの如く、西の大陸の側へと、美しく羽ばたいて帰っていった。


「彼らは道具なのだよ、ムルムル将軍」


私は塔の最上階から、大懸橋の中央に立つ将軍を見下ろして告げた。


「道具とは、人間の知恵と生命への愛着が宿る、小宇宙の器だ。それをただの破壊の暴力として無理やり歪めれば、その歪みの反作用(応力)は、必ず自らの手を離れ、元の美しき均整へと復元リセットされる。自然の力学は、君の傲慢さよりも、遥かに誠実なのだからね」


## 第四章:第四の戒律の執行パラメータ・リセット

「おのれぇぇ! 小細工を! 武器などなくとも、この我が巨躯の腕力だけで、あの玩具の塔ごと、西の大陸を叩き潰してやるわ!」


ムルムル将軍は正気を失い、自らの巨大な拳を固め、『大いなる楔』の載った台車を力任せに押し、大懸橋の西岸にいる私の塔へと向かって、狂ったように最初の一歩を踏み出した。彼に盲従する数千人の巨人の兵士たちもまた、丸腰のまま地響きを立てて突進してきた。


だが、彼らが第四の戒律『サイズの違いを支配の道具とせぬこと』を完全に踏みにじり、小さきものをその肉体の質量だけで蹂躙せんとした、その瞬間であった。


天空の星辰の精霊神アストライアの掲げた白銀の天秤が、キィィィンと澄んだ音を立てて、完璧な水平へとカチリとロックされた。


第十二話で私が大地の地下宮殿のコントロールルーム(中央統御盤)と我が『大地の全真実のノート』を直結させた、あの防衛プログラムが、星々のエネルギーを媒介にして、完全に強制執行システム・アクティベートされたのだ。


大懸橋の中央主塔の周囲の空間が、ぐにゃりと万華鏡の如く激しく歪み、巨人の軍勢を包み込んだ。


「何ごとだ!? 橋の主塔が……西の塔が、急激に巨大化しているのか!?」

ムルムル将軍が、自らの視界の異変に悲鳴を上げた。


「違うよ、将軍。巨大化しているのは周囲ではない。君たちのその肉体の質量サイズが、君たちの『精神の傲慢さ』の分だけ、空間の結合定数の変化によって、今ここで強制的に縮小させられているのだ」


私は手帖を開き、彼らの肉体の縮小速度デクリース・レートを正確にノートにスケッチしていった。

数千人の巨人たちの身の丈は、十数メートルから、五メートル、二メートル、一メートル……そして彼らが大

懸橋の中央線を越えようとしたその瞬間には、彼らがもっとも虫ケラと呼んで見下していた、チッタや西の大陸の亜人たちと完全に同じ、わずか「数寸」のサイズへと、一切の痛みを伴わずに滑らかに同化(折り畳まれ)させられた。


彼らの背負っていた圧倒的な暴力の質量は、空間の結合定数によって完全に相殺され、大懸橋の上には、小さな、あまりにも小さな、武器を持たない服のぶかぶかになった元巨人たちの群れが、ただ呆然と立ち尽くすのみであった。


彼らが世界に与えようとした不調和の歪みは、星辰のアストライアの幾何学の天秤によって、そっくりそのまま彼ら自身を理性の Cage(檻)へと落とし込むための、最高の引力パラメータへと変換されたのである。

『……実に見事だ、異邦の探偵よ……』


天空の星辰の精霊神アストライアの貌が、全天の光を集めて美しく微笑み、私に向かって厳格なる祝福の礼を捧げた。


『お前がノートに描いたその『理性の幾何学』は、天の創造主たちのプログラムを完全に実証し、引き裂かれかけていたこの世界のすべての物理法則を、完璧なる調和へと復元しました。星々の運行は、今、お前の知性を称えるための、最も清らかな夜明けの灯火へと還るでしょう』


全天に一直線に並んでいた星々は、その冷酷なる直列の圧力を解き、元の均整に満ちた美しい天球の星座の配列へと、静かに、そして優雅に巡り戻っていった。大気を満たしていた特異点崩壊のノイズは一瞬にして消え去り、大懸橋の上には、心地よい至点の夜風だけが吹き抜けていった。

「レオナルド様、やらせましたね! 世界が……世界が本当に助かりました!」


チッタが私の髪の毛から飛び出し、私の手のひらの上で、満面の笑みで飛び跳ねながら涙を流した。

「ああ、勇敢なチッタ。君と、世界中の道具の精霊神たち、そして小さきものたちの連帯が、この星の幾何学的正義を証明したのだよ」


## 第五章:星辰のノートと、勝利のカンヴァス


私は小さきもののサイズのまま、塔のテラスから、大懸橋の中央で警備隊によって静かに捕縛されていく、小さなムルムル将軍たちの姿を見つめた。


彼らはこれから、西の大陸の小さな村で、一から自然と道具、そして精霊神を敬うための知恵を学ぶための、労働の義務に従事することになるだろう。それは支配ではなく、彼らの肥大化した精神を、正しい理性のサイズへと調律するための、自然の誠実なるプロセスなのだからね。


私は手帖を厳かに閉じ、胸のポケットへとしっかりと仕舞い込んだ。


私のノートは、大地の底の真実、繊維の結合、光の屈折、そして天空の星々の運行にいたるまで、この百万年前の並行世界「イースター」のすべての美しき方程式で、文字通りぎっしりと埋め尽くされていた。


「ギガ・ムルムル将軍。君は力と質量で世界を分断しようとした。だが、真の大いなる者とは、その身体の大きさではなく、万物の調和を愛し、その繊細なる命の一つ一つを敬うことのできる、広大なる『理性の頭脳』を持つ者のことなのだ」


私はテラスから、西の大陸の側に広がる、蛍光キノコと世界樹の緑の光が美しく輝く小宇宙を見渡した。


十五世紀のフィレンツェのノートの続きが、この魔法と科学が交差する百万年前のイースターにおいて、今、完璧な一つの「絵画(調和)」として完成を遂げたのだ。だが、芸術家としての、また科学者としての私の探求は、これで終わりではない。


時の精霊神クロノスが宿る、大白斑の日時計の針は、私たちの知性の勝利を祝福するように、カチリ、カチリと、新しき夜明けの未来へと向かって、世界で最も誠実なる、世界で最も美しい正確なリズムを、再び力強く刻み始めていた。


レオナルド・ダ・ヴィンチの万年筆は、次なる真理の宇宙の幾何学を求めて、この巨人と小さきものの国で、これからもどこまでも冷徹に、 trenches、そして人類の知性の究極の優雅さを以て、美しく輝き、描き出し続けていくのだ。

みなさま、どんな風に感じてもらったのでしょうか?

少しでも面白いかもと思って頂けましたら幸いです。

励みになりますので、☆☆☆☆☆をチェックしてもらえると嬉しく存じます。

これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

パラレルワールドで魔法と多種族の住む異世界でスキル無しで探偵します。

よろしくお願いします。

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