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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第三幕

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342話 丸裸にする

「……し、死ぬかと思ったでござる……」

「――というのが、ベッコの遺言だった」

「死んでないでござるよ!?」


 なんてことがありつつ、俺のお願いをきっちりと聞いてくれたベッコ。


 時刻は早朝。

 場所は三十区。


 マーゥルの許可を取り付け、早朝に二十九区で花火を打ち上げた。


 突然の爆音と光のシャワーに、近隣区はちょっとした騒動になっていた。

 まぁ、三十区以外の近隣区には前もって知らせておいたようだけどな。


『マーゥルに求婚した花火師が自分の腕前を見てほしいと言っているので、もしかしたら騒ぎが起こる可能性がある』――ってな。


 まぁ、全部仕込みだが。

 念のため、花火師のカブトムシ人族カブリエルには実際マーゥルに求婚してもらった。形だけだが。


 で、早朝。

 愛しのマーゥル様へのサプライズ。という名目で特大の花火を一発ぶっ放した。


 事前に知らせたのと、あとでお詫びの品を配る予定なのでこの件は「傍迷惑な」程度で済むだろう。

『BU』連中も話を聞いて協力をしてくれると言っていたし。


 まぁ、ドニスだけが鬼のような顔でカブリエルを睨んでいたけどな。

 求婚のフリをする時も、カブリエルにべったりとくっついて監視してたし、花火の打ち上げもきっと見張っていたことだろう。



 で、近隣の区で唯一話を聞かされていなかった三十区は、突然の爆音にちょっとした騒動になっていた。


「何事だ!?」

「見ろ! 北東の空が!」

「あれはなんだ!?」


 ウィシャート家の護衛たちも、花火が上がった北東の空を見上げて騒いでいた。


 その間に、檻に入れたベッコをベックマンにくくりつけて飛んでもらった。

 ウィシャートの館の南西で。



 ベックマンも頑張ったようだが、思ったほどは飛べていなかった。

 精々10メートルくらいか。


「ベッコ、ちゃんと見えたか?」

「その前に……労いの言葉をお願いしたいでござる」

「ん! 大義であった!」

「すっごい上から来たでござる!?」


 この大騒動は、みんな『ベッコにウィシャート家の館を見せる』ために実施されたものだ。

 ウィシャートの館には大勢の兵がいて、目を逸らしてやらないと見つかっちまう。

 かといって見つからないくらい遠くだと、細部まで見られない可能性が高い。


 というわけで、マーゥルの家の方へ視線を誘導したというわけだ。

 早朝なら、そこまで人数もいないし、通行人もいなかった。



 あとは、小一時間もすればゲラーシーが説明と謝罪に訪れるだろう。

 各方面へ謝罪回りをするということにしておけば、ウィシャート家で根掘り葉掘り追求されることもない。


 ……まぁ、実際各領主や貴族に謝罪行脚をしてもらうことになるんだけどな。


 協力を要請した時にすんなり賛同しなかったゲラーシーだ。それくらいの苦労はしてもらわなければ。

 ……だって、お友達じゃないんでしょう、ぼくたち?

 お友達なら、困っている時は何はなくても助けてくれなきゃいけないよねぇ?

 それなのに、お願いした時に顔逸らしたもんねぇ?


「苦しめ、ゲラーシー……」

「ギゾコウって、何気に根に持つタイプでありますか?」

「何気にも何も、果てしなく根に持ち続けるお方でござるよ」


 失敬だな、ベッコ。

 もう一回飛んでみるか?


「今度は裏側から見てみるか?」

「いいや! もう結構! 細部までしっかりと目に焼き付けたでござるから! 二回目などやってたまるかという鬼気迫る勢いで焼き付けたでござるから!」


 相当怖かったらしい。

 ベッコは檻の中で涙目になって訴えてくる。


 なんで檻に入れているかというと、ベックマンは両腕がツバサになっているため、荷物を持って飛ぶことが出来ない。

 だからといってベッコが足にしがみつくというやり方では、ビビリのベッコが手を離して飛ばない可能性もあった。

 チャンスは花火が上がる一瞬。

 ちょっとでも躊躇っている時間はないのだ。


 なので、檻に閉じ込め、その檻をベックマンの足に結びつけて、一気に飛んでもらった。


 檻に入れられ、泣きながら上昇していくベッコの顔と言ったら……


「めっちゃ面白かった」

「笑い事ではござらんぞ!?」


 けどまぁ、これで作れる。

 ウィシャートを丸裸にするための道具が。


「じゃあ、お前は見つからないようにさっさと帰れ」

「分かったであります。ギゾコウ、ノルベール様のこと、頼むであります」


 ウィシャート家の者にはチラリとも見つかるわけにはいかない。

 面の割れているベックマンをさっさと帰す。


「じゃあ、俺たちも帰るぞ、ベッコマン」

「拙者『マン』は付かないでござる! 混ざってるでござるぞ!」


 とかなんとか、よく分からないことを言うベッコの入った檻を、荷車に載せて俺も四十二区へと帰った。


「あの、拙者いつまでここに閉じ込められてるでござる? あのっ、ヤシロ氏? ちょっ、こっち見てくだされ! 質問に答えてくだ……ヤシロ氏っ!?」


 反応が面白いので檻に入れたまま四十二区まで運んでやった。

 ニューロードの下り坂が超面白かった。

「ぎゃぁああ! 怖い怖い怖いっ!」って言ってた。ぷぷぷー!


「コラ、いじめっ子」


 四十二区に戻ると、エステラが仁王立ちで待っていた。


「ベッコはこれから重要な任務があるんだから、あまりイジメないように」

「へいへい、分かったよ」

「エステラ氏……拙者のために……」

「いじめるなら、仕事が終わった後で!」

「そうでもなかったでござるなぁ! やはりヤシロ氏のそばにいる者ほど汚染が顕著でござる」


 な?

 こいつは結構失礼なこと言いまくってんだよ。

 誰が汚染だ、こら。


「ヤシぴっぴよ」


 エステラの後ろに、ドニスが控えていた。

 顔が怖いから見ないようにしてたのに、話しかけてきやがった。


「うまくいったのであろうな? 二度目はないぞ」


 なんでお前に許可取らなきゃいけないんだよ。


「いいだろうが。常識知らずの花火師の求婚はきっぱり断ったのでもう二度と今回のような騒ぎは起きませんって言って回るんだから」


 当然、この作戦のためにカブリエルとマーゥルが結婚するなんてことはない。

 カブリエルも独身だから、本人同士がいいなら問題はないんだが、ここに一人、自分は何も言わないくせに他人の行動には制限をかけたがる嫉妬深いジジイがいるからなぁ。


「もしもう一度必要になったら、今度は『とある大豆の区の領主が求婚の印にと花火を贈った』とでも言って打ち上げてもらうことにするよ」

「なっ!? ば、ばかな!? ワ、ワシが、そのような……っ!」


 と、否定しながらも、顔を真っ赤に染めて、嬉しそうににやにや口元を緩める一本毛ジジイ。

 軽く妄想して「んふー! んふんふー!」と身悶えている。


 興奮し過ぎて抜けろ、その頭頂部の一本毛。


「あ、それと。マーシャが戻ってきたよ」

「お、早いな」


 街門前広場での騒動から二日が経っていた。

 花火のための根回しに時間がかかって少し計画が遅れている。


 その間、領主たちで集まってバオクリエアとウィシャートに関する話し合いの場が設けられた。

 ドニスたち『BU』の連中もそこで事情を聞かされている。

 参加したのは『BU』と三十五区から四十二区までの全領主。


 三十区はもちろんだが、三十一区から三十四区の領主とはまだそこまで信頼関係が築けていないため情報は伏せさせてもらった。

 三十区に近ければ、こちらよりウィシャート側につく可能性が高いからな。


 とりあえず、ウィシャートは野放しに出来ないなということで意見は一致した。


「それじゃあベッコ、今日中になんとかなるかい?」

「任せてくだされ。完璧に再現してみせるでござる、『ウィシャート家の館のミニチュア』を!」


 見た物をそのまま作り出せるベッコの能力をフルに使って、ウィシャートの館のミニチュアを作る。

 それと、かつて修繕工事の依頼を受けたウーマロが保有している館内部の間取り図を組み合わせて、ウィシャートの館の内部構造を暴こうという算段だ。

 裏口を利用していたゴッフレードやベックマンの証言も得てある。


 あとは構造や水場の位置から推測をしていけば――

 ノルベールが隔離されていそうな場所に見当を付けられるってもんだ。



 さぁて、丸裸になってもらおうか、ウィシャート。






 ハムっ子農場へ向かい、虫に食われた葉野菜を大量にもらってきた。

 かつての陽だまり亭なら、虫食いの部分を切り取ってクズ野菜の炒め物にしていただろうが、今はここまで酷い野菜は使わない。


 昼過ぎにその葉野菜の中にフロッセの種を二粒入れて、たっぷりの水をかけておいた。

 地面に種を落とすと厄介だということだったので大きめのたらいの中で実験を行う。

 デカいプランターみたいだな。


 そして、日が沈んで間もなく閉店という頃合い。


「おぉ、咲いたな」

「代わりに、白菜やキャベツがしおしおです」

「……養分を吸われた結果」

「でも、この辺はまだ食べられそうですね」


 ジネットが恐ろしいことを言っている。

 食うなよ?

 フロッセが食物にどんな影響を及ぼしているのか、どんなメカニズムで他の植物から養分を奪っているのかも分からないんだからな。

 一口食べたせいで、胃の中でフロッセの花が大繁殖~なんて、シャレにならないからな。


「でも、完全に枯らしてしまうわけではないんだね」

「それはたぶん、種を二つしか入れなかったからだよ~☆ 周りの養分を根こそぎ奪うワケじゃないからね」


 エステラとマーシャが実験結果を見てそんな話をしている。

 たらいいっぱいの葉野菜は、二粒のフロッセを開花させるには十分に有り余る栄養素を持っていたというわけだ。


「これで、明日の朝には枯れるんだよな」

「養分が余ってるから、もうちょっと持つかもしれないけどね☆」


 燃費の悪い花のようで、近くにある養分をどんどん吸い取っていくらしい。

 それでも、フロッセが枯れる速度は凄まじい。

 養分がある間中ずっと咲き続けるということは出来ないようだ。


「ヤシロ氏! 出来たでござる!」


 陽だまり亭の庭でたらいを囲んでいると、ベッコとウーマロがでっかい模型を持ってやって来た。

 ベッコにしては時間がかかった方だが、ウーマロや、その他少しでもウィシャート家の間取りを知っている大工たちの意見を聞いて検証しつつ模型を作っていたのだからそれも致し方なしだ。


「全員の情報を合わせても、内情の三割もはっきりしなかったッス」


 しかし、ウィシャート家の情報隠匿スキルは高いようで、ほとんど謎のままになっているようだ。

 まぁ、そう簡単にはいかないよな。


「とりあえず、中に運んでくれ。見せてもらう」

「あ、ボクも見たい」

「私も~☆」

「では、何か軽くつまめる物をお持ちしますね。ウーマロさんとベッコさん、お腹はすいていませんか?」

「え、えっと、あの、その……ちょこっと、空いてるッス」

「拙者もペコペコでござる」

「では、お食事を用意しますね」

「……マグダが手伝う」

「むはぁぁあああん! 急激に食欲が増進したッスー!」

「それじゃ、あたしも腕を振るっちゃうので、楽しみにしててです!」

「あ、は、はぁ、その、……どもッス」

「なんか期待されてない感が出てて悲しいです!?」


 いやいや、それはいつもの女子見知りだ。


「ジネット。模型を見ながら食えるものにしてくれるか? 片手でつまめるヤツがいいな。おにぎりとかタコスとかコーンポタージュスープとか」

「なに摘まませようとしてるッスか、ヤシロさん!?」

「……店長。あんかけチャーハンがお勧め」

「マグダ氏が悪魔のような選択肢を!?」

「なに言ってるッス、ベッコ! マグダたんは悪魔でも天使ッスよ!?」

「では、ウーマロ氏はあんかけチャーハンを片手で摘まむでござるか!?」

「そーゆーのはベッコの役割ッス!」

「おそらく、拙者ら二人は同じカテゴリーでござるよ!」

「んふふ。仲良しだねぇ~、四十二区のメンズたちは☆」


 騒ぎつつも、模型をそっと運んで店内へと入る。


「では、巻き寿司をお持ちしますね」

「手巻き寿司ッスか?」

「いいえ。細巻きと太巻きです」


 にっこりと笑って、ジネットが厨房へと入っていく。


 ……いや、そろそろラーメン飽きてきたんだよな、俺。

 寿司が食いたくなってな。

 なので、ジネットに細巻きと太巻きを教えた。

 太巻きはだし巻き卵とシイタケの甘煮、そして茹でた水菜を使用した。かんぴょうは作っている暇がなかったので入れていないが、桜でんぶは作った。

 マーシャがいたからタラを分けてもらってな。


 桜でんぶはタラの切り身を茹でて骨と皮を取り、砂糖や酒、塩などで味を付けながらフライパンでふんわりするまで炒めていけば出来る。

 割と簡単であり、だからこそ個性が出やすい。

 またジネットのやる気スイッチがオンになってたよ。


 細巻きは簡単に鉄火とカッパ。

 ……マーシャに「マグロってある?」って聞いたら持ってきてくれたよ。

 どどーんと一匹。

 ……解体すんの、しんどかったぁ。

 こんな大変なの、普段どうやってんだと思ったら、人魚は海の中で巨大な魚を自在にカット出来るらしい。水圧のカッター的な力で。……チートだ、チート。

 じゃあ『柵』にして持ってきてくれればいいものを。


 船上でも解体できるようにと海漁ギルドが保有しているマグロ解体用の長い包丁を借りて、陽だまり亭四人がかりでなんとか解体したよ。

 知識はあっても、俺一人ではムリだ。重いし硬いし、しんどいし!


 というわけで、散々苦労させられたマグロがあるので鉄火とネギトロ巻きを用意した。


 残りのマグロは、刺身にして今日の日替わり定食にした。

 一部は炙って、一部は漬け込んで。


 概ね好評だったので、いつか漬け丼とか鉄火丼とか海鮮丼なんかをやってもいいだろう。



 っと。

 話が逸れたが、今は飯よりも模型だ。


「なぁ、ベッコ。この模型、屋根は――」

「ななななっ、なんでござるか、この美味しい料理は!?」

「手巻き寿司とは違った美味しさがあって、これはクセになるッス!」


 おぉーっと、逸れっぱなしになっちまったな。

 まぁ、夕飯も抜いて作っていたようなので、しばらくは食わせてやるか。


「……ラーメンを手放すと決めた直後に海鮮丼を持ち込む」

「お兄ちゃんは話題を独占し続けたい系男子なんです、きっと!」


 ……別にそういうわけではないのだが、なんかそんな風に思われてしまった。


「わたし、でんぶを頑張ります!」


 妙な意欲に燃えるジネット。

 臀部ではない。

 お尻を頑張るわけではないが、お尻で頑張ってくれてもこちらは一向に構わない。むしろウェルカム。

 手始めに、お尻のラインが綺麗に見えるTバックとか、どうかな? ねぇ? ねぇ!


「ネギトロ巻き、これは危険ッスね!? 美味し過ぎるッス!」

「むむむ……これは、明日明後日中には食品サンプルの依頼が来そうでござる……!」


 イメルダが食べたら、間違いなく依頼が行くな。

 あいつ、これまで集めた食品サンプル、どこに保管してんだろ? ちょっとしたミュージアムが出来るくらい所有してんじゃねぇか?


「陽だまり亭にお魚持ってくると、お魚料理がどんどん増えて嬉し~なぁ~☆」

「こちらも、とても助かっています。ありがとうございます、マーシャさん」

「ん~ん☆ いっつも試食させてもらってるし、こっちこそ感謝だよ~☆」


 えへへ~っと笑い合うジネットとマーシャ。

 二組のたわわが向かい合い、笑い声に合わせて細かくぷるぷる揺れている!

 いい!

 すごくいいよ、YOUたち!


「海鮮といえば……踊り食いだよな!」

「……と、乳に視線を固定して言うヤシロ」

「お兄ちゃん、何を踊り食うつもりですか……」


 踊ってくれるなら食べますが!?

 喜んで!


「喜んでー!」

「何を喜んだです!?」

「……ヤシロは、本音と建前の垣根がない男」


 とまぁ、そんな感じで海産物はこの街の人間にも受け入れられると分かった。

 港が完成すれば、海鮮丼を検討してもいいだろう。

 そもそも、三十五区に海鮮丼屋がないこと自体、俺には信じられない。

 朝市とかやれよ。函館みたいにさぁ。


 とりあえず、外門広場には江戸前寿司ならぬ門前寿司の店でも置いておくか。

 海産物の加工品は三十四~三十八区付近で盛んに行われているし、四十二区では加工までする必要はないだろう。

 折角新鮮な魚が手に入るなら生食に特化するのもいい。

 いや、干物くらいは作りたいが。


 ん~、夢が膨らむ!


「膨らむなぁ!」

「またおっぱいの話です」

「……ヤシロはいい加減、そうそう簡単に膨らまないということを学習すべき」

「いや待って、マグダ。そうと決まったわけではないと思うよ!」

「エステラさんが残念な会話に自ら飛び込んできたです!?」

「……おっぱいに反応する三大残念人間の一角。ちなみにあとの二人はヤシロとレジーナ」


 まったく。

 夢が膨らむのであって、胸が膨らむなんて思ってないってのに。

 ……でもまぁ、どうせ膨らむなら夢より胸がいいけどな☆


「――ってわけで、さっさと港を完成させるぞ」


 そんな宣言と共に、ベッコが作ってきた模型の屋根を持ち上げる。

 発注通り、屋根は取り外しが可能で、館内のレイアウトが分かる範囲で細かく造られている。

 謎な部分は多いが、そこはこれからウーマロと話を詰めていく。


「さぁ~て、邪魔なウィシャートを黙らせる作戦を練るとするか」


 巻き寿司をつまみながら、俺は模型を覗き込んだ。




「着色されている部分が確定している間取りで、白黒のところは予測して作った間取りでござる」


 エントランスや応接室などは色が付けられ、調度品など細かい物まで丁寧に再現されている。


「裏口の方も、結構確定部分が多いんだな」

「保護した彼らが詳しく教えてくれたからね」


 ウィシャートの子飼いで四十二区の偵察に来ていたジジイや獣人族たちからの情報か。

 ゴッフレードにカエルにされかけ、全員心底ビビっちまったようだな。


「命の恩人のエステラに協力は惜しまないってか?」

「ううん。そこまで素直な連中じゃなかったよ」

「だとしたら、信用できないんじゃないのか、これ?」

「その点は大丈夫。ナタリアが聞き出した情報だから」


 おぉう。

 ゴッフレードとは方向性の異なる恐怖を与える人間が辣腕を振るったわけだ。

 それじゃあ信頼してもいいかもな。

 あいつ、エステラの害になる相手には容赦ないから。

 デタラメ教えられてエステラの身に危機が迫る可能性を考えれば、相当強引な手段を使ってでも真実を聞き出すだろう。


「死者は?」

「奇跡的にゼロ人だね」


 冗談めかして言うエステラ。

 だが、ナタリアの尋問はかなり強烈なのだろうことが窺える。


「それでッスね、保護されてる連中の話が本当だとしたら、この部屋は倉庫になってるはずなんッス。ここ見てッス。柱の太さが他とは違うッスよね? おそらく、ここの屋根には相当な重量の『何か』を隠せるようになってるッスよ」


 と、白黒で作られた仮定の部屋を指さして説明するウーマロ。

 ベッコがその目で見た外観からの情報や、ドアの位置、水路の位置、動線や火を使える構造や薪のある位置などから、その内部構造がいくつか推測されている。


「あとここなんッスけど、ここだけ建物の壁が中庭側に張り出してるんッス」


 ウーマロが指さした場所は、その場所だけがぷっくりと中庭側に膨らんだような構造をしていた。

 そこの壁には窓もない。


「おそらく、ここだけ壁が二重になってるんッスよ。壁の外に人が一人通れるくらいの隙間をあけて、もう一枚壁で覆っているッスね」

「防音対策か?」

「おそらくは。なので、ここは会議室か寝室――もしくは、蓋を開けたわずかな間であっても中からの音が漏れるとまずい地下室への出入り口みたいな重要なものがあるはずッス」


 なるほど。

 怪しいのはこの場所か。


 その怪しい部屋は、館の西側奥に位置していた。

 もしそこに、北へまっすぐ延びる地下通路なんかが存在するなら、ウィシャートの館から誰にも見られることなく十一区領主の館へ行けそうだ。


 やはり、この部屋は怪しいな。


「ゴッフレード曰く、館内には緊急脱出用の隠し通路が複数存在しているようだよ」

「まぁ、そうだろうな。何年にも亘って悪事を繰り返しているなら、いつか誰かに狙われると考えるのが普通だ。その緊急事態に備えておくのは当然だろう」


 きっと、外からはなかなか入れないような館の奥の奥のさらに奥の方の部屋で寝ててよ、賊が侵入したらさっさと一人で館を抜け出すに違いないのだ。

 寝室の掛け軸の裏から炭小屋に通じる抜け道とかがあるに違いない。


「こういう、炭小屋とか食料庫とか、母屋から離れた小屋への抜け道があると、賊が母屋を家探ししている間に外に逃げ出しやすいよな」

「なるほどッス。そういうところに出れば、外の様子を見ながら折を見て逃げ出せるッスね……では、逆にそこへ見張りを置けば捕らえられるかもしれないッスね」

「おや? いつの間に捕らえる算段を話し合う会になったでござるか? 討ち入るでござるか?」


 あぁ、そうだった。

 なんか、抜け道のことを考えてたら討ち入らなきゃって気になっちまった。


「けど、抜け道って、なんかわくわくするんッスよね」

「男子には共通する感情やもしれぬでござるな。かくいう拙者も、時間と費用さえあれば自室に秘密の抜け道の作成をお願いしたいと思っていたところでござる」

「俺なら秘密の小部屋がいいな」

「な、なんと!? 部屋の中に秘密の小部屋……それは、なんとも胸が高鳴る仕掛けでござるな!」

「ずらっと並んでる本の中の一つがスイッチになっててな? それを動かすと本棚がスライドしてよ」

「おぉっ、カッコいいッスね!? ちなみに、本棚をスライドさせる仕組みはどんな感じッスかね?」

「そうだなぁ、構造は簡単でいいんだが……歯車を使うとうるさいよなぁ」

「しからば、レーンに蝋を塗って摩擦を減らしてみてはいかがでござるか? あとは手動で――」

「いや、自動で開くからこそカッコいいのであってな!」

「いや待ってッス、ヤシロさん! むしろ本棚が扉になっているのはどうッスか? スライドではなく、回転して秘密の小部屋に行き来するんッス!」

「くっ、まさかノーヒントでそこに行き着くとは……やるな、ウーマロ! それは秘密の小部屋がある程度定着した後、第二弾として取っておこうと思ったギミックだ」

「しからば、その回転軸に蝋を――」

「蝋、売り込むッスね!? 余ってるッスか!?」

「あの……ヤシロさんたちは一体、何のお話をされているんでしょうか?」

「……メンズトーク」

「なんか、メンズにはメンズにしか分からない矜持とか感動があるみたいですよ。うちの弟たちも、弟だけで集まってくだらない話で盛り上がったりしてるです」

「なんにせよ、ヤーくんたちが楽しそうで、微笑ましいですね」


 ついつい脱線してしまった。

 でも、部屋に隠し部屋とか……素敵やん?

 秘密の抜け道も捨てがたいが、やはり隠し部屋は別格だ。

 思いっきり趣味に傾倒して内装をごりごりにこだわったりすると、絶対楽しい。


「ちなみに、予算はどれくらい必要になりそうかな?」


 真っ赤な瞳をきらっきらに輝かせて、エステラが前のめりになっている。

 食いついてる食いついてる。

 エステラはこーゆーの好きそうだもんな。


「執務室の本棚の向こうの隠し部屋に、壁一面にずらりとナイフを並べて――カッコいい!」

「闇の武器商人だな、それは」

「確実に裏社会の人ッスね」

「エステラ氏は、領主でなければ領主様にきつめの取り調べを受けるタイプの御仁でござる」

「失敬だよ、諸君! ボクの趣味は崇高な美学に基づいていてだね――!」


 熱く語るエステラの声を右から左へ聞き流しつつ太巻きにかじりつく。

 うまい! が、やっぱかんぴょうが欲しいなぁ。


 ん? 鉄火巻き?

 なんかもう、さばいてる途中からお腹いっぱいになったよ。

 マグロは、しばらくいらん。


 あ、でもあとでマグロのフレークを作ろう。

 ぶつ切りにしたマグロを酒やみりん、醤油で味付けしてたっぷりの煮汁で炒めていく。

 煮汁がなくなってぼそぼそしてきたらOKだ。


 ……あぁ、じゃあツナも作るか。

 柵にしたマグロを香草やニンニク、香辛料と一緒にたっぷりの油で煮込んでいく。

 ツナ缶よりも身がしっかりしているので、ツナマヨにしてもパンチが効いていてきっと美味い。


 くっ……マグロめ、可能性が無限大でやがる!


「ロレッタ、マヨネーズの在庫はあるか?」

「まだまだあるですよ! 先日弟たちを大量招集して地獄の混ぜ混ぜタイムを慣行したですからね!」


 マヨネーズは、卵と酢と油と少々の塩で作ることが出来る。

 ハンドミキサーがないので腕がもげ落ちるかというほどかき混ぜる必要があるのだが……


 そんな苦行を押しつけられたのは、長女には逆らえないヒューイット家年中組の弟たち。

 ぎゃーぎゃー言いながらも、どこか楽しそうにマヨネーズを量産していた。

 あれ、工場作って量産させるべきだと思うなぁ、そろそろ。


「じゃあ、明日はツナマヨおにぎりでも作るか」

「つなまよ、ですか!? それは一体どのような――!?」

「明日な! 明日!」


 物凄い勢いで食いついてきたジネットに落ち着くように言う。

 巻き寿司では、若干満足度が低いようだ。

 まぁ、ラーメンに比べれば、以前作った物の亜種っぽいしな。


 だが!

 ツナマヨは……強ぇぞぉ。

 はたして、「まぁ、おにぎりの一種ですしね」なんて澄まし顔でいられるかな?

 男子中学生が好きそうな物はもれなく大好きな四十二区民が、ツナマヨを前に平静を保てるはずがない!

 ……こいつは波乱の予感だ。


「ヤシロ。美味しい料理が増えるのは嬉しいけれど、そんなことをしている暇はないんじゃないのかい? ウィシャートから催促の手紙が届いているんだよ」


 街門前広場で説明会を行ったことは、ウィシャートも知っている。

 あれから二日経った。

 おまけに、ウィシャートが放った子飼いが全員帰ってきていない状況だ。


 説明会の翌日には、早速エステラ宛にせっつくような手紙が届いていたらしい。

 曰く「さっさと説明をしに来い」と。


「情報を知りたいんじゃなくて、難癖を付けて工事延期を要求するのが目的だろうから、納得させるだけじゃ弱いはずだ。何かもう一手打たないと」


 まぁ、「大工の見間違いだった」って言って、「な~んだ、そっかー。じゃあ、工事再開しても平気だね☆」とはならないだろう。というか、なるわけがない。


 ウィシャートを黙らせる必要がある。

 そもそも、ブロッケン現象を知らないウィシャートが、俺の説明で納得するとも思えない。

 だからこそ、ヤツを黙らせるためのもう一手が必要になるのだ。


 それが、アメなのかムチなのかは、まだ決めかねているのだが。


「エステラ。ウィシャートの館に行くのはいつになった?」

「明後日だよ。今日はもう時間的に何も出来ないだろうから、猶予はあと一日だよ」


 一日か……


 こりゃあ、明日は、忙しい一日になりそうだな。

 効率よく行動するために、今は頭を働かせるとしよう。


 俺は、もう一度ウィシャート家の模型に視線を落とした。




 腕を組んで、改めてウィシャート家のミニチュアを観察する。

 ウィシャート家の館は『ロ』の字型になっており、中央には中庭がある。

 外から見える壁には窓がほとんどなく、中庭側に窓が設けられている。

 採光のために広い中庭を作ってあるのか。

 よっぽど外から館内を見られたくないようだ。

 デカい敷地の中央に館を建てているくせに、さらに外からの視線を遮断するなんて、『ここで悪事を働いてますよ』と宣伝しているようなもんだ。


「外から生活が窺えないと、普段ウィシャートがどこにいるか想像も出来ないな」

「……ッスね。そうなると、抜け道の予測も立てにくいッス」

「なるほどでござる。寝室の場所でも分かっていれば、夜明け前に突撃すれば、寝室から通じる抜け道を使うと予想が付くというわけでござるな。確かに、普段の行動が読めぬ限りは、先読みは困難でござろうな」

「なぁ、マグダ」


 マグダを呼んで、ミニチュアを見せる。


「マグダがこの館の主になったら、どこを寝室にしたい?」

「……中庭で、大の字で寝てみたい」

「屋根の下で寝てッス、マグダたん!? 危険ッス!」

「……室内なら、奥の方の、二階?」


 まぁ、大体館の主はそういうポジションに私室を持っている。


「で、敵が攻め込んできたら、どこに逃げる?」

「……玄関に出て、返り討ちにする。館の主の誇りにかけて」

「マグダたんは館の主になると危険ッス! 有能な給仕長を付けておかないと、オイラ不安で眠れないッス!」


 まぁ、マグダなら秘密の抜け道なんか使わなくても、正面突破で逃げ出せるだろう。


「ロレッタは?」

「あたしは、この玄関の真上を私室にするです! そうしたら、悪い人たちが来たらすぐに分かるです! 来た瞬間、バッチリ顔が見えるですからね!」

「ロレッタ氏。館の主がずっと玄関先を見張っている暇はないと思うでござるよ」


 敵が襲撃日時を予告してくれるなら、見張っていられるだろうがな。

 年がら年中、四六時中窓に張り付いて玄関を見張ってるのは主ではなく警備兵の仕事だ。


「ジネットは?」

「わたしは、みなさんのお部屋のそばがいいです」


 ジネットの中では、どんな豪邸に引っ越そうとも、俺たちと一緒に住むことに変わりはないらしい。

 ジネットらしい発想だ。


「で、敵が攻めてきたらどこへ逃げる?」

「わたしは、少々足が遅いので逃げてもきっと逃げ切れないと思うんです」


 ほほぅ、『少々』とな?

 何気にジネットは自分の運動能力を過信し過ぎる傾向にある。


「ですので、ヤシロさんが先ほど言っていたような、隠し部屋に隠れて息を潜めていようと思います」

「ジネットちゃんならその方がいいかもね。下手に動けば見つかりそうだし」

「揺れる音がするもんな」

「しませんよ! もう!」


 いや。

 お前が慌てて飛び起きれば、「ぶるぅ~ん!」って音が月夜に響いて、「あっちだ!」って敵がなだれ込んでくるに違いない。


「カンパニュラならどうする?」

「私がこの館の主となり、かつ、敵勢力に狙われているという条件ですよね……では、この裏口の上、ここの二階にします」


 他の連中は条件とか考えずに思いついたことを口にしていたが、カンパニュラはこちらの意図を汲んでシミュレーションを始める。


「裏口の上に私室があるとわざと情報を流しておけば、敵勢力は入り口を封鎖しつつ裏口から本隊を投入してくるでしょう。しかし、上り階段は入り口の側にだけ作っておくのです。こうすることで突入から私室へ到着するまでの時間を稼ぎます。入り口の方は、そうですね……エントランスに扉があるのでしたか。でしたら、その扉を施錠しておきましょう。その程度の鍵なら簡単に開けられるのでしょうが、それが二~三回続けば十分な時間稼ぎにはなるでしょう」


 ドアを開ければまたドア。

 なるほど、そうしておけば入り口から入ってくる者を減らせるな。


「そうして、時間を稼いでいる間に抜け道を使って脱出を試みます。敵勢力が二十未満であれば入り口側の敷地の外へ、それよりも数が多いようでしたら馬小屋の方へ逃げます」


 なるほど。二十程度なら突入してきた本体がいる裏口にほとんどの人員がいる。

 だから逆側の表口に逃げると。

 それ以上いるなら敷地は包囲されていると踏んで、馬を使って強行突破を図ると。


 ……なんか、めっちゃちゃんと考えてるな。

 え、家に乗り込まれたりしたこと、ないよね?


「けれど、おそらく私の浅知恵など軽く看破されてしまうでしょうけれど」

「いや、あたしだったらきっと逃げられちゃうです」

「……マグダでも危うい」

「カンパニュラさん、すごいですね。まるで鬼ごっこの達人のようです」


 いつも平和だな、ジネットの脳内世界は。

 鬼ごっこの達人って……


「いえ。この建物がそのような用途に向いた構造をしているので、それを使わせてもらっただけです」


 うん。

 それが考えられるのがすごいんだけどな。


「オイラも、大体カンパニュラちゃんと同じ意見ッス」

「では、拙者も便乗して」

「いや、ベッコは便乗すんなッス」


 ウーマロは建物の構造とかを見て似た意見にたどり着いていたのだろう。

 ベッコは正真正銘、ただの便乗だ。


「でもおそらく、オイラたちがが思いつく以上に巧妙な仕掛けがあると思うッス。あえてそう見えるように作ったもののそばに、そうは見えない仕掛けが隠されていると思うッス」


 そう。

 他の連中の意見を聞いたのは、俺が見落としていそうなところに気付いてくれるかもしれないと期待したからだ。

 素人の方が、意外な点に気付いたりすることがあるしな。


 まぁ、正直あまり参考になる意見はなかったが、みんなの話を聞くうちに自分の考えをまとめることが出来た。


「この館には、いくつもの抜け道がある可能性が高い」


 そして、まとまった考えを口に出して、共通認識としていく。


「なら、ノルベールはとっくに連れ出されている可能性があるな」

「連れ出す理由は?」


 エステラが問う。

 口に出すことの目的は、意見のすり合わせだ。

 こうして疑問点をぶつけてきてくれるのはありがたい。


「ずっと匿っていると、ベックマンが周りをうろついてうるさいからな」

「……それが理由だとすると、ちょっと弱いね」

「まぁ、いちいち騒がれると、いつどこで誰の耳に入るか分からないからな。それは大きなリスクとなる」

「なるほど。じゃあ、逆に連れ出さずに監禁し続けるとして、そのメリットは?」


 それはやはり、バオクリエアとの関係を維持することだろう。

 だが、その手駒は非常に使いにくい。


 俺がそのような解説をすると、エステラも概ね同じ意見だったようで首肯をくれる。


「けれど、その使いにくい『手駒』を、ウィシャートは手放せずにいる」


 そういうことだ。


「ざっと見ただけで、怪しい抜け道があっちこっちにありそうなこの館からノルベールがまだ連れ出されていないとしたら、……もし、それだけバオクリエアとの繋がりに固執しているとしたら……、その『代わり』になるヤツが現れたら歓迎されるだろうな」


 まぁ、最大限警戒はされるだろうが。

 それでも、多少は食いつくだろう。


 方向性が決まればやることも自ずと定まってくる。


「朝からノーマのところに行って金物加工をして……なぁ、焼き印ってどこに行ったらやってくれる?」

「えっと、そうだねぇ……」

「……それなら、狩猟ギルドの解体所で出来る」

「ホントか、マグダ?」

「……肯定」

「よし! じゃあ、明日の朝案内してくれ」

「……任せて」


 それが済めば、ゴッフレードとベックマンに今回の作戦を伝え、指示を出す。

 あとは、出たとこ勝負だ。

 ウィシャートがどんな反応を見せるのか、それを見極めて戦法を考える。


「明日は早朝から忙しくなりそうだね」

「そうだな」


 ウィシャートを説得するためには、ベルティーナの名前を出さなければいけなくなる。

 そうすれば、あいつなら確実にベルティーナに接触を図る。


 だからこそ。


「明日はベルティーナにたんまり美味いものを食わせてご機嫌取らなきゃなぁ」

「では、ツナマヨおにぎりを一緒に作りましょうね」


 にっこりと笑うジネット。

 きな臭い連中と泥臭い駆け引きをやらなきゃいけない時、こういう顔を見せてくれると心がほろっと解けていく感じがする。


 さっさとケリをつけて、日常に戻りたいもんだ。

 金儲けの種がいくつも保留になってるからな。

 まったく、やれやれだ。







あとがき




丸裸にする――


宮地です。

( ̄ー ̄☆)ニヤリ



ほらほら、そんな一斉に通報すると警視庁の電話回線がパンクしちゃいますよ!

公務員さんのお仕事の邪魔しちゃいけません。

はい、電話置いてください。お電話、ハウス!



手巻き寿司に続いて、太巻きに細巻きです。

二月唯一のイベントである節分の時にはいろいろな太巻きが世に出回ったものですよねぇ。


私は海鮮太巻きというものをいただきましたよ。

エビと、だし巻き卵と、キュウリと……

……海鮮とは!?Σ(・□・;)


あぁ、楽しかったですねぇ、節分。



…………先日まで、ホワイトデーなる催しが催事スペースで展開されていましたが。


でも、この前気が付いたんですけど、

ホワイトデーというのは意外といいものかもしれません。


といいますのも、

なんか、小洒落たチョコレートとかクッキーなんかがショーケースに並んでるじゃないですか?

この前、それをな~んとはなしに覗き込んでいたんです


そしたら店員のお姉さんが



ショートカット美女「よかったらご案内しますよ」(にっこり)



と!

そして、思ったわけです。


「あ、今私、バレンタインデーにチョコもらってお返し考えてる人だと思われてる!」って!

(゜□゜)思われてるなー!



学生時代には周りに十人や二十人ほどいた

『バレンタインチョコをもらってないのにもらったフリする男子』たち

まぁ、彼らはことごとく『フリ』がバレていましたけれども!

放課後、校門前で用もないのにうろうろしてた男子いっぱいいましたけども!

で、翌日『いや~、昨日は大変でさ~』みたいな妄想作り話してきましたけども!


友人のそんな健気な努力に、涙で明日が見えなくなりましたけども!


でも!

でもですね!

ホワイトデーには、難なく、労することなく

バレンタインデーにチョコもらえたんっすよ~なフリが出来るのです!


なんだったらもう、

一個買っちゃえばいいんですよ。


「わぁ、これ美味しそうですね~」とか言って、

ご購入しちゃえば、もう、

「あ、この人誰かにチョコもらった人だ! すごい、素敵!」

って思われるわけですよ!


たとえ、家に帰ってソッコー自分の胃袋の中にそのクッキーが消えていくとしても!


ちょっと豪華なヤツ一つと、

そこそこお手頃なヤツを三つくらい買ったりすると、

「あ、この人義理チョコも結構もらってる人だ!? すっげ、サイン欲しっ!」

となるわけですよ!



あと、高等テクニックではあるのですが、

店員のお姉さんに

「これとこれ、どっちが美味しいですかね?」って聞くんです

そしたら、お姉さんはどっちかなんて言えないわけですよ、

お店の商品ですから、

まぁ無難な回答として

「どっちも美味しいですよ~」

とか言うわけです


というか、そう言わせてください。

そしたら

「そっか~、悩むな~」とか言いながらチラッとスマホを確認してください。

実行するのが10日とかなら最高です

日付を確認して、

「まだ間に合うな……」とか呟いて

「じゃあ、二つともください。あ、包まなくていいです。味見するだけなんで」

とか言うとですね、

「えっ!? この人、大切な人を喜ばせるために妥協しないタイプの人なの!? そりゃあバレンタインチョコもらえるよね! ワンダフル! ビューティフル! ううん、スペクタクル!」

とか思わせることが出来るのです!


どうです?

バレンタインチョコをもらってもいないのに

スペクタクルになれるんですよ!?


なかなかありませんよね?

女子に「この人スペクタクル!」って思われることなんて!

それがお手軽に体験できちゃうのが、ホワイトデーなのです!


まぁ、ただ一個だけ気を付けなければいけないのは、

そんなことをしている間にですね、

カップルがふら~っとやって来て



男「バレンタインのお返し買ったげる。好きなの選んで」

女「え~、う~れ~すぅ~うぃ~い!」



とかやり始めがちなので、爆破事件を起こさないよう細心の注意を払っておいてください。

催事場で爆破事件を起こすのは犯罪です。

爆破は人がいないところで!


……というか、ホワイトデーのお返しする男の人って、

相手の女性連れてきがちですよね?

「選んで」って人、めっちゃいっぱいいましたよ。


女子は自分で選んで、渡す時まで秘密にしてるのに。

まぁ、男子は女子からチョコをもらえれば中身がどんなもんだって喜びますからね。


嘘だと思うなら、来年のバレンタインに干し椎茸にチョコレートかけて渡してみてください。

きっとそれなりに喜びますから。

男子なんてそんなもんです。


でも女子にお菓子をプレゼントするのってハードル高いんですよ、男子としては。


「マシュマロ、食べてるところ見たことないな」とか

「こういうの好きじゃないかもな」とか

「今まさにダイエットしてたらどうしよう」とか

「そもそもオシャレ過ぎて見たことも食べたこともないものが多過ぎて選べません!」とか



マカロンとか……


マキロンしか知りませんよ、こっちは。

( /*`ω´)/むきー!



消毒なら任せてね☆

(・ω<☆)Byマキロン




ジネットたち四十二区の女子なら

どんなものでも喜んでくれそうではありますが

実在の女性となると……難しいんですよねぇ……


あぁっ、私は一体、何を買えばいいんだ!?

そして、

チョコをもらってない私は誰にお返しすればいいんだ!?

(≧Д≦)あぁ、悩ましい!



……ま、自分で食べるなら好きなの買えばいいんですよ。



というわけで、来年からは悲しみしか生まないバレンタインは廃止して、

スペクタクルでハートフルなホワイトデーオンリーでいきましょう!


……同じクラスだったアイツ、来年も校門の周りうろうろするのかなぁ。

( ´-ω-)



( ´-ω-)



( ´ノωノ)しくしく……



私の友人のために泣いてくださってありがとうございます。

彼もきっと強く生きているでしょうから、

皆様も強く生きましょう。


四十二区には、何があっても導入いたしませんので!


そんな強い意思を込めての――太巻き寿司です!



いや、別にそこまでの意思は込めていませんけれども。



ウィシャート家が丸裸になるのか。

そろそろ、乗り込む準備です。



次回もよろしくお願いいたします。

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
[一言] 海鮮巻き。昔は無かったですねぇ。 それこそ、ただの太巻きしか無かった時代に「レタス巻き」が登場したときは感動したものでした。レタスと海老とマヨネーズという単純さなのに(笑) 大人になって…
[良い点] 満を持してマグロの登場! これでまた陽だまり亭の料理が増えますね! マグロの解体には長い包丁と、それを使って巨体を解体できるだけのパワーと技術が必要……ノーマさんがぴったりじゃないですか…
[一言] ホワイトデーのお返しは、パウンドケーキを手作りしました。 …はい、喧嘩売ってます。
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