タクヤがどうして妹の世界征服に疑問を持たなかったのか。
この小説を読んでいて。
「妹が突然、界を制するほどの強大な力を持ったことに、タクヤが疑問を持たないのは不自然だ!」
「作者が馬鹿なんだろう。もう読むのを止める!」
そう思われた方はたくさんいらっしゃると思います。
というか、そんなご指摘を多数受けました。ですので。
私が「どうしてその部分を曖昧にしたか」、「どうして説明するのを避けていたか」。
それを改めて、ここで説明したいと思います。
本当は隠したままにしておきたかったのですが、それが読まれている方の不快感を煽っていることは事実なので……。
ただし。
それは最後の展開のネタばれを含みます。
この物語のおそらくは最大の「謎」であるそれを、あくまで知らずに楽しみたい方はそのままブラウザバックしてください。
知りたい方は下へ。
よろしいですか?
では。
単刀直入に言います。
主人公のタクヤ、それに妹のルリ。
その正体は、神に準ずる者。
つまり、天使です。
本編では、ミスリードを狙ってあえて二人を普通の人間のように描きました。
また、主人公であるのにもかかわらず、タクヤの外見にも文章中では触れていません。
何故なら、彼の背中には羽が生えているからです。
しかし、その伏線は所々で張られています。
お気付きの方も多いと思いますが。
タクヤがビッチを背負うシーンで、ビッチは「ふわふわー、ふわふわー」と唐突に奇妙な発言をしています。これはビッチの不思議な性格上、意味のない言葉のように感じられますが、ご存知の通りタクヤには羽があるので彼女はそんな発言をしているんですね。
他にも、タクヤは度々周りの人物から「本当に人間か?」と疑われています。
でも、天使なんている訳ないと思っているので。実際彼らはタクヤのことを「天使のコスプレをした変な奴」と認識しています。
加えて、この世界の根幹部分の設定なのですが。
世界は神が創造した。また、神は次に「混沌の天使」と「秩序の天使」を生み、その世界を管理させた。
というものになっています。
ここまで書けば皆さんにはもはや明白でしょうが。
この物語の兄妹喧嘩とは普通のそれではなく、二人の天使による壮大な「大戦」であると言えます。
つまり、冒頭の疑問に答えるとするなら、タクヤは妹が「秩序の天使」であることを知っているから、突然世界が征服されても疑問を抱かなかった訳です。だって、彼女はそれを可能にするだけの力 =天地創造杖(神が世界を創造し、また作り変えるときに使う神器) をその気になればいつでも使える状況にあったから。
それでは最後に、その事実を私が隠したかった理由をご説明します。個人的な内容なので、ここから先はお暇なときにでもお読みください。
私は本が好きです。文章が好きです。物語が好きです。
でも、その中でも特に好きなこと。それは。
「ああ! そういうことだったのか!」
そう思える瞬間です。
ここまで書けば、多くの方はお分かりになったかと思いますが。
そうです。私はこの作品でそういう瞬間を描き出したかったのです。
物語を最後まで読み終わったときに、例えどんなに少なくてもいいから「ああ!」という感覚に浸って欲しかったのです。未熟ながら。
だから私はその部分の説明を敢えて避け、代わりに伏線を張りました。「タクヤが妹の世界征服を疑問に思う」という普通なら描くべき描写を、敢えて省くことで。
「タクヤが妹の世界征服を疑問に思わない。そんなのは不自然だ!」
→「でも、待てよ。タクヤはそれを疑問に思わないということは、つまり。それがあるいは可能であると、タクヤは無意識に肯定している?」
→「もしかして、何か理由があるのか?」
こんな風に考えて頂きたくて。
ですが、私の文章力では難しかったですね……(苦笑)。
あ、ちなみにこういう体裁を取ったことにお怒りの方もいらっしゃると思います。
「物語の設定を本編以外で補足するのは卑怯だ!」、と。
そのご指摘には返す言葉もありません。
私がこういう体裁を取った理由は、文章中で読んでいる方を納得させるだけの文章力がなかったからなので。
本当に申し訳ありません。これから一層修行に励み、いつかちゃんとした描写ができるよう筆力を磨きたいと思います。
(了)
ちなみにこの謎を知った上で、作品を読んでいただける方は。
どういった所でタクヤが天使であるという伏線が引かれているのか? または、そこに関係する他の謎、その裏に隠された設定とは!?
なんてことに気をつけながら読んでみてください(^O^)/