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策略家の彼とポッチャリな私〜重い愛を乗せて〜  作者: 紫煙 くゆり


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18/42

18.書簡の盾

昼下がり


屋敷には、やわらかな陽光が差し込んでいた

窓の外では小鳥がさえずり、庭の花々が風に揺れている


本来なら、穏やかな午後


けれど、私は不安に胸を押さえていた


数日おきに来る使者

豪奢な箱に収められた贈り物

丁寧な体裁を装った手紙


けれど、その文字の奥にあるものは隠せない


強引さ

傲慢さ

“いずれ手に入る”とでも言いたげな確信


封を切るたびに、心が重くなる

無言の圧力が、じわじわと心を締めつけていた


だが、机の上に置かれた一通の書簡を目にした瞬間、胸の奥がふっと軽くなる


アレクシス様からの手紙


飾り気がなく、冷静な文面でありながらも、私を安心させる魔力が宿っているようだった


「侯爵の新たな動きは察知しています既に全ての道を封じています

レティシアは安心して日常を送って下さい」


読むだけで、胸に熱いものが込み上げる

深呼吸をして、机の上の手紙に目を落とす

侯爵の圧力や策略に怯えていた心が、少しずつ落ち着いていくのを感じる

アレクシス様は、冷静な判断で私を守ってくれている

怖かった

けれど今は、落ち着いている

もう一度、手紙を読み返す

その一文一文が、まるで盾のように感じられた

これほどまでに守られている実感は、初めてだ


私は便箋を取り出し、ペンを走らせる


「アレクシス様

お手紙を拝見し、心から安心しました

本当にありがとうございます」


また、図書塔でお話ししましょう、と書こうとして手が止まる


こんな事書いていいのだろか?


普段、外出する時などは「〇〇に行きます」とだけ簡素に書いて知らせていた

そうすると、アレクシス様がお暇な時はその場所に来てくださった


でも、「また、図書塔でお話ししましょう」この言い方では誘っているみたいに感じてしまう


なぜか自分から誘うのに抵抗感あった

断られたらどうしようと考えてしまうからなのだろうか


何度も頭の中で文章を組み立てては消す

ぐるぐると、同じ場所を回る思考


あの突然の婚約話の時アレクシス様がいてくださらなかったら

——直接お礼を言いたい

今もアレクシス様は助けてくださっている

——あの穏やかな空間で

手紙で済ませるのは礼儀を欠く行為

——あの静かな光の中で


私は自然とペンを走らせていた


「落ち着いたら、また、図書塔でお話ししましょう」


本当に渡していいのだろうか

迷いが胸をかすめる

けれど、心は既に決まっていた

書き終えた手紙を封筒に入れ、机の上にそっと置く


窓の外では、風が花を揺らしていた

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