第34話 最終部の幕開け 曲がった鍵
植物が点在する砂地にソレはいた。
トゲトゲの様な毛むくじゃらの体に甲虫を平べったくしたような体、
そして何より不釣り合いなほど巨大なクワガタのような顎。
つまるところのアリジゴクの親戚の様なモンスターである。
その種族名は地を(サンド)這うもの(クリーパー)。
やたら活発で隠れるのが得意なアグレッシブなアリジゴクと思っていただければまぁ間違いない。
まあ、サンドトラッパーとか、アントライオンとか、
もっとアリジゴクアリジゴクしてるのもいるのでアリジゴクらしさをそこまでは求めないでやってほしい。
まったくアリジゴクすることができないかと言われれば似たようなものなので違うのだろうが特化した奴らと比べるのは酷だろう。
さてこの微妙極まりない虫こそが。
最後の転生を果たした此度のベルである。
ベルが最後の転生を果たし、その意識がようやく固着した時ベルはこの奇妙な虫だった。
その姿はミダスのせいかそれとももともとそうだったのかは知らないが蜂の姿ではなかった。
昆虫マニアが見ればツノトンボの幼虫がモチーフだと判る姿だが、
あいにくベルは蜂以外の昆虫の知識はそうなかった。
この転生はあまりにもベルにとって望まれたものではなかった。
ベルは此度の転生の代償として生前の名前すら忘れ、
人であった頃の世界がほとんどのものが思い出から知識へと変わっていた。
また、まだ生まれたばかりのせいなのかどうかはわからないが、現在ベルは目が見えていなかった。
以前死ぬ前の時と同じだ。視力が復活するかどうかはわからない。
だが、最大の不幸はそれらではない。ベルにとって最大の不幸は蜂族でなくなっていたことだ。
それは、戦闘力やその他の性能的な意味ではない。
蜂族が己が蜂族であることに誇りをかけることからもわかるように、
蜂族は他種族に排他的だ。蜂族にとって蜂以外の全ての種は容易い獲物か手強い獲物でしかない。わかりあうことはないのだ。
つまりは今までの家族と、デュカリス姫やスセリ達と今この瞬間を持って敵となってしまったのだ。
たとえ昨日までぴったり鍵穴に入った鍵も、
曲がってしまえば鍵穴に入ることはもうない。
血のつながりと共にいくつもの絆が途切れたことを、
かつて蜂族であったベルはそのことを誰よりも理解していた。
もう、やり直しはきかない。
ベル LV6 サンドクリーパー (♀・幼虫体) RANK D 属性大地 虫 砂 弱点 水 空
HP490 SP195 ATK255 DEF220 INT1600│(種 限界値) MAG21 RES21 DEX27 AGI21
種族特性 凶靭なる顎 潜む 敏感 『BONUS特性 隠密行動 探知力上昇補正 軽罠士』
スキル 三部作の魂(済) 不老 遺伝1 知性大 体内磁針(封印) 飛翔能力上昇(封印) 揚力上昇(封印)
軽量化 美声 絶対音感 リズム感 ソルフュージュ 聴力上昇 魅了(封印) 音響素体(封印)
ベルカント(封印) 全身楽器化(封印) ダイナミックレンジ(封印) 反響結界(封印) 防音結界(封印) 超音波 巨大化成長補正
サンドクリーパー
成虫になるとまた別のモンスター扱いをうける。ツノトンボの幼虫のようなモンスター。
活動的なアリジゴクといってもいい。昆虫系の幼虫体でありながら十分に戦闘能力があることから、
成虫とは別名扱いとなっている。物陰に潜みながら素早く移動して獲物を喰らう。
サンドクリーパーは基本的に振動に敏感で地面の振動を感知できる。
武器はその大顎。見た目の通り強く挟まれたら人間なんて真っ二つだ。




