第二章 (2) 兄を探して……森の中
疲れ果てた仁はテントに入って、物思いにふけていた。
「ここに来てから…もう2年か…」
そう呟く彼の口調は、いつものノンビリした彼のものでは無かった。只今絶賛キャラ崩壊中です。
そんな仁を睡魔が襲う。意識は暗闇へと落ちて行く……
主婦の母に、サラリーマンの父、そして小説家でオタクの兄が1人。それが彼の家族だった。性格は皆せっかち。当時中学2年生だった仁も、今とは正反対でせっかちだった。
持ち前の仕事の早さと行動力で、学校でもリーダー的な存在だった。
10月下旬。その日は夏が終わったとは思えないほど暑かった。
もうすぐ文化祭!いやっほぉぅ!
皆のテンションは日に日に上がっていく。
準備期間なので帰宅するのが遅くなった。
今日は仁の誕生日。皆は家で待ってくれているだろう。
無意識に小走りになり、笑みがこぼれる仁。すぐに家に着いた。…いや、家だった建物に着いた。
仁が見たものは、明かりの無い家、ドアに貼られた差し押さえのテープ。
「なんだよ…。なんなんだよ!これは!」
状況がわからないまま、何か無いかと家の周りをくまなく調べた。郵便受けの中から封筒を見つけた。父からだった。
−仁へ
とりあえずそこを離れて隠れろ。絶対に捕まるな。−
後ろから怒鳴り声が聞こえてきた。
とりあえず従い、学校へと走る。西にある森に逃げ込み続きを読む。
−これを読んでいる頃、お前はさぞ驚いていることだろう。
すまない。時間が無い。簡単に説明をすると、詐欺に引っ掛かって多額の借金を負ってしまった。暴力団に追われている。皆でいると目立つからバラバラに逃げている。以上。
申し訳ないが頑張れ!
父より−
…『頑張れ!』じゃねぇよ!これからどうしよう?
森の中を茫然とさまよう仁。
ふと視界が開ける。そこには……
「おっ、珍しいな〜。こんなとこに人が来るなんて。」
「コクッ」
同い年位の女の子が2人いた。こんな所で何をしているんだ?
「ここは一般人が来るとことちゃう。はよ帰り。」
「家は…無い。今日…無くなった。」
見知らぬ人、しかも女の子に何を言ってるんだろう?
「…ハァァ〜」
何故か溜め息をつかれた。失礼な!
「あんたもか…」
「あんた…も?」
「せや。うちら2人も家無いねん。」
「えっ…」
「名前は?」
「じっ仁。久原仁。」
「ウチは凛。こっちは輝。仁、ここに住めへんか?森で飯とって、駄弁って、楽しく!正直2人やと話題がのうなってきたし…」
「でも…」
迷っていた。この子達と話して安心したのは確かだ。でも、別れた家族はどうしよう?
その時、ずっと黙っていた輝が話しかけてきた。
「悩み事が、あるなら…話して…。力になる、から!」
「!?テルが、はっきり喋った!」
「珍しいの?」
「輝は極度の照れ屋で、滅多に喋らないのだ!」
……説明を聞いて感動した。さっきの事を言うのに、一体どれだけの勇気が必要だったのだろう?
「わかった。一緒に暮らす。でも、悩みはもう少し落ち着いてからにさせてくれ。」
「「やった〜!」」
俺は、ラノベ作家の兄を探すため、絵師を目指すことにした。そして、もう少し落ち着こうと思った。父の二の舞にならないように…
こういう誕生日も、悪くは無いな。
こうして、僕の新しい生活が始まった。
またまた過去話です。
矛盾点が多い話でスイマセン。マジメな話を書くの苦手なんです。
アドバイスを頂けると幸いです。
以上カルタでした!




