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神様の剣と懲りない悪党  作者: すたりむ
六日目~七日目:悪党と燎原の魔王
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七日目(3):悪党、ひっかかる

「……っと。どこだここ?」


 マスに入った俺の目に飛び込んできたのは、不思議な空間だった。

 空は暗雲が垂れ込め、地面はひび割れ乾いた平原。奥の方に森も見えるが、その手前に明らかに異質な石造りの洞窟が、宙に浮いていた。


「あれが、アジト……?」

「馬鹿、止まるなライ!」

「え?」

「走れ、少年。後ろより異形が追いかけてくる」

「はい? ってうわあ!」


 後ろをチラ見して、俺は全力でみんなの後を追って駆け出した。


「なんだあれなんだあれ! 牛とカバの合いの子みたいな怪生物が群れで押し寄せてくるんだけど!」

「注意しろライ! あれは幻術強度がものすごく高いから、踏み潰されたら死ぬぞ!」

「どう注意しようがあるってんだよおおおお!」


 コゴネルに毒づいてひたすら走る。

 と、手前の地面がもこもこと盛り上がって、土でできた牛頭の怪物が姿を現した。


「この、邪魔する――うわあ!?」


 どがん! とその怪物が一撃で爆散する。


「ほほ、発明は火力ですぞぅ!」

「テン、あんたあの鋼鉄攻弾(カルバリン)とかいう兵器、持ってきてたのかよ……」

「当然です。まあこのような状態で発射できるためには工夫がありましてね、なんと――」

「話してる場合か馬鹿! 走れ!」


 叫んでコゴネルは、風の精霊とおぼしきものの力で前にぶっ飛んでいった。

 やべ、サリより早いじゃんあれ。ずるでは?


「少年、急げ」

「だ、だけどあの洞窟まで行っても、後ろの群れはどうするんだ!?」

「それは問題ない。幻影である奴らはアジトには入れんだろう」


 ぼそぼそとささやいて、トゥトはすうっと滑るような不思議な走り方で先に行ってしまった。

 他の魔人もみんな、それぞれの得意な移動手段で先に行く。俺と併走しているのはバグルルだけだが、こいつは図体がデカい分まだまだ余裕がありそうだ。


「ライ、急いで!」

「わかってるよ! おりゃあああああ!」


 先に到着しているサリの言葉を受けて、俺も急ぐ。

 そして……


「たどり……ついた!」


 思った瞬間、謎の光が走った。


「な、なんだ!?」

「まず――これ、罠だ!」

「ライ、手を――!」


 声に、俺は手を伸ばして。

 そして、なにも見えなくなった。


「…………。

 え?」


 マジでなにも見えない。暗闇の中である。

 地面の感触からするに、幻影に吹っ飛ばされたわけではなさそうだ。おそらくは洞窟の内部。

 こういうことは前にもあった。というか、三日ぶりである。つまり、ハルカに吹っ飛ばされたときと同じ。


「空間転移じゃねえかよこれ!?」



--------------------



 まあ、あってしまったことは仕方がないとして。


(こういうとき、たいまつ代わりになるこの剣は便利だな)


 また例によって、剣の光を使って洞窟を探索する俺だった。

 どういう展開かはわからないけど、サリが予測できなかった事態だ。あまり悲観はしていなかったが……


「誰かー! おーい、誰かいないか!?」


 あえて声を出してみる。

 これで味方に届けばよし。敵に届いたところで、どうせ敵にはこちらを飛ばした位置はバレてる。さほどデメリットにはならないだろうという魂胆だった。

 あまり期待して声を出したわけではなかったが、


「ライ!? そこにいるの?」

「え?」


 聞こえてきた声があまりに意外だったので、俺は硬直した。

 果たして。ひょっこりと角を曲がって現れたのは、


「やっぱりライだ! 探したよ!」


 笑顔でカンテラを掲げる――リッサだった。


「…………。

 なんでおまえが? 隊商はもう北に出発したし、おまえも同行してたはずだろ」

「なに言ってるの? 隊商は足止め食らって集落の中だし、ボクはやっぱり気になってこっそりついてきただけだよ。昨日も言ったでしょ?」

「あ、そう」


 俺はぽりぽりと頭を掻いた。


「とにかく無事でよかった! 罠にかかったときはどうしようって思ったけど、なんとかなるものだね!」

「ああ、まあな。けどここに一人でいるってことは、おまえも罠にかかったのか」

「そうだけど、でもここに来る前にいくつもの道が合流している場所を見つけたよ! たぶんそこに行って待つのが一番じゃないかな!」

「そうか、じゃあ案内頼むわ」

「任せてよ!」


 言って、リッサは元気よく歩き出した。

 俺はその後ろを歩きながら、


「そういえばさ、リッサ」

「ん? なあに?」

「俺、結局おまえの本名、未だに覚えられてないんだけど。なんて名前だっけ?」

「もー、そこはちゃんと覚えてよ! リクサンデラ・メザロバーシーズ=キルキル・ポエニデッタだってば!」

「長いな。やっぱ覚えられる気がしねえわ」

「ちょっとー、努力くらいはしてよ!」

「そういうおまえだって、俺の名前を覚えてないんじゃないのか?」

「そんなわけないじゃない。ライナー・クラックフィールド、でしょ?」

「そう、ライナー・クラックフィールド――」


 俺の剣が、にわかに光を増し、


「え?」

「の名において! 吹き飛べクソがあああああ!」


 俺の一閃と共に、リッサ――の()()()()()()()が、爆発四散した。

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