第63話:『インフラが超ハイテク化した結果、世界中の冒険者が集結して、国家規模の超大口依頼(ケータリング)が舞い込んできました』
皆様、いつも本当にありがとうございます!
腹黒貴族のバルバロッサ伯爵を未来の技術でざまぁした前話、たくさんの反響をいただき大感激です!
さて、伯爵の悪事を暴くために王都の通信インフラをサイバー技術で超絶アップデートしてしまった結果、王都の街がとんでもないことになってしまいました。
噂を聞きつけた世界中の冒険者たちが押し寄せ、
物語はついに国家規模の超大口依頼へと発展します!
職人聖女の次なる挑戦、ぜひお楽しみください!
「……あの、シン君。これ、本当にうちの店の前?」
バルバロッサ伯爵が地下牢へと連行された翌朝。
サテライトキッチンの窓を開けた私は、あまりの熱気に圧倒されて思わず一歩後ろに下がった。
昨日までは、ネオサヌキの観光客が数十人いるくらいだった。
なのに今はどうだ。きらびやかな鎧を着た他国の高ランク冒険者から、巨大な荷物を背負った異国の商人、さらにはエルフやドワーフといった亜人種の技術者まで、文字通り『足の踏み場もないほど』の人間が広場を埋め尽くしていた。
「おい、マジでこの店に集まるハッカー(?)とかいう奴らの仕業なのか!?」
「ああ! ギルドのクエスト処理が10ギガサヌキ光とかいう速度になって、今まで3日かかってた手続きが一瞬で終わるようになったんだ!」
「おかげで依頼が回りまくって、一晩で金貨100枚稼げたぞ!」
口々に叫びながら、彼らは一様に我が店の『黄金の出汁と翼の新ロゴ』が掲げられた看板を、まるで神の祭壇か何かのように拝んでいる。
「あはは、凄いことになっちゃったね、店長」
シン君がいつも通り、新ロゴがプリントされたエプロンを着てクスクスと笑う。
「どうやら、昨日伯爵をハッキングするために広域展開したサイバーネットワークの恩恵が、王都中の冒険者に知れ渡っちゃったみたいだ。今やこの店は、世界の中心(インフラの聖地)だよ」
「いや、うちはただのうどん屋なんだけど……っ!」
私が頭を抱えた、その時だった。
「――頼む、聖女れいな殿! 我が王宮騎士団、1万人分の昼食を、明日正午までに用意してはもらえないだろうか!」
人混みを割って、ガシャーン!と重厚な甲冑を鳴らして突撃してきたのは、王宮騎士団長のアルトリアさんだった。あまりの剣幕に、店内にいた魔王バラドも「なんだ、戦か?」とスープの入った木桶を持ったまま目を細める。
アルトリアさん曰く、インフラが爆速化したせいで、世界中から集まる冒険者や商人の対応、さらに悪徳貴族の残党処理の緊急演習が重なり、騎士団の食堂が完全にキャパオーバーを起こしてしまったらしい。
「1万人分……ですか」
セシリア王女が「いち、いちまんにん……!? いくらなんでも、明日の正午までにそれだけの麺を茹でるなんて物理的に不可能ですわ!」と目を丸くしてパニックになっている。
普通なら絶望する数字。だけど、私の脳内では、前世で培った『大量調理と大口ケータリングの完璧なタイムライン』が、すでに高速で構築され始めていた。
1万人分。要は、事前の徹底した『段取り』と『オペレーション』の掛け算だ。
ここで騎士団全員の胃袋を掴めば、我が店の知名度は完全に国家公認、いや世界規模になる。
「アルトリアさん、その注文、お受けします」
「な、何っ!? 本当か!?」
「はい。その代わり、最高効率のオペレーションを組むので、みんな指示通りに動いてね! ……シン君、魔王様、セシリア様! 今から明日の正午までのタイムスケジュールを伝えるから、一言も聞き漏らさないで!」
私は厨房のホワイトボードに、前世の現場で何度も叩き込んできた『大量調理用工程表』を爆速で書き殴っていった。
職人の本当の恐ろしさは、戦闘力ではなく、この「無駄のない完璧な段取り」にあるのだと、二つの世界に思い知らせてあげるわよ!
第63話をお読みいただきありがとうございました!
インフラ激変の噂を聞きつけた王宮騎士団から、まさかの『1万人分』の超大口ケータリング依頼が舞い込みました!
次は1時間後、第64話!
1万人分のうどんを同時に、しかも「茹でたて」で届けるという、前代未聞の限界オペレーションがスタート!
魔王軍の空輸、未来のドローン物流、そしてシン君の空間魔法が完全にシンクロします!
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