無添加16話 陽だまり亭、通常営業開始の朝
「ヤシロさん……ヤシロさん……」
早朝。……だと、思う。
俺の体を揺する者がいる。声からして、ジネットに間違いない。
「そうだ、寝ぼけていることにしてふかふかの乳枕を堪能させてもら……」
「おはよう、ヤシロ。今朝もくだらないくらいに元気だね」
……くっ。
声はジネットだが、揺すっていたのはエステラだったようだ。
ちょっと勢いよく体を起こしたのに、腕に触れるモノが一切なかった。
なんて悪質な詐欺だ。
「不愉快だ! 寝る!」
「君は一度も目を開けていなかったよ。つまりまだ起きてないんだよ、君は」
昨日の深夜営業がかなり応えたようで、俺のまぶたは頑なに労働を拒否している。ぴくりとも動かない。
それも仕方ない。
……そもそも、ロレッタがハムっ子たちに宣伝を任せたと言った時点で嫌な予感はしていたんだ。あいつら、限度を知らないから。
久しぶりに全員集合して、ちょっとテンションが上がっちゃってたからその時はノリで「いっちゃえー!」的な気分だったのだが……店に着いて絶句したね。
黒山の人だかり。
なんかもう、住民全員が店を取り囲んでるのかと思うような集まり具合で、安いB級ゾンビ映画を思い出してしまったほどだ。
店を開けるやいなや、常連が店内へとなだれ込んできて、あっという間に席が埋まって、何人かはちょっと待ってもらうことになったのだが、またしてもジネットはその行列を見ることは敵わず。
っていうか、ノーマが店の掃除しておいてくれなきゃ、パウラたちが泊まった状態のままだったんだよな。いてくれてよかったよ、ノーマ。
デリア?
あぁ、うん。防犯面で安心だった。
そんなこんなで、あれよあれよと、いやよいやよもいいの内的に、俺たちはすべての客が捌けるまでの数時間、真夜中になるまで働き続けたのだった。
面白いエピソード?
そんなもんいちいち気にしている余裕なんかなかったわ!
厨房と客席を往復して、たまに皿洗いと料理の補助、それだけで精一杯だったつうの。
レジはジネットというルールが地味に足を引っ張り、厨房がてんやわんやしたのだ。
その結果、俺は心身ともに疲れ果ててしまったのだ。
故に、朝に起きるとかムリ! そーゆーのとか、ムリ!
「ヤシロさん。眠たいようでしたら、今朝の寄付はやめておきますか? それを伺いにお邪魔したんですが」
そうか、もう寄付の時間なのか。
それで、念のために確認にね。気遣いが細やかだな。
……っていうか、ジネットって本当は獣人族なんじゃねぇだろうな? 昨日あんなに動き回って、誰より働いて、なんでこんな早起き出来るんだ?
メドラ並みの体力を持っていたりしないよな?
「まったく、いつまでも布団にくるまって……しゃんとしなよ」
と、昨日一切手伝いにも来なかったエステラがため息を漏らす。
うっさい、しぼめ!
「君も、デリアやノーマみたいに湯浴みでもして目を覚ましたらどうだい?」
「なに!? デリアとノーマが!?」
起きたね!
起きるよね、そりゃ!
「泊まったのか?」
「はい。さすがに疲れたとかで、客間にお二人で」
なん……だと!?
一つ屋根の下にいながら……俺は…………眠気に屈してその事実すら知らずに…………っ!
「それで、先程お二人でお風呂を……」
「俺も混ぜてもらう!」
「いえ。もう上がられて、今はお着替えを……」
「ガイアが手伝えと言っている!」
「もう着替えたさよ」
「なんだ、ヤシロ。まだ起きてないのか? しゃきっとしろよなぁ」
ガイアの声を聞き、ベッドから飛び降りようとしたまさにその時、俺の部屋にデリアとノーマが入ってきた。きちんと着替えて…………ぷくぅ!
「……もぅ寝るもんっ」
「いいや。君は起きるべきだ……ろくでもない理由でふて寝すると脳みそが腐るかもしれないからね」
うっさい!
せめて夢の中で混浴するんだい!
夢の中で「あったかぁ~い」って………………おねしょしそうだな、その夢。
「分かったよ。起きるよ」
「では、下にいますので、準備が出来たら降りてきてくださいね」
昨日の疲れなど微塵も見せず。ジネットが眩しい笑顔を見せて部屋を出て行く。
あいつは、太陽よりも長時間働いてるよなぁ……なんてことを考えながら、着の身着のままベッドに入ってしまってくっしゃくしゃになった服を脱いで違うのに着替える。
今日から通常営業に戻る陽だまり亭。
なんでかな。休んでたって気が一切しない。むしろくたくただ。
足取りも重く、部屋を抜け出し中庭へ続く階段を降りかけた時、店の方からジネットの悲鳴が聞こえてきた。
「ぅへゃあゃぁぁあああああ!?」
「なんだ!?」
重かった足が地面を蹴って駆け出す。
一応、脳みそは異常事態に備えろとアラートを出してはいるのだが、心のどこかで「でもあの悲鳴、アホな事件の時に出る割とどーでもいいヤツだよなぁ」と冷めている自分がいたりもする。
とりあえず厨房を突っ切ってフロアに出ると、困り顔のジネットが俺を見つけるなり駆け寄ってきた。
「あ、あの、ヤシロさん。ど、どうしましょう!?」
何がだと問う前に、視界に訳の分からん風景が飛び込んできた。
陽だまり亭の入り口(店に入ってはいない)の前で土下座しているヤツが四人もいる。
二人は真っ白いもこもこの似た者夫婦、ヤップロックとウエラーで、残りの二人はバルバラとテレサだった。
……何やってんだよ。
「英雄様! この度の非礼、何卒ご容赦を! この通りでございます」
えぇ……その非礼とやらに心当たりがなぁ~い……
「おねーしゃん、わゅくなぃの。あーしが、ふかふかのぉふとんで、ねちゃったかゃ……あーし、わゅいなの!」
「いいや! アーシがしっかりとしていれば、こんなことには! 頼む! アーシはどうなってもいいから、この娘だけは、テレサだけは勘弁してやってくれねぇか!」
「英雄様……主人共々、私たち夫婦にも落ち度がございます。何卒寛大な処置を……」
「えぇ~っと……じゃあとりあえず、全員立て。で、分かるように説明してくれ」
「いいえ! この罪が消えるまで英雄様のお顔をまともに見ることなど……!」
「踏むぞ? 立てや」
一番雑に扱ってもよさそうなヤップロックの頭を鷲掴みにして強引に立たせる。で、近くの椅子に座らせる。
ウエラーとテレサはジネットとノーマが丁寧に、バルバラはデリアが割と乱雑に椅子に座らせた。
「で? 誰が一番まともに説明出来る?」
「あのっ、ここはやはり、一家の大黒柱である私が!」
「よぉし、ウエラー。説明を頼む」
「そんな、英雄様……っ!?」
「あなた、しっかりして! 英雄様はこうおっしゃりたいのよ、『お前は黙ってすべての責任を甘受せよ』と。口数が多いのは言い訳がましく映ってしまうと、英雄様は思われているのよ」
「そうか……さすが英雄様……そこまで考えが及びませんで……お恥ずかしい!」
「エステラー。領主権限、一回貸してー」
「何をする気だい? 当然貸さないけれど」
この街に英雄禁止令を発令したい。
こいつら、もう末期過ぎる。
それで、恐縮しまくるウエラーを落ち着かせて、エステラが根気強く聞き出してくれた土下座の理由が――
「昨晩、ポップコーンを食べに来るとお約束したのに、そのお約束を反故にしてしまいました」
――という、しょーもない話だった。
なんでも、ヤップロックは監獄内の来客用宿泊施設で一泊したバルバラ姉妹を昨日の朝、自宅へ招いたらしい。
そして、離れが完成するまでの間バルバラ姉妹が間借りする場所や畑を見せたり、仕事内容の説明なんかを話して聞かせたりしたらしい。
「それで、アーシらなんかにふかふかの布団を貸し与えてくれて……その布団が、この世の物とは思えないくらいに気持ちよくて…………気が付いたら日付が変わっていて……っ!」
「お前ら、どんだけ硬いところで寝てたんだよ……」
ヤップロックんとこの布団なんか、そこらにあるような普通のものだ。
エステラんとこの布団ならいざ知らず、ヤップロックはそういうところで贅沢をしないから至って普通の布団だというのに……眠りに引きずり込まれて抜け出せなかったらしい。
「……やくそく、やぶったら、かえゅ……おねーしゃん、かえゅ……ゃだ……」
「英雄様! どうか寛大な処置を……!」
「誰がこんなもんで『精霊の審判』なんか使うか!?」
つか、「こいつなら使うかも!?」って思われてんのがショックだわ!
……いや、思われてるくらいがちょうどいいだろうが、俺!?
俺は恐ろしい詐欺師だぞ!? 「いい人~」とか思われてる方があり得ないっつうの!
「こいつを怒らせると人生終わっちゃう」くらいが俺にはぴったりだ。
つまり、ヤップロックの発想は何も間違っていない! むしろ正しい! ありがたい!
「ありがとう、ヤップロック!」
「え? は……、いや、あの…………はぁ……え?」
「いいんだよ、ヤップロック。どうせくだらない思考のスパイラルに迷い込んでどっかに挟まっちゃっただけだから」
と、どこにも挟まりそうもないフラットボディの領主が失礼なことを言う。
お前こそが俺に対する非礼を詫びろよなぁ。
「あの、ヤシロさん……こういう場合、どうすれば納得してくださるでしょうか?」
「気にするなっつっても気にしやがるからなぁ、こいつらは……」
むしろ逆に俺のこと嫌いなんじゃね? と思うくらいにこいつらは頑固なのだ。
こういう場合は、何かしら分かりやすい罰でも与えてやる方が物事が丸く収まる。こいつらの贖罪にもなるしな…………あ、そうか。
「じゃあ、バルバラ」
「お、……おぅ!」
名指しされて、長い前髪の向こうの目を見開くバルバラ。
妹との明るい未来が見えた後だけに、怖いんだろうな。
「お前、ちょっと手伝ってくれ」
「な、……なに、を?」
「人前に出る仕事だ」
「し……ごと?」
人前に出る仕事と聞いて、バルバラは腕組みをしながら真剣に考える。
そして出た答えが――
「あ、暗殺、か?」
「いや、それ確かにターゲットの前に出るかもしれないけど……」
「いいや、ヤシロ。暗殺なら背後から襲った方が効率的だと言えると、ボクは思うよ」
「それなら、わざわざ近付かずに遠距離から仕留める方が安全さね」
「そんなまどろっこしいことしなくてもさぁ、目撃者全部ぶっ飛ばせば大丈夫だろ?」
「お前ら、揃いも揃って怖ぇよ」
修羅の国か、ここは。
そうじゃないんだよ、俺が言いたいのは!
「バルバラ、お前には…………可愛くなってもらう」
「………………は?」
固まるバルバラに、俺は仕事内容を語って聞かせる。
ゆっくり、分かりやすく、た~っぷりと……盛大に引き攣るバルバラの顔を眺めながら、な。
「おいしぃね、おねーしゃん」
「あぁ! くぅ! これが姐さんの言っていたポップコーン! 美味し過ぎです!」
「だろぉ? 遠慮せずじゃんじゃん食えよ!」
「はい! いただきです!」
「いたぁーきです!」
敬語のおかしいバルバラのマネをするテレサ。
……こいつらに、ちゃんとした教育を施してやらなけりゃな。
「お前ら、このマグダってヤツには優しくしておいた方がいいぞ。マグダはポップコーンのプロだからな!」
「……ふふん。敬うがいい」
騒がしくなったフロアの音で目を覚ましたマグダだったが、ポップコーンを待ち望んでいる客だと知るや、寝起きの不機嫌も忘れてプロの技を披露してくれた。
そして、思い出したようにジネットがちょっと悔しそうにその仕事ぶりを眺めていた。
昨日、カンタルチカでマグダの仕事ぶりを眺めていた時とは似ても似つかない視線だったけどな。
そして、昨日いろいろ手伝ってくれたノーマとデリア、そしてバルバラとテレサを引き連れて、俺たちは教会へ向かっている。
ロレッタは当然というような顔をしてついてきている。昨日はマグダと一緒のベッドで寝たらしい。……仲良しか。仲良しなんだろうけど。
「で、イメルダとレジーナはさっさと自宅に帰ったんだよな、どーせ」
「あいつら、飽きたらすぐ帰るんだぞ? 勝手だよなぁ」
「まぁ、今回の手伝いはこっちが勝手に買って出たことだからねぇ、強要は出来ないさよ」
つくづく、デリアとノーマは面倒見がいいと思う。
「それで、姐さん。これからどこへ行くんすか?」
「あぁ、教会だ」
「教会!?」
バルバラが突然立ち止まり、テレサを力強く抱きしめる。
教会に行けば妹と引き離される、と、まだ考えているようだ。
「大丈夫だよ。二十四区の教会へは連れて行かないから」
「ほ、本当か!? 嘘だったらカエルにするからな!? アーシはそういうの躊躇わないからな!」
そういえば、なんの躊躇いもなく『精霊の審判』かけてくれやがったよな、こいつは。
さっき俺が『精霊の審判』かけないでおいてやったってのに……
「あの、バルバラさん。四十二区の教会は、傷を負った獣人族の方でも、シスターベルティーナが責任を持って保護されますし、それに、保護者のいる幼い子を強引に奪うようなことはなさいません。精霊神様に誓って」
「そう、……なのか?」
「はい」
ジネットの言葉に、半信半疑ながらも、やや表情を軟化させるバルバラ。
それでも、テレサをぎゅっと抱きしめている。
「そもそも、お前は二十四区教会のことを誤解している。あそこの扉が固く閉ざされているのはな――」
歩きながら、俺は二十四区教会のことを話してやった。
ソフィーやバーサ、そこに住む傷付いた獣人族のこと。そして、『宴』の前後で起こったことを掻い摘まんで。
「あれは保護のためで、親元から引き離すのが目的じゃねぇよ」
「……そう、だったのか…………へぇ……」
話を聞いて、バルバラがようやく納得したようだ。
「……嘘だったらカエルだからな?」
このサル女……
ジネットの時と対応違い過ぎるだろう。
「バルバラさん、テレサさん。ここが、四十二区の教会です」
教会の前まで来て、立ち止まる。
教会を見上げるバルバラの顔は、明らかに強張っていた。
いまだ不安がぬぐえない様子だが、それもすぐに変わる。
「とりあえず、実際の教会を見てみろよ」
バルバラの背中を押して敷地内へ入れる。
その途端――
「「「「「おにーーーーーちゃーーーーー…………誰?」」」」」
俺目掛けて駆け寄ってきたガキどもが、バルバラを見て固まった。
……人見知り発揮してんじゃねぇよ。
「おう、お前ら。こいつは、顔は怖いがそこまで悪いヤツじゃない。怒らさない程度にだったら弄っていいぞ」
「「「ぅはーーい! 知らない姉ちゃん、あそぼー!」」」
「は!? え!? いや、アーシは!?」
「あと、こっちの娘は今ちょっと目が見えないから、丁寧に扱ってやってくれ」
と、テレサの肩を持って、教会の幼女の方へと誘導する。
クソガキどもにはまだ早い。あいつら遠慮と手加減って言葉知らねぇし。
「おめめ、痛いの?」
「ぇ……ぁの……」
「だいじょーぶ?」
「ぅ、ぅん……」
「一緒に遊ぶ?」
「…………ぃい、の?」
「「「いいーーーよぉーーーー!」」」
わっとテレサを取り囲んで、手を繋いで、遊具の方へとゆっくり案内していく幼女たち。
「お!? 遊具か! じゃああたいが遊んでやる!」
「ちょっと待つさね、デリア! ……あんたはあっちの男の子たちの方を面倒見るさね」
「なんでだよ!? あたいも遊具したいぞ!」
「あんたの遊び道具じゃないんさよ、遊具は!」
ウーマロが張り切って、二十四区教会と同じ遊具が四十二区の教会にも完成していた。
クローブジャングルという回るジャングルジムとコーヒーカップを合体させたような横回転の遊具と、遊園地のバイキングを小さくしたような縦に揺れる箱形のブランコ。
確かに、デリアにやらせると一瞬で絶叫マシーンに早変わりだ。ガキが泣く。
「みなさん」
わーわーと賑やかなガキどもの前に、ベルティーナがやって来て、いつもの優しくも厳しい声で注意する。
「遊ぶ前に、まずはご挨拶ですよ!」
「「「はーい!」」」
そういやまだしてなかったなと、指摘されて気付く。
俺はいい親にはなれそうもないな。そもそもガキが嫌いだしな。
「ではみなさん。ご挨拶しましょうねー」
ベルティーナの言葉を引き継いで、ジネットがガキどもに号令をかける。
「せーの!」
「「「「おはよーございまーす!」」」」
「いただきます!」
……おい。
今、白いシスターの服を着た大人が一人だけ違う挨拶しなかったか?
ちゃんと手本になれよ。悪かったよ、バルバラたちの説得とポップコーンを作るのに時間掛かっていつもより遅くなって、ほんと悪かったから、お前だけは模範をやめないでくれよ。
「では、デリアさん、ノーマさん。朝食の準備が出来るまで、子供たちの面倒をお願いしてもいいですか?」
「任せておくさね」
「おう! あたいが一番強いって、見せてやるぜ!」
「ノーマ。あの一番大っきい子供もよろしくな」
「……あれは、管轄外さね」
デリアから視線を逸らして、ノーマは幼女チームをかまい始める。
まぁ、ここのガキどもなら、デリアのパワーにもついて行けるし、いいか。
「ヤシロさん。あの娘が……?」
ベルティーナがテレサを見て呟く。
昨日のうちに、テレサの話はベルティーナの耳に入れてある。
ちょっと頼みたいこともあったし。
「本当に、目が?」
「見えないらしいな」
「いえ、そうではなくて……」
ベルティーナが聞きたいのは、現在の状況ではないらしい。
「本当に、彼女の目は見えるようになるのですか?」
それは、俺がレジーナと意見交換をして導き出した解答だ。
「あぁ。高確率で治ると思う」
ちゃんとした治療と手当てをすれば、な。
「だから、それまでの間は教会で面倒を見てやってくれないか」
「それはもちろん構いませんが……本当にいいんですか? その、『一時的』で」
俺がベルティーナに頼んだのは、俗に言うところの『一時保育』だ。
バルバラが仕事をしてテレサに構えない間、安全な教会でテレサを預かってもらい、同時にここでテレサの治療を行う。
テレサは極端な栄養失調によるビタミン欠乏が原因で視力が落ちている。
しかし、まだ完全に光を失ったわけではない。
デリアvsバルバラの後に、レジーナに診察をしてもらったところ、テレサの目は治る見込みが高いことが分かった。
治療法と薬の処方はプロに一任するとして、俺はテレサが安心して治療に専念出来る場所の確保を言い渡されていた。
日本でなら、きちんとした施設なり大きな病院を探すのだが、ずっとひとりぼっちで姉の帰りを待ち続けていたテレサを、これ以上寂しい場所に置いておきたくないと考えた。
そこで、教会だ。
ここなら、賑やか過ぎる声がずっと聞こえているし、ベルティーナもいる。
それに、ここのガキどもならきっとテレサのいい友達になってくれる。
二十四区教会で、それは立証済みだ。
「目が見えるようになったら、ウエラーのところで面倒見てもいいし、テレサが望めばこっちに遊びに来たっていい」
「えぇ。教会は、いつでもみなさんを受け入れますよ」
テレサの目が治ると聞き、ベルティーナは安心したように笑みを浮かべる。
それなりに大変なことを押しつけることになるが、ベルティーナならきっとやり遂げてくれる。……ちゃんとご褒美は奮発するし。
「それらの諸費用は全部領主が出してくれるし!」
「……なんでいろいろ考え込んで、そーゆーことだけ言葉に出すかな……?」
だって、女の子ってあれだろ?
「言ってくれなきゃ分かんないこともあるんだよ(カンカラコン←空き缶)」みたいな繊細な生き物なんだろ?
「治療費は出すけど、その分、四十一区からはもらえる物をもらうつもりだよ」
「そこは大丈夫だ。抜かりはない」
四十一区美の街化計画。
そこの利益の一部は四十二区へ振り分けられる。アイデア料だ。
それを払ってもあまりある利益を得られるんだから、四の五の言わず金寄越せって話だ。リカルドに拒否権などない。
「きゃはははっ、おねーしゃっ、おねーしゃん! すごぃ! すごぃよぉ、こりぇー! きゃははは!」
「ぬぉい、こらガキ! テレサがアーシを呼んでんだ! ちょっとそこ退……、うほぉぉおおおわあああ!? どこ触ってんだ、このエロガキぁぁぁああ!」
「ふふ……まずは、言葉遣いの教育が必要ですね」
賑やかに騒ぐ新入りを見て。ベルティーナが静かに微笑んでいた。
……ので、目を逸らしておいた。…………ベルティーナのその笑顔……やっぱ何回見ても怖ぇわぁ…………バルバラ、頑張れよ。
あとがっきー
一瞬「えっ、かわいい!?」とか思いました?
便乗です!
はい、今巷で話題の『逃○恥』への便乗です、
時代を先取るナウなヤングですから☆
というわけで、
あとがっきーこと、がっきー宮地です。
がっきーと呼んでいただいてもかまいませんよ。
おそらく、九分九厘気付きませんけども。
そんなわけで、本日は踊りながら~
レビューをいただきました!
わぁいヽ(∇⌒ヽ)(ノ⌒∇)ノわぁい♪(┘´▽`)┘-ワッショイワッショイ
[2018年 10月 01日 19時 05分] の方。
今年の夏、読書感想文で苦労された学生の方には是非参考にしてほしいお手本のようなタイトルと一行目です。これだけですべてが完結していながら内容が気になる、非常に上手い出だしだと思います。何を書いてもこの一行目が引き立つという効果的な構成になっています。
その後は終始軽めのタッチで言葉が綴られていくのですが、最初のインパクトがずっと残っているので何をしても『繰り返しの面白さ』に昇華され、続く言葉が相乗効果で面白さを増していくいいスパイラルを形成していると思いました。
どこまでがジョークでどこまでが真面目なのか、その線引きがぼやければぼやけるほど、魅力を増していく、不思議な文体は一つの才能だなと思いました。
楽しませようとする遊び心の中に、誠実に伝えようとする心配りが感じられる楽しいレビューでした! どうもありがとうございました!!
私の経験上、
誰かを楽しませようとされる方、
またはそのような文章を書かれる方というのは
他の方に比べてとても真面目である傾向が強いなと、そう思っています。
ものすっごぃえっちぃ~ライトノベルを書かれている方が、
お会いすると物凄く紳士的でビックリすることも多々あり、
テンポのいいバカ系ギャグを書かれている方が、実は物凄く物静かな方だったり。
なので、もしかしたら、
本作に楽しいレビューをくださった方々は、
実はとても大人しく物静かで、良識のある紳士淑女なのではないか――
と、私は思っているんです。
自分が楽しむために、独りよがりで騒ぎまくるのは誰にでも出来ますが(羞恥心とかで出来ないことの方が多いですけども)
誰かを、それも顔も知らない人を楽しませるって、
実はすごく難しくとても気を遣う作業なんですよね。
そんなことが出来てしまう方って、繊細な心の持ち主なんじゃないかなと思うんです。
――そんな繊細な紳士淑女の皆様が、脈絡もないおっぱいの話を集団で読んでいる……な、なんだか、妙にゾクゾクしてきましたっ!!
おっぱいの力、すごいですね!?
物を書かれる方、
何かを創造される方って、
やっぱりいろいろ考えて気を配って完成形に仕上げられる
すごい人たちなんでしょうね。
私の場合は、そんな崇高な考えなど持っておりません。
書きたいことをただ書いているだけですので。
おそらく、
私だけなんじゃないでしょうか……
思いついたことをそのまま、一度心の中のおっぱいに挟んで、書き綴っているのは。
一度、心の中のおっぱいに、挟んで。
……いえ、ゆっくり言ったら名言っぽく聞こえるかなぁって。
秋ですので、知的な男を装って「ちゅてき!」って言われたいなぁって。
私、職場では新人さんたちにいろいろ教えてあげる立場なんですが、
……あ、すみません、一部訂正します、
新人さんに、いろいろ教えてア・ゲ・ル☆ 立場なのですが、
恐ろしいくらいに学歴の高い新人さんとかいたりしまして、
みんないい子たちなのでそれを鼻にかけたりすることはないのですが、
一応先輩として負けてはいられないなと、
可能な限り横文字を交えて会話をしています。
宮地先輩「コンビニー、行ってー、ホウジチャ・ラテー、飲もうぜぃ☆」
新人さん「先輩……ほとんど日本語です。っていうか、日本語です」
実は私、
変身幼稚園に通っていた時、美人な女性の先生のパンツを盗んで退園になったもので……
最終学歴が園卒なんですよね。
(ドラゴ○ボールに詳しくない人が真に受けませんように……)
まぁ、とりあえず、
よさげな横文字を使っていると頭がよさそうに見えるものです。
お昼ごはんのことを『ランチ』と言ったり、
母親のことを『マミー』と言ったり、
家庭訪問のことを『ホームカモン』と言ったり、
授業参観のことを『マミーがカモン』と言ったり、
女子小学生のことを『ストライクゾーン』と言ったり、
……あ、内角低めですよ。ぎりぎりインコース、みたいな?(あ、今また横文字出ちゃいましたね! 知的ですんませんっす)
職場でも意識して横文字を取り入れているので、
後輩たちからは尊敬の眼差しで見られております、たぶん。だったらいいな。
宮地先輩「よぉ~し、みんな。とりあえず海老ダンスをマスターしてくれ」
新人さん「先輩。それ、エビデンスです」
宮地先輩「そうか? じゃあ、海老デンスをマスターしてくれ」
新人さん「マスターするものじゃないです、それ!」
宮地先輩「じゃあ、なにするのさ?」
新人さん「とるんですよ」
宮地先輩「海老泥棒か!?」
新人さん「そもそも海老じゃないです!」
宮地先輩「でも、そもそもが今流行ってる鯉ダンスの派生でしょ?」
新人さん「なんかいろいろおかしいんで、一個だけ……それ、もう数年前の話で、最近じゃないです!」
宮地先輩「2012年くらいまでは『最近』じゃね?」
新人さん「六年前が!? 小学生が卒業しちゃう年数ですよ、それ!?」
宮地先輩「テレビを見ないから、流行り廃りに疎くてねぇ」
新人さん「テレビ見ないんですか?」
宮地先輩「見ないねぇ。たまに観ようと思った時は『テレビ、テレビ……』って探すくらい」
新人さん「そんなメガネを探すように!?」
宮地先輩「ニュースも、ネットで調べちゃう感じだしねぇ」
新人さん「ちなみに、先輩の中で一番最新のニュースってなんですか?」
宮地先輩「おでんツンツン男」
新人さん「すいません。自分、それ知らないっす……」
宮地先輩「えぇっ!? あのね、おでんを……」
新人さん「いや、説明は要らないです! 大体想像つきましたから。あ~、じゃあ、アニメとか、なんか見てないですか?」
宮地先輩「アニメはあんまり詳しくないんだよねぇ」
新人さん「最後に見たアニメを言ってもらえれば、自分詳しいんで、何年くらいの話かすぐ分かりますよ」
宮地先輩「最後に見たアニメ………………あっ! サ○エさん!」
新人さん「くっそ、長寿番組!」
宮地先輩「本とかは、結構読むんだけどねぇ」
新人さん「最近なに読みました?」
宮地先輩「『綺麗なバストラインの作り方』」
新人さん「なに読んでんですか!? ないでしょう、バストライン!?」
宮地先輩「いいかい、新人さん。知識っていうのはね、蓄積しておくと人間としての器を大きくしてくれるのだよ」
新人さん「おっぱいの知識がどこで役立つんですか?」
宮地先輩「我が生涯の、すべてにおいてだっ!」
新人さん「熱いっ! この先輩、なんか妙に熱いっ!」
と、このように横文字を華麗に使いこなせると、知的に見えたりするんだじょ☆
この秋は、知的なキャラで「ちゅてき!」って言われる男を目指します!
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




