第39話 鳴かずば討たれまい
『風』の力を手にし、更にベルの狩りの効率は上がっていった。
今日も空を飛んでいた哀れな小鳥が突如発生した局地的な下降気流で地に叩きつけられた。
ハミングバードという美しい歌声で歌う鳥だった。
小鳥は地に叩きつけられたが、両脚が折れてしまったもののまだ羽は無事であった。
小鳥は突然の凶事に、混乱しつつもここ最近物騒になってきている地上から離脱せんと羽ばたこうとした。
この点は以前ベルの餌食となったカエルとは違いずいぶん賢いようだった。
だが、子鳥は羽ばたけたのではない。
『羽ばたこう』としたのだ。
翼をはためかせ風を捕えようとしたが、その風は翼から逃げるように手ごたえが無い。
飛ぼうとするも、その体が宙に浮かぶことは無かった。
そうしている間にも、カサカサ、カサカサと背後から何かが迫ってきている。
しかし小鳥の両脚は折れ、翼は風を掴めないのだ。
哀れな子鳥は体を両断されて絶命した。
その可愛らしい声で最後に鳴いた言葉は世界の理不尽さへの絶叫であった。
「これではまるで、悪役みたいですわね。わたくし。」
まぁみたいではなく完全に悪役である。少なくとも子鳥や野鳥の会とかにとっては間違いなく悪役だ。
ちなみにこの世界で野鳥をのんきに観察してエサとかあげてる人間がいれば、
ソイツ自身がエサになっているので、多分野鳥の会なんてものはない。




