土塊(つちくれ)
とある政治犯との対話
土塊から人間を創りだした神様が居るらしい。
成程人間は確かに自然の中から生じたのだと思えそうな話ではあるが、人間は土塊よりもどちらかと言うと泡沫から生じたといった方が成分的にも適切なのではないかと思わなくもない。
泡沫から生じた神様という話は聞いたことがあるが。
兎も角、ここで無理矢理な気がしないでもないが、泡から神が生じるならば、土から創られた人間は祖先に泡を持つのではないかという仮説が立てられる。
・・・もちろん泡から創られた神と土から人間を創る神は別個も別個、観念的にも概念的にも異なる神だがね。
・・・・・・本当に無理矢理な感が否めないが。
おい君、ここで私を「彼奴は無理矢理人間を土か泡に帰そうとしている奇天烈な奴だ」と勝手に考えるんじゃあないよ。
私とて人間をつちだあわだと言いたかないんだ。
ただ、土から人を創る神と泡から創られた神という神と神の話をしたいだけなんだからね。
土から人を創る神がどうやってそれを成し遂げんとするのかは分からないが、そう考えるとその神はかなり造詣が深かったと見える。
美術の成績とか良かったんじゃあないかと思うがね。・・・ま、推測でしかないが。
こんなことを言うと昔の人々に怒られるかもしれないが、随分とまあ素晴らしき空想の翼を飛翔させてくれたものだ、と言う気がしないでもないね。
していることはしているんだからサ。
人間を創るのはほかでもない、人間なのに。
・・・・・・あれ、何の話をしていたのだったかな。
ああ、土塊と泡沫の話か。
ところで君ぃ、こんな話を聞いていて楽しいかい?
え?話が突拍子もない上に、飛び過ぎてて分からないって?
・・・私だってわからない。
取り敢えず、土塊から人間は出来ていないし、泡沫から神は創られたんじゃないってことを言いたかったんだよ。
・・・・・・ん?もう面会時間の規定を過ぎているじゃぁないか。
刑務官を呼んでくるよ。
私が政治犯だと知っているから、どうせあの人はまた骨牌でもやってるんだろう。全く、職務に忠実なのはどっちだか。・・・・・・おっと、私の場合は服務、だったかな。
・・・・・・まあ、今日聞いた話は忘れてくれよ。
なんか雑誌とかに載るのは嫌だからね。




