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『最果ての出汁聖女・れいな 〜追放されたけど、伝説の魔獣と呪われ騎士に究極スープを献上したら、いつの間にか最強の村ができました〜』   作者: Zacku


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第73話:『魔法王国の王女様が「大賢者たちの仇討ち」にやってきましたが、進化したお出汁の香りの前に一瞬で陥落しました』

皆様、いつも本当にありがとうございます!

最高級魔導天日塩によって、我が店の麺が「神の領域」へと限界突破した前話、たくさんの熱い感想をいただき大感激です!

本日は、新メニュー『極・生一本うどん』の提供を開始したサテライトキッチン中央総本店。

そこへ、前話で泡を吹いて倒れた大賢者たちの仇を討つべく、魔法王国の第一王女様が直々に聖騎士団を率いて乗り込んできました。

気高きエリート王女様が、職人聖女の進化したお出汁とオペレーションの前にどうなってしまうのか!?

手のひらクルーの確定演出、いってみましょう!

「――そこへ直れ、不届きなる異界の料理人よ! 我が魔法王国の至宝たる大賢者たちを謀略にハメ、あまつさえ国宝の塩まで巻き上げた罪、この第一王女エルミニアが直々に裁いてくれよう!」

カランコロン、とドアチャイムが鳴り響くと同時に、厨房に凛々しい声が響き渡った。

現れたのは、白銀の軽装甲冑に身を包み、燃えるような紅髪をポニーテールにした美しい少女――魔法王国の第一王女、エルミニア様だった。彼女の背後には、いかにも鍛え上げられた聖騎士たちがズラリと控え、店内の空気が一気に緊張感に包まれる。

「あの、エルミニア王女様。謀略だなんて人聞きが悪いです。大賢者様たちは勝手にうちの店を兵器と勘違いして自滅しただけですし、塩はお詫びとして置いていかれたんですよ?」

私がいつも通り湯切りテボを片手に苦笑いしながら説明すると、エルミニア様は「言い訳は見苦しい!」と腰の細剣レイピアに手をかけた。

「だいたい、うどんなる庶民の麺類のために、我が国の誇る魔導インフラや軍事バランスが乱されているなど、断じて容認できん! 今日こそその邪悪な厨房を我が聖騎士団の手で――」

ぐぅぅぅぅ~~~~。

静まり返った店内に、もの凄く可愛らしくて、それでいてハッキリとした「お腹の虫の音」が盛大に響き渡った。

「……っ!?」

エルミニア王女は一瞬で顔を真っ赤にし、自分の震えるお腹を両手で押さえた。

どうやら、我が店のうどんの脅威を調査するために、何日も不眠不休の強行軍で国境を越えてやってきたらしく、バイタルは完全にエネルギー切れの極限状態だった。

「おや。王女様、お口では威勢の良いデータを並べてるけど、胃袋サーバーは完全にシャットダウン寸前みたいだね」

カウンターの端で、シン君がサイバーゴーグルをきらりと光らせ、手元のホログラム端末で彼女の体調をスキャンしながらクスクスと笑う。

「ふっ、我が主の厨房の前で空腹を晒すとは、いい度胸だ。ちょうど今、魔法王国の塩を使って究極に茹ぎ上がった最高の麺がある。……おい、そこの紅髪の小娘。大人しく席につけ。美味なる恐怖を教えてやろう」

厨房の奥から、腕を組んだ魔王バラドが、湯気と共に圧倒的な威圧(※ただし、手には茹でたての麺が入った丼を持っている)を放ちながら一歩前に出た。

「ひ、ひえっ……!? 魔王がなぜエプロンを……っ!?」

エルミニア王女が恐怖に身をすくませた、その瞬間。

彼女の鼻腔を、新開発の『魔導天日塩ブレンドの茹でたて麺』から立ち上る、小麦の甘い香りと、黄金色のいりこ出汁の芳醇な香りが直撃した。

その瞬間、彼女の脳内の防衛結界は、お出汁の香りのハッキングによって完全に崩壊した。

「……くっ、私は、騙され、ん……。……だ、だけど、敵の戦力を分析するためだ、仕方がなかろう……!」

真っ赤な顔でぶつぶつと言い訳をしながら、エルミニア王女はフラフラと吸い寄せられるようにカウンター席へ着席してしまった。

「はい、お待たせしました。特製『極・生一本かけうどん』です。お熱いうちにどうぞ」

私が笑顔で差し出した一杯。

魔法王国の最高級の塩によって限界突破した純白の麺が、黄金のスープの中でキラキラと輝いている。

エルミニア王女はゴクリと唾を飲み込み、おずおずと麺を一本、口へと運んだ。

「――っ!? な、何なのだ、この圧倒的な『コシ』は……ッ!!」

次の瞬間、王女様の気高き仮面はメリメリと音を立てて粉砕された。

「噛んだ瞬間に、まるで口の中で魔法の粒子が躍動しているかのような凄まじい弾力……! そしてこの出汁! 旅の疲れで干からびていた私の身体に、至高の癒やしが満ちていく……! 美味い、美味すぎるぞぉぉぉっ!!」

「ズズッ! ズズズズッ!」と、聖騎士団の部下たちが唖然として見守る中、王女様は一心不乱にうどんを啜り、あっという間にスープの一滴まで完食してしまった。

「はっ……!? わ、私は一体何を……!?」

空になった丼を見てハッと我に返ったエルミニア王女に、セシリア王女が「ふふ、エルミニア様。お出汁の前には、王族のプライドも無力ですわよ。これで我が国と帝国、そして魔法王国の『三カ国うどん同盟』の段取りが整いましたわね!」と、勝ち誇ったように微笑みかけた。

「う、うむ……。これほどの美味を生み出す店が、世界を滅ぼすわけがない……。むしろ、世界を救う光のインフラだ……!」

エルミニア王女は、涙目で丼を見つめながら、完全に我が店への降伏(ファン化)を宣言するのだった。

こうして、仇討ちにやってきたはずの魔法王国の王女すらも一瞬でお出汁の虜にしたサテライトキッチン。

その美味のネットワークは、ついに大陸の主要国家をすべて巻き込む、空前絶後の超巨大インフラへと成長していくのだった。

第71話をお読みいただきありがとうございました!

大賢者たちの仇討ちに燃えていたエルミニア王女様、進化した「極・生一本うどん」の圧倒的なコシとお出汁の香りの前に、一瞬で胃袋をハッキングされて全面降伏です(笑)。

どんなに気高き聖騎士を率いてきても、お腹の虫の音とお出汁の段取り(オペレーション)の前には無力でしたね!

第74話!

すっかりうどんの虜になり、魔法王国の「初代うどん大使」に就任したエルミニア王女。

彼女は「我が国の最高魔導院の全マナ(魔力源)を、このサテライトキッチンの自動茹で機に直結させるべきだ!」と、今度は国を挙げた超ハイテク厨房改造計画を提案してきて――!?

「王女様お腹の音可愛すぎw」「三カ国うどん同盟結成キタ」「魔王様が麺持って威圧するの草」と思ったら、ぜひ作品へのブックマークと、評価の【星5】をポチッとお願いします!

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